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中編 集落・田舎の怖い話

奇妙な村の祭り(おにいさん)【ゆっくり朗読】5563-1231

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生まれは都市圏だけど、まだ緑が多かったころなので遊び場には事欠かなかった。

家の近くに大きな空き地があって、毎年盆踊りをそこでやっていたのを覚えてる。

その空き地が潰されて大きな工場が出来たときに、自分の遊び場所がなくなってすごく悲しい思いをした。

そんな頃の話。

小学校の頃はやんちゃだった。

いつも悪戯ばかりして怒られている様な。

そんな俺と同じようにやんちゃな鍋島と湯原。

三人で遊んでいれば何でも出来そうな気がしたもんだよ。

夏休みのある日、自転車で川を遡って行って水のきれいなところで川遊びをしようってことになったんだ。

朝から自分たちでおにぎり作って、水筒に麦茶詰めて、リュックを担いで、一生懸命自転車を漕いでさ。

そういったちょっとした冒険旅行みたいなことは誰でもするだろ?

俺たちもそう。

それで朝早くから三人集合して川を遡ったんだ。

もちろん川原を遡っていくのは無理だから川に沿った道を延々と。

時には迷いながら二時間ぐらい遡った山のふもとで、ちょっと休憩しようってなったんだ。

もちろんそこは知らない町でさ、電柱には五木町って書いてあった。

面白いのは同じ色の青い屋根、同じ大きさの家がいっぱい並んでたのをよく覚えてる。

おかしいな?とも思ったんだが、それでも三人いれば楽しくって気にならなかったな。

自転車を川沿いの道の端に寄せて止めてから俺たちは川原に降りた。

天気は少し曇ってたけど蒸し暑いうえに自転車漕いでたせいもあって汗でベタベタ。

一刻も早く川の中で体を冷やしたいって思って川の方へ向かったんだけど、そこにはその町の住民らしき人が二十人くらい、大人も子供も集まってなんかやってるんだ。

一言も話しをせずに黙々と作業をしてる感じ。

大人も子供も。老若男女を問わず。

土を掘ってるように見えて、何となく異様な光景に思わず俺たちの足は止まってしまった。

そして示し合わせたかのように一斉にこっちに向けられる数十の瞳。

今でもハッキリ覚えてる。

その瞳にはこう、なんて言ったらいいのかな?生気的な物が無くって虚ろな感じだった。

そう思ったか思ってないかのところで、その集団の中から小さな女の子の声で

「……のおにいさんが来たね」って聞こえた。

その瞬間、ホントに瞬く間に今まで生気が無かったのにすごく優しい顔になって話しかけてきたんだ。

「どっから来たんだ?」とか「三人だけで来たのか?そりゃすごい!」とか。

オレと鍋島はそのギャップが怖くなってあまりしゃべる事が出来なかったんだけど、人見知りをしない湯原はいつの間にか溶け込んで笑いながら話しをしてる。

周りの住人もニコニコしてるし俺たちに疲れただろ?とか言いながら、紙コップに入れたお茶とかお菓子とか出してくれる。

最初は警戒していた俺も鍋島も段々慣れて来てお茶やお菓子をもらっていろんな話をした。

今日はこの町でお祭りがあるからよかったら参加していきなさいとか言われて喜んでたっけな。

その後、町の子供たちと川遊びをして遊んだ。

魚を捕まえたり水風船もって追いかけっこしたり。

この町のみんな人懐っこくてトイレに行くにも必ず誰かがついてくる。

だから一人ぼっちになる事が無くて楽しく遊べたんだ。

夕方になったのでそろそろ帰らないといけないと三人で相談してたら住人のおじさんから

「今日はお祭りがあるから遊んでいきなさい。自転車と君たちは車で送ってあげるから」

と言われて三人でどうしよう?と悩んだ挙句その提案を受ける事にした。

遊びの途中で帰るなんてその頃考えられなかったし、いつも遅くなって親に怒られていて、慣れていたってのもある。

それを伝えると目をまん丸にして「そうかそうか」って喜んでくれた上に、

「他のみんなはハッピに着替えてるから君たちも着替えるといい」と赤いハッピを三つ手渡された。

Tシャツの上からハッピを羽織るとおじさんは

「よく似合ってるよ。やっぱ主役はこうでなきゃ」

って褒めてくれたんだ。

その後おじさんに連れられて、町の人でごった返した祭りの会場に連れて行ってもらったんだ。

