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シェラデコブレの幽霊~あまりにも怖すぎて御蔵入りになった伝説のホラー映画#9453-0106

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『シェラ・デ・コブレの幽霊』(シェラ・デ・コブレのゆうれい、原題:The Ghost of Sierra de Cobre、別題:The Haunted)
1964年に公開される予定であったアメリカ合衆国製作のホラー映画作品。

日本では、映画としての公開はなかったものの、テレビでは1967年に一度だけNETテレビの日曜洋画劇場で放送されている。
当時の新聞のラテ欄では『シエラデゴブレの幽霊』となっている。

シェラデコブレの幽霊 小梶勝男

現在、「Jホラー」と呼ばれるジャンルを作った黒沢清、高橋洋、小中千昭、鶴田法男、中田秀夫、清水崇らの著作や講演、対談などを追うと、Jホラーに直接的に影響したと思われるいくつかの作品が出てくる。それはジョルジョ・フェローニの「生血を吸う女」(1961)であり、ジャック・クレイトンの「回転」(1961)であり、ハーク・ハーヴェイの「恐怖の足跡」(1961)であり、ロバート・ワイズの「たたり」(1963)であり、ジョン・ハフの「ヘルハウス」(1973)であり、ダニエル・マイリックとエドゥアルド・サンチェスの「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)であり・・・・・そして、「シェラデコブレの幽霊」なのだ。

だが、本作はこれまで、見ることが出来なかった。高橋洋は著作「映画の魔」(青土社、2004)で、「女優霊」や「リング」のアイデアの根底に、子供のころに見た怖ろしい映画の予告編があるとして、「当時、日曜洋画劇場でオンエアされた『シェラデコブレの幽霊』が怪しいという情報もあるのだが・・・・、残念ながら手に入らない」と書いている。

2006年のカナザワ映画祭では、黒沢清監督の「LOFT」上映前に、黒沢氏と高橋氏のトークイベントが開かれたが、話題は本作のことばかりだった印象がある。そのころから、見たいと思い続けていた作品だった。

本作は1967年8月、淀川長治が解説を務める「日曜洋画劇場」で一度だけ放映された。登場する幽霊が余りにも怖かったため、見た人たちの心に深くトラウマとなって残り、多くのJホラー関係者の間で、未だに「最も怖かった映画」として語り継がれている。

本作のフィルムを所有する映画評論家・添野知生氏によれば、元々は、「サイコ」などの脚本家ジョゼフ・ステファノが1965年、米国のテレビシリーズのパイロット版として製作・監督・脚本を手がけたモノクロ作品だったという。だが、怖すぎてテレビ局内の試写で具合の悪くなる人が続出し、お蔵入りになった。結局、米国では一度も公開・放送されず、ホラー・ファンの間で、もはや見ることが出来ない「最恐の映画」として伝説化した。

2009年8月、関西朝日放送の番組「探偵ナイトスクープ」で取り上げられたのをきっかけに、一般にも知られるようになり、2010年2月6日、ホラー映画向上委員会が、フィルムを偶然入手した添野氏の協力によって、神戸映画資料館で上映会を開催するに至った。添野氏によれば、これまで3度上映したが、一般向けの上映会は今回が初めてという。

伝説の作品をこうして見ることが出来たのだから、添野氏とホラー映画向上委員会に深く感謝したい。上映会には多くのホラー映画関係者も詰め掛けていた。

建築家であり、アマチュア心霊探偵でもあるネルソン・オライオン(マーティン・ランドー)は、資産家マンドール家の美女ヴィヴィア(ダイアン・ベイカー)から、ある依頼を受ける。盲目の夫ヘンリー(トム・シムコックス)に、毎晩亡霊から電話がかかってくるという。調査のためマンドール家の納骨堂を訪れたネルソンとヴィヴィアに、怪異が襲いかかる。

