短編 山にまつわる怖い話

キャンプ(3)結末 【ゆっくり朗読】870-0101

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『キャンプ(その後)』の続きです。

686 :キャンプ(結末):2009/05/06(水) 17:04:47 ID:4ZMv95L/0

キャンプから帰った後、グエンとチャンに何が起きたのか、2人と交流のあった人たちの話を繋ぎ合わせて書きます。
ほぼ全部が伝聞なため、どこまで正確かは分からない。
あと伝聞ばかりなため、オカルトあまり関係ないかも。
※話の展開上、伝聞が多いため、口語調の部分は殆どありません。少し違和感あるかも。

夏休みが終わり大学へ行くと、グエン、チャンとそこそこ交流のあった友人が俺達に話しかけてきて、変なことを言ってきた。
グエンとチャンがキャンプについて友人に話したらしいが、長いので要約すると…
俺と山本、安西と一緒にキャンプへ行った。(そこまでは合っている)
問題はそこからで、キャンプ地で洞窟を見つけたのだが、
グエンとチャンは、面白そうなので見てみたいと、行ってみようとしたという。
一緒にいた安西は暗がりが怖いのか怯えていたが、独りになるのも嫌なようで付いて来た。
洞窟の奥には小さな建物があり(祠の事だろう)、それだけだったので引き返そうとすると、
安西が建物の扉を開けて、中の石を持ち出そうとしていた。
グエンとチャンがそれに気付き、注意したが聞き入れられず、そこで喧嘩になった。

そこまで聞いて、俺は事実と違うと話したが、
友人は何か思わせぶりに、「まあ分かってるから最後まで聞いてくれ」と先を続けた。

その夜、石のせいで俺と山本と安西が幽霊に襲われ、ガタガタ震えながら泣いて謝っているのをみかけたので、
グエンとチャンは勇気を振り絞って飛び出し、「石は返すから」と幽霊を説得し、追い払ってあげたらしい。
翌朝にグエンとチャンが、昨夜の事は石のせいなのだから、返しに行こうと俺と山本と安西を誘ったが、
恐ろしくて行けないということで、変わりにグエンとチャンが返しに行って、そのまま帰った。

俺はあまりのバカバカしさに、怒りすら湧いてこなかった。
何であの晩の事が、グエンとチャンの武勇伝みたいになってるのかと…

俺は友人に、話しの内容が大きく改変されている事、
大筋で俺と山本、安西の位置が、グエン、チャンと入れ替わっており、しかも所々に妙な脚色まである事や、
俺達が2人の巻き添えで、夏休み中酷い目にあった事を伝えると、
友人は「だろうなw」と、全て分かっていたかのように笑いかけてきた。
ちなみにその友人は、自分も妙な現象を見るまで、幽霊の話はネタだろうと思っていたとか。

友人が言うには、キャンプからもどって数日後。

グエンとチャンの姿を見かけると、後ろに黒いモヤのようなものが見えたり、
グエン、チャンといっしょにいると、ブツブツと囁き声のようなものを聞いたりと、怪現象が続いたので、
恐らく原因を作ったのはグエンとチャンだろうと、直感的に感じていたらしい。
更にこの直感に追い討ちをかけたのが、
話を聞いてから2週間後くらいから、グエンとチャンはグエンの部屋にこもるようになり、
(親が金持ちらしく、そこそこ立派なマンションに住んでいた)

金をおろすのと飯を買いに一階のコンビニへ出かける時以外、殆ど外に出歩かなくなってしまった。
そのため友人は、「やはり原因を作ったのはこの2人だったか」と、妙に納得したとか。

友人はこれ以上は詳しく知らないらしく、その後2人と会っていない。
というか、電話をしても外に出ようとせず、友人に会おうともしないうえに、
篭っている事情も一切話さないため、今どうしているのかは知らないという。

この話を聞いたあと、夕方近くに安西から携帯に電話があった。

安西が言うには、グエンとチャンがキャンプでの話を改変して、あちこちに言いまわっていたため、
安西や俺達は霊現象を別にしても、ヘタレのレッテルを貼られてしまっていて、誤解を解かないとまずいようだ。
山本にも連絡を取り、なんとか誤解を解く方法は無いかと話し合ったが、結局良い案は浮かばず、
1人1人誤解を解くしか無いという結論になった。

この後、実はある出来事を切欠に、誤解はある程度解けたのだが、それは省きます。
大雑把に書くと、グエンとチャンがゼミの教授に泣き付いて来たのだが、
その時話した内容が、それまでの『武勇伝(笑)』と違っていたため、それを切欠に2人の嘘はばれた。