会場は所狭しと出店が並んでいて、普通であれば真ん中には櫓が組まれているはずなのにそれは無く、ひな壇みたいなものがあってその上で太鼓と笛が小気味良い音を奏でてる。

そのひな壇の近くにお神輿が大小二つあって大きいほうは十五人くらいで持つ奴で、小さいほうはその気になれば一人でも担げるようなミニ神輿だった。

なんだあれはと思っているとハッピを来た子供たちが、どこからともなくわらわらと俺たちの周りによってきた。

総勢で二十人くらいいたのかな?高学年の子も低学年の子もいてみんなニコニコしてるんだけどみんなハッピの色は紺色だった。

「俺達とハッピの色が違うね?」というと高学年らしき子に「おにいさんだからだよ!」と言われた。

俺より高学年っぽいけど違うのかなって思ったんだけど、まぁいいやって思って、子供みんなで遊んでた。

出店に行くとお金はいらんからって何でもくれる気前のよさ。

俺たちも他の子供もわたあめ食べたり、射的したりで存分に遊ばしてもらった。

大人はというと遠巻きに子供たちを眺めながら酒を飲んでいる。

しばらく遊んで、頃合いとみたのかさっきのおじさんが中央のひな壇の上で大きな声でしゃべり始めた。

一斉に止む笛の音や太鼓の音。

「それではおにいさん祭りを開催します!!」という声と共に歓喜の声。

大人も子供も。俺たちも訳も判らずはしゃいでる。

子供たちは全員がそのおじさんに連れられてさっきの神輿があったところに。

町の子供たちはあらかじめ場所が決められていたかのように大きな神輿の回りに順序良く整列した。

この神輿はスゴくキラキラしていて装飾がすごい。

もちろん子供が持てる大きさなので、テレビなんかで大人が担ぐ神輿に比べればたいしたことはないが、一見して豪華だということは子供ながらにも判った。

俺たち三人はどうすればいいのか判らないのでマゴマゴしていると、さっきのおじさんがやってきて

「ほら、君たち三人はこの小さい方を担いでね」

と大きい神輿のすぐ近くにある小さい神輿を指差した。

近寄って見てみると、こまごまとした装飾に屋根の上には、炎のような飾りがついていて昔はきれいだったのだろうが、今はだいぶ汚れている。

泥汚れらしきものもあり”おじさん”を振り返ると「この前の祭りで落としちゃって少し汚れてるけど、大丈夫だよ」と笑顔で言われ「なぁんだ」と安心したのを覚えてる。

配置は俺が進行方向で言えば前で担ぐ事になり、湯原が左で鍋島が右だった。

すると”おじさん”がまた大きな声で「それでは神輿を担いでくださ~い」と大きな声で指示を出すと大きな神輿はエイッという掛け声と共に子供たちの肩に担がれた。

それを見た俺たちも掛け声を入れつつ小さな神輿を担ぐ。

いや、担ごうとした。

その瞬間、見た目と違う重さにビックリして神輿を落としそうになった。

あわてて駆け寄る”おじさん”が支えてくれて落とさずに済んだが、尋常でない重さだ。

”おじさん”の方をチラッとみると「ホラホラ頑張って。周りを5周くらいするだけだからね」とやさしく言われたので頑張ってみる事にした。

両肩が神輿の重さで軋むが歩けないほどじゃない。

ソロソロとゆっくりではあるが三人で時計回りに歩き出した。

それと同時に笛と太鼓の楽しそうな音色が始まる。

いつの間にか大人たちが近寄ってきていて「ほらほら、頑張って~!」とか応援してくれる。

最初は重さのあまりおっかなびっくりだったが少し慣れてきたのか歩く速度より少し遅いくらいのスピードになっていた。

このときで半周くらいだったかな。

もう少しで一周というところで突然後ろから「ドン」っと押される感じがあった。

よたよたと千鳥足になったが何とかこらえることができた。

何があったのかと後ろを振り返ると真後ろに大きな神輿を担いだ子供たちがニヤニヤしながら立っていた。

どうも大きな神輿が俺たちの神輿に追突したみたいだった。

一番先頭の子供が「ごめんね」と謝ってきたので「大丈夫」とだけ返してまた歩き始めた。

ようやく一周。

これをあと四周か、と思い少し息を入れたところでまたもや「ドン」ときた。

同じようによろめく俺達と神輿。

後ろを向くとやっぱり大きな神輿の子供たちがニヤニヤしている。

一番先頭の子供が「ごめんね~」とまた謝ってきた。

あまり口をきく余裕がないほど重いので軽く頷きまた歩き始める。

いつの間にか大人たちは近すぎるほど傍によってきており、手を伸ばせば触れられるほどの距離だ。