これだけ「最恐」といわれ、期待が高まってしまうと、それに応えるのはかなり難しいものだが、それでも怖い場面があった。少なくとも、これを当時の子供たちがテレビ番組で何気なく見たら、さぞかし怖かっただろう、と思わせるものはある。Jホラー、そして最新の「パラノーマル・アクティビティー」(2010)にも連なる恐怖描写の原点を見た思いがする。

テレビ番組のパイロット版だから、49分48秒の中篇だ。カルト映画を想像すると全く違う。むしろ、普通のドラマとしてよく出来た作品で、序盤から徐々に恐怖を盛り上げていく演出は非常に手堅い。特筆すべきは、音の使い方だろう。音楽や効果音をほとんど使わず、ここぞ、というときにひどく耳障りな女の悲鳴を聴かせるのだ。それは低音の唸りと高音の悲鳴がミックスされた、何とも言いようのない嫌な音で、異様な迫力があった。納骨堂での怪異は、ドアが勝手に開いたり、見えないものが迫ってきたりするだけなのだが、ダイアン・ベイカーの表情が美しく、しかも恐怖を実によく物語っている。この場面には上品な色ティシズムを感じた。自動車が崖に向かって勝手に動き出すシーンもスリリングだ。そして、ついに姿を現す幽霊が、半透明に白く輝きながら、焼け爛れたような顔で叫び狂う。西洋のモンスターというより、日本の幽霊のようなのが面白い。ひたすら叫ぶ幽霊というのは、黒沢清監督の「叫」(2007)でも見た。「叫」の幽霊が叫ぶことで忘れ去られた「過去」を告発するように、本作の幽霊も、悲鳴によって忌まわしい過去の事件を告発する。

それはメキシコの寒村シェラデコブレでの惨劇なのだが、安易に回想場面を描かず、俳優たちの語りだけで伝えられるのが良かった。見るものに想像する余地を与えている。そして、想像こそが恐怖を増大させるのだ。

叫ぶ幽霊の描写は結構派手で、静かな展開からは突出している。ラストなど、ボンッと爆発とともに幽霊が飛び出してくる。この突出感がまた、不気味なのである。異様なチグハグさの不条理。それが本作を伝説化せしめているのだろう。

ただ、本作にはいくつかのバージョンがあるらしく、「日曜洋画劇場」で放映されたバージョンとは、ラストが違うのではないか、という話もある。テレビ放映版が残っていない(あるいは、どこかの納骨堂で眠っているのかも知れないが、今もって発掘されていない)ので、比べようもないのだが、どこまでも幻の作品なのである。

添野氏とホラー映画向上委員会の目標は、本作のDVD化だという。多くの人に見て欲しい作品なので、私も微力ながら応援していきたい。

[出典:http://www.cinemaonline.jp/horror-movies/11351.html]

