私も口には出せないが、肉はお迎えのサインだと思っている。
入院していた時、仲良くなった患者が何人かいた。病状が悪化し、衰弱して、点滴だけで生きているような日々が続いていた人たちだ。食事もほとんど喉を通らない状態だった。
ところが、ある日を境に様子が変わる。
「とんかつが食べたい。持ってきてくれないか」
「夕食は霜降りのステーキにしてほしい」
「焼肉屋に行きたいな」
示し合わせたわけでもないのに、皆が似たようなことを言い出した。脂っこい肉を、具体的に、はっきりと欲しがった。その翌日か翌々日には容体が急変し、ICUに移され、数日のうちに亡くなった。
健康な人が肉を欲しがるのとは違う。死の淵にいる人間が肉を恋しがった時、それは生きるための欲ではなく、別の何かに引かれているように見えた。
だから私は思っている。あれは、向こうからの合図なのだと。
そして今朝、医師の説明を聞き終えた帰り道で、私はふと、無性に焼肉が食べたくなった。
[出典:402 :可愛い奥様:2018/09/25(火) 22:50:52.44 ID:W/7zl1Ak0.net]