この一件があるまで俺と山本、安西は、グエンとチャンも俺達がお払いした神社へ連れて行くつもりだった。
しかし、酷いようだが、あれだけ怖い思いをした挙句に、こんなデマを流されたので最早その気は無く、
俺は山本、安西2人と話し合って、留学生2人を放置する事にした。

大学が始まってから2週間後、ようやくグエンとチャンが大学に現れた。
俺達はもう2人に関わる気が無かったので、2人を無視していたんだが、
山本と安西が学食で飯を食っていると、グエンとチャンが現れて因縁をつけてきたらしい。
俺はその時、別の友達と大学の外で飯を食っていたので難を逃れた。

以下2人の話。

山本と安西が他の友達数人と飯を食っていると、
グエンとチャンが同じ留学生仲間何人かと、2人と仲の良い日本人何人かを連れて、2人のところにやって来た。
そして、「お前らのせいで酷い目にあっている」と、大声で喚き散らしてきたらしい。
留学生2人の話を要約すると。
あれから毎晩のように無言電話がかかってきたり、水道の蛇口から例の臭い液体が流れ出したり、
夜中に窓を外からバンバンと激しく叩く音が聞こえてきたり、
駅のホームで電車を待っていると、後ろから突き飛ばされてホームに落ちそうになったり、
青白い顔の例の連中に後を付回されたりと、かなり色々起きているらしい。
しかも、最近はその頻度が多くなってきていて、あまり外に出る気も起きないとか。

ひとしきり話すと、グエンが安西の胸倉を掴み、「お前のせいだ、お前が原因だ!」と殴りかかってきた。
それを見ていた山本や友人達が、グエンを取り押さえた。
すると、暫らく喚いていたグエンと、山本たちを引き剥がそうとしていたチャンは、窓の外を凝視して動かなくなり、
暫らくすると、「あああああああああああああああ!」と絶叫しながら逃げていった。
グエンとチャンは何かを見たらしいのだが、山本や安西とその友人たち、それとグエンとチャンの仲間には何も見えなかったらしく、
暫らくグエンとチャンが逃げていった先を呆然と見ていた。
グエンとチャンの仲間は、2人が逃げていってしまったためどうすることもできず、そのまま帰って行った。

俺は山本と安西からその話を聞いて、夏休み中のこともあって怖かったが、まあ自業自得だろうとしか思わなかった。
ちなみに、グエンを引き剥がそうとしていたAによると、
微かにではあるがグエンから、例の生臭いというか腐臭というか、『あの臭い』がしていたらしく、
多分、またどこかで塗りたくられたのではないか、とも言っていた。

グエンとチャンはゼミが同じなので、その後も何度か顔はあわせたが、
お互い会話する事もなく、学食での一件のように因縁をつけられる事もなかったが、2人は会うたびに俺達を睨みつけていた。

そんな事が暫らく続いたある日、事件が起きた。

どうも2人が失踪してしまい、5日ほど全く連絡が付かないらしい。
それから更に3日後、2人は民家の庭で泥だらけで震えているところを、警察に保護されたとか。
(泥だらけと聞いたが、俺達は恐らくまたあの液体を塗られたのだろうと思った)

ちなみに、失踪前にある出来事があったため、俺達は何か大きな事件が起きる事が想像できていた。
それは何かというと、2人が失踪する前日、俺達が大学の帰り道でグエンとチャンを見かけたのだが、
2人の後ろを、十人ほどの集団が付いて行っているように見えた。

何となくその後姿を見ていると、その集団のうち1人がこちらを振り向いた。
その時、俺と山本、安西は硬直した。
格好は普通のサラリーマン風だったのだが、そいつの顔についている目は、俺達が夏休み中に見た『あの目』だった。
一瞬だったが間違いない。外が明るかったのではっきりと見てしまい、非常に気持ち悪かった。

グエンとチャンが、なぜ、数日間失踪したのか、その間何をしていたのか、その辺りは分からない。
その事件のあと2人は暫らく入院していたが、親が2人を連れて帰国し、そのまま大学を自首退学したらしい。
彼ら2人の身に何が起きているのか、今後何が起きるのか、それは考えたくも無い。
どちらにしろ、ろくな事になはらないだろう。

最後に私見だが、一連の事件では必ず、生臭いというか腐臭のする黒い液体が関わっている。
もしかするとあの液体が、『気持ち悪い目の集団』が標的を追跡する目標になっているのではないか?と思った。

かなり長い話になってしまいましたが、これで俺の体験は全て終わりです。
お払い以降、俺達には何も起きていないため、もう大丈夫だと思います。
長々とお付き合い有難うございました。

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