誰しも過去に1度だけ観る機会を得、その後さまざまな理由で再見できず、記憶の片隅で気になり続けている映画やTVドラマといったものがあるのではなかろうか? 特に観たのが年少の時分だったりすると記憶も曖昧模糊としていて、他の作品との混同等も生じ、たしかこんなシーンがあったはず? 結局どんな話だったのか? 等々、もう一度実際に観て確認したいと思うのが人情だろう。自分にとっては「バニーレークは行方不明」や「ベルフェゴールは誰だ」、そしてこの「シェラ・デ・コブレの幽霊」(または「シェラデコブレの幽霊」)などがそんな作品だった。
ところがこの映画が昨年関西の人気番組「探偵!ナイトスクープ」に取り上げられたことを契機に、ホラー映画向上委員会の尽力と、フィルム所有者である添野氏の協力のもとでこの2月6日に神戸映画資料館で上映会が開かれることになったのである。
上映会の開かれる神戸は、関東住みの私にとってあまりに遠い。交通費も半端ではないのでどうしようかと思ったが、この機会を逃せば今後関東で観られる機会があるかどうか分らない。幸い週末でもあるし、また、資料館のある新長田は、最近、神戸ゆかりの漫画家横山光輝を偲んで実物大の鉄人28号のモニュメントが完成して話題になっているところだったので、この観光も兼ね、思い切って新幹線に飛び乗って行ってみることにしたのであった。
さてディープなホラー映画ファンなら、この映画については一度くらいはお聞きになったことがあると思う。ご存知ない方はちょっとググッて頂ければ、作品を取り上げたナイトスクープの動画や依頼者の方のブログでの詳しい番組レポート、フィルム所有者添野氏のブログなどが見つかるはずだが、さすがにそれでは手抜きなので簡単に概要を紹介しておこう。
「シェラ・デ・コブレの幽霊」は、1964年、「サイコ」のシナリオや「アウターリミッツ」のプロデューサーとして知られるジョゼフ・ステファーノが、ABCとの確執から第1シーズンで降板になった「アウターリミッツ」の対抗馬として、CBSのために企画した新シリーズ「Haunted」のパイロット版として制作されたものだ。当時、完成されたこの映画はCBS社内で試写されたが、あまりに怖すぎたため試写中に気分の悪くなる人が続出、企画は流れ、作品は米国内では未放映のままお蔵入りとなって、日本をはじめヨーロッパ数国に売られてしまった。日本では過去に淀長さんの「日曜洋画劇場」でたった1回のみ放映されたままフィルムは返却されてしまい、1度限り見た一部ホラー映画ファンの間で伝説化していた。
かく言う私も当時この放送を見た中の一人である。ただ、子供だったので後半の推理モノ風な展開が理解できなかったのか、覚えているのは無数に絵画のかかった壁の前に半透明の幽霊が出現するシーンのみ。しかもこの映画とAIPのB級映画「骸骨の叫び」がごっちゃになってしまい、どれがどれやら分らなくなっていた。それが今回確認できるので大いに楽しみであった。
未見の方のために以下にあらすじも紹介しておく。
著名な建築家であり、趣味で心霊現象を解決する心霊探偵ネルソン・オライオン(マーティン・ランドー)のもとに資産家のマンドール(トム・シムコックス)から依頼が舞い込む。マンドールの妻ヴィヴィア(ダイアン・ベーカー)の話によると、夜ごと夫ヘンリーの元に不気味なすすり泣きだけの無言電話かかり、夫はそれを1年前になくなった母親の亡霊と信じ、日に日に衰弱しているという。
ヘンリーの母は生前、埋葬されることを極端に恐れ、地下納骨堂に安置した棺の蓋はあけたままにし、手の届くところに息子の部屋への直通電話を引くように遺言を遺して死んだというのである。
調査のためネルソンとヴィヴィアが地下の石室に入ると棺の傍らの電話にはまだぬくもりが感じられた。棺の中には遺体があったが不審な点は見られない。一旦、外に出たヴィヴィアはハンドバッグを忘れたことに気づき、一人で納骨堂に戻るが、そのときヴィヴィアの目前に恐ろしい亡霊が出現し、恐怖のあまり失神する。壁から落ちた十字架の裏には「HELPとダイヤルせよ」という謎の言葉が刻まれていた。
ネルソンは気を失ったヴィヴィアを自宅に連れて介抱した。ネルソンの自宅には彼が調査した過去の事件に関わる絵画を壁に飾っていたが、目覚めた彼女は飾られている絵の中の1枚、シェラ・デ・コブレ伝道教会の絵を見て顔色を変える。シェラ・デ・コブレは彼女の生まれ故郷であり、かつてその村は血を流す幽霊にアメリカ人の女性が殺害されるというおぞましい事件が起こっていた。