みんな口々に「頑張れ」とか「もう少し」とか応援している。

その応援を支えに歩こうと数歩行った所で、今までにはないくらい激しい「ドン」がきた。

思わず神輿から手を離してしまい、地面に手を突く。

神輿が落ちると思い上を見上げると傍まで寄った大人たちが落ちないように支えててくれたようで神輿は宙に浮かんでいる。

別の大人の手が俺を起こし神輿のところに立たせると、神輿を支えていてくれた手が無くなり神輿が両肩に食い込む。

後ろを見る余裕もないが耳には「遅いからさぁ、ぶつかっちゃうんだよねぇ」という声が聞こえてくる。

一瞬ムカついたが今は早くこの神輿を下ろしたい一心だったのでまた歩き始めようとしたその瞬間を狙って「ドン」とやられた。

同じようにつんのめり、両手が地面に付きそうになったところで大人の手に支えられる。

神輿も宙に浮いている。

また起こされて神輿を担ぐ。

またすぐに「ドン」

また転びそうになると大人の手が支え……

また神輿を担ぐ……

明らかに異常だ。

周りの声も「頑張れ」とかいう応援じゃなく「早く立て」とか「早く歩け」などの怒声に変わってきている。

半分泣きそうになりながら神輿を担ぐ三人。

周りの大人の中には竹を縱に裂いた竹刀のようなものでケツのあたりを叩いてくる人までいる。

もう嫌だと思って逃げようとしても周りの大人によって引き摺られて戻される。

おかしい。……何かおかしい。

そう思い、ふと近くにいた大人の顔を見てびっくりした。

すでに笑顔ではなかった。

まるで敵を見るかのような目で俺たち三人を睨みつけていた。

周りの他の大人たちも同じだった。皆が皆すごい形相で睨んでいる。

子供心にこれはまずいと思い、何とか逃げ出そうと考えるが、それを見越したように後ろから「ドン」とやられてまた転んでしまった。

荒々しい手に立たされ、無理矢理神輿を担がされる。

そのわずかな間で周りを見渡すと俺たち三人の神輿の周りに大人が群がっている。

進行方向の右手にいつもひな壇があるので大人は少なめだ。

大人のほとんどは左手と正面に集まっている。

真後ろには大きな神輿が迫っている。

神輿を担がされる前に湯原と鍋島の顔を見た。

眼が合った。

軽く頷くと神輿を担がされて大人たちの手が無くなった瞬間に右側に神輿をわざと倒した。

よろけて倒れたと思った大人が手を出して神輿を支えようとする。

俺たち三人はその隙を見てひな壇の方に駆け出した。

後ろからは大人の声で「捕まえろ」という叫び声が上がっていたが、その頃には一心不乱に笛や太鼓の音を鳴らす大人の脇をすり抜けていた。

闇雲に走って川沿いの道まで来るとそのままの勢いで下流に向かって走り出した。

どのくらい走ったか判らないが、息が切れるまで走り続けて、もう走れないところまで走ったところで後ろを振り返ると、懐中電灯の光らしきものが十個以上見える。

その光景に寒気を感じて三人で無理矢理走り出した。

少し走るともう息は続かない。

もう走れないと思ったときに目の前に自分たちの自転車が見えた。

三人で何も言わずに飛び乗り、ひたすらペダルを漕ぎ続けた。

怖くてもう後ろを振り向く余裕もない。

必死だった。

自分の知ってる道に出てもしゃべる余裕が無くって、ひたすらペダルを漕ぎ続け、一番近い俺の家に三人とも転がり込んだ。

玄関から入るなり安心して泣き出す三人。

怒りまくっていた母親も父親も呆気に取られていたと思う。

そりゃそうだ、やっと帰ってきたと思ったら赤いハッピ着て、傷だらけで泣き喚く息子を見たらビックリするに決まってる。

一泣きしてようやく事情聴取。もちろん他の二人の親も呼ばれた。

今日起きたことを包み隠さず話した。

川を遡った事、山のふもとの町で親切にしてもらったけど、重い神輿を担がされたこと。年上におにいさんと呼ばれたり、町人の態度がおかしくなり、すごい目で睨まれた事・・・

親たちはみんな頭の中が「?」だったに違いない。

でもその中で鍋島のお父さんが聞いてきた。

「その町の家の屋根の色全部青じゃなかったか?」

俺たちはみな「そうそう」と頷いた。

鍋島のお父さんは「やっぱりか」といって説明を始めた。

鍋島のお父さんによると、その地域は昔から差別の強いというよりは仲間意識が強い地域で、みんなが同じ家に住み、同じように暮らしていくという社会主義みたいな考えがある地域らしいんだ。