そこへ、妻を迎えに夫のマンドールと老家政婦(ジュディス・アンダーソン)がやってくる。実はこの家政婦もシェラ・デ・コブレ出身であり、ネルソンを見かけると老家政婦はかつてネルソンが村の事件を解決出来なかったことをなじった。
再び依頼者の邸宅を訪れたネルソンは、再度出現した亡霊を目の当たりにして、これが真実であることを確信する。そして、老家政婦が依頼者の妻を脅しているところを立ち聞きしてしまう・・・
この老家政婦と依頼者の妻の関係は? 幽霊は本当に依頼者の母親の亡霊なのか? シェラ・デ・コブレで何があったのか?・・・映画はこんな感じで大団円を迎える。
数十年ぶりに再会した”幽霊”の印象は、今回観たバージョンが約50分の短縮モノクロ版だったということもあるだろうが、あっさりした展開で、良くも悪くもTVシリーズ中の1本という印象を受けた。聖咲奇氏のエッセイ(「奇想天外2.0」(イーストプレス)所収)によれば、CBSの意向で撮り足されたカラーの長尺版も存在するらしいが、もしそれを観られたとしても、印象にそう大差はなかっただろうと想像される。最近のこれでもかといった風のクドい展開に慣れた今の若い人が「史上最恐のホラー映画」などという惹句に乗せられて観たとしても、肩透かしを喰らうのはまず必至だろう。
とはいえ、登場する幽霊のメイクは、当時としてはかなりグロな方だろうし、おどろおどろしい音響効果も悪くはない。ネガポジ反転の映像はすでに「アウターリミッツ」の「宇宙人現わる」で使用されていたが、幽霊にこそ相応しい手法だろう。クライマックスではこれが突然現れたかと思うと襲い掛かってくるのだ。CG全盛の今なら驚くには当たらないが、まだ素朴な特撮しかなかった当時、これをテレビで観ていた子供達にはさぞかしショッキングだったのではあるまいか。未だにトラウマになっている人が存在することも頷ける。もし、毎回こんなのが手を変え品を変え登場するようなストーリーでシリーズ化していたら、後年の「事件記者コルチャック」に先立つオカルトシリーズとして人気が出ていたかもしれない。
話の中で、幽霊から電話が掛かってくるという趣向は、同時代のSF番組「ミステリーゾーン」(「トワイライト・ゾーン」)のエピソード「長距離電話」(子供のおもちゃの電話に霊界の祖母から電話が掛かってくる)を思わせる。しかもこれがちょっとしたミスディレクション(亡くなった母の幽霊と思わせて・・・)みたいになっているところが面白い。ジョゼフ・ステファーノはライバル番組のあのエピソードを覚えていてネタに利用したのかもしれない。
今回再見して完全に記憶違いをしていた点がいくつか分った。記憶では幽霊が登場する背面の壁が真っ白だったのだが、実際見てみるとどちらかというと暗い壁なのである。また、あんなクリムゾンゴーストみたいな頭巾は被っていなかった印象なのだが、しっかり被っているではないか。やれやれ。
あと、これは蛇足だが、実は自分の記憶では昔放送したのは荻昌弘氏の「月曜ロードショー」の方で、荻氏が冒頭の解説で「これがテレビで観られるなんて!」と大いに煽った解説をされたと覚えていたのだが、放映が「日曜洋画劇場」であったことは間違いないようなので、どうやらこれも他の映画の解説と取り違えていたらしい。自分の記憶力の悪さにほとほと呆れ果てている始末である。

ともあれ、数十年ぶりに幻の映画を観る機会を与えてくれた関係各位には感謝の意を表したい。この作品が現時点で「史上最恐」でなかったとしても、Jホラーに影響を与えたかもしれない重要作であり、少なくとも60年代のホラー映画の中でも記憶に残る1本であることは間違いないだろう。DVD化に向けての地道な努力がなされていると聞くが、数々の障害があって難航しているという。多くのホラー映画ファンのためにも、いつかソフト化が実現することを願っている。

[出典:http://d.hatena.ne.jp/ALI_Sir_Hatt/20100209/1265725734]

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