そんな村の昔話で、鬼の一家が出た話ってのがあるらしい。

近くの山には鬼の一家が住んでいて、それが時々ふもとに下りてきては悪さをして逃げていく。

一番悪いのは父親であろう大鬼で、人を犯し、殺し、食み、これを至上の楽しみとしていた。

あとは四匹の小さな鬼で子供のようだったが父親と同じように悪さをしていたという。

そんな事を繰り返していたらしい。

その町も結構な被害が出て、襲われて命を落とすものや、攫われていく事があったらしい。

仲間意識の強い村の中でのこと。

どうにかしようと村の中で思案しあった結果……

鬼一家をもてなす事に決めたらしい。

鬼が来たら村人みんなでニコニコしながらお出迎えをして、考えられる全てのもてなしをしたらしい。

そんなことしたら鬼が一家で居つくかもしれないって考えるだろ?

最初は警戒していた鬼も段々慣れていき、結局一家で居ついてしまった。

それでもみんなニコニコ。

ある日いつものようにもてなしていると、大鬼は酔っ払って眠たそうにしている。

それを察したある村民が大きな戸板を持ってきて「この上に横になってください。私どもが寝床まで運びましょう」と言った。

その申し出に大鬼も気を良くし、戸板の上に横になって運んでもらう事にした。

そしてそのまま大きな寝息を立てて眠ってしまった。

ふと、鬼は眼を覚ましたが体が動かない。

見ると体が鎖でグルグル巻きにされ、腕を動かすことすらままならない。

騙されたと気づき子鬼を呼ぶが返事が無い。

大鬼の体は戸板に乗せられていたが、少しずつ動いている。

山を登っているようだった。

動かない体を無理して戸板の下を覗き込むと、大鬼の体を持ち上げているのは四匹の子鬼だった。

その四匹全てが大怪我を負っている。

大鬼の寝ている間に村民にやられたのであろう、片手をなくしている子鬼もいれば足がもげかかっている子鬼もいた。

四匹に共通しているのは四匹とも両目を潰されていると言う事だった。

その子鬼が大鬼の乗った戸板を担いでいるのである。

子鬼を村民の一人が「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」と手を叩いて導いてる。

周りには人、人、人。

その全ての人の手にはそれぞれ鍬や鋤、竹で作った鎗などがあり、一番近くにいる村民は、たまに子鬼を後ろから手に持った得物で叩いて喜んでいる。

それが山を登っていく。

子鬼が倒れそうになると村民が得物で叩き、起こし、また担がせて歩かせる。

そのうち一匹の子鬼が歩けなくなった。

足がもげかかっていた子鬼だ。

村民は容赦なく得物で打ち据え、殺してしまった。

その死体を戸板の上にいる大鬼に乗せると大鬼は大きな声で吼えたという。

それでも村民は気にしない様子で山を登らせる。

少し進んだところでまた子鬼が一匹殺された。

子鬼二匹では戸板を担ぐ事が出来なかったので村民の若い奴が手伝ってやった。

数時間かけて山頂に上ったところで残りの子鬼二匹が殺された。

それを見た大鬼は怒り狂った声を上げたが村民は黙々と薪を拾っている。

大鬼の上に死んだ子鬼の死体を重ね、その上に薪を山のように積み上げて火をつけた。

大鬼は死ぬまで吼え続け、完全に息絶えるまで数時間かかったという。

その間村民は宴を開いていたとか。

そんな事があり、鬼退治をした村として後世の村人に伝えるため、毎年その時期になるとお祭りをする事にしたらしい。

鬼役が四人ほど(ほとんどは子供)で重い神輿を担ぎ、それを村民全員でからかいながら練り歩くというもので、昔は「鬼祭り」と呼ばれていたらしい。

しかし、村内で鬼役をするのを嫌がる村民が増えたため、たまたまその時期に来た旅人とかに無理矢理させることにしたらしい。

鬼退治のときと同じように、最初はもてなしておいて、祭りがあるといって参加させ、無理矢理神輿を担がせる……

近年は「鬼祭り」を「鬼さん祭り」と改めてはいるが余所者が行くと必ず神輿を担がされてひどい目に合うので、知ってる人はこの時期は誰も近づかないようにしてるという。

それを聞いて俺たちは身震いした。

あの時言ってた「おにいさん」は「お兄さん」じゃなくって「鬼さん」……?

そう考えていたら、鍋島のお父さんがぽつりと「ものの本によると山に住んでいたのは「鬼の一家」じゃなく「山賊の一家」らしいんだよな」って。

じゃぁ、殺されたのは五匹の鬼じゃなくて五人の……

それからしばらくは外出できず、家の中で少しの物音にも震えてた。

(了)

[出典:http://ncode.syosetu.com/n0101i/]

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