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短編 山にまつわる怖い話

キャンプ(2)その後【ゆっくり朗読】770-0101

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昨日から『キャンプ』という題名で、体験談を書いた者です。

567 :キャンプ (その後)1:2009/05/05(火) 19:13:50 ID:eozpO8580

時間が出来たので、後日談を書きます。

ちなみに、『直接的には何も無かった』『間接的に色々あった』というのは、
実害がなかっただけで、俺と山本、安西にも、その後怪奇現象?というか何と言うか、恐ろしい体験はしました。
留学生2人に関しては、又聞きで色々聞いているのだけど、それも長いのでまた後日にします。

キャンプからもどってから数週間、その間は特に何も無く、
課題をこなしたりレポートをしたり、バイトをしたり遊びまわったりと、平和な日々が続いていた。

事件から1ヶ月くらいたった夏休みの終わり頃、
(ややこしくなるので最初に説明しておくと、俺は学生専用のアパートに住んでいて、山本と安西も同じアパートの住人)

昼過ぎに安西と山本が俺の部屋を訪れ、ゲームをしたり漫画を読んだりとゴロゴロしていると、
下の階の住人が俺の部屋へやってきた。

ドアを開けると、

「何やってるのか知らないけど、うるさいんだけど」

「そんなに大音量でやってるつもりなかったけど、ゲームの音うるさかった?それとも声がうるさかった?」

「いや、そうじゃなくて。さっきからお前ら、部屋の中を大人数でバタバタ歩き回って、何してるんだよ」

「別にバタバタ歩き回ったりしてないんだが…ずっとゲームやってたし…
まあ気になったならすまん。静かにする」

それで下の階の住人は帰ったんだが、何か変だな?とは思いながら、
山本と安西には、「下から苦情が来たのでちょっと静かにしよう」と言っておいた。

30分くらいすると、また部屋のチャイムが鳴った。
出るとまた下の階の住人で、今度はかなり怒っている。

「お前らいい加減にしろよ。バタバタ歩き回ったり、ブツブツなんか聞こえてきてウザイんだけど。
こっちはレポート纏めてる最中なのに、集中できないんだけど」

窓締め切ってかなり静かにしていたのに、こういわれて何か釈然としないが、まあもめるのも嫌なのでこう返した。

俺「そりゃ悪かった。注意してたつもりなんだけど、まあいいや。
俺達これから出かける事にするわ。それなら問題ないだろ?」

そもそもこのアパートは結構新しく、そんなに音が響くわけ無いし、
最初に注意されたとき以来、かなり静かにしていたのに、理不尽だなと思いながら、
山本と安西に事情を話して、でかけようと切り出した。
今から考えると、今まで結構騒いでもどこからも苦情がなかったので、
この時に変だと気付くべきだったかもしれない。

時間は午後2時頃。

とりあえずゲーセンとかに行って、暇つぶしでもしようということになり、俺達はアパートを出た。
それからゲーセン行ったり買い物したりと時間をつぶし、ファミレスで晩飯を食っていると、
今度はアパートの管理会社から、携帯に電話があった。

「ドリームハイツを管理しているサンライズ動産の者ですが、203号室の溝口さんでしょうか?」

「そうですけど、何ですか?」

「実はそちらの部屋がうるさいと苦情がありまして、お伺いしたのですが、ご不在のようなのでお電話しました」

「ああ苦情来たので、昼過ぎから出かけていました。以後注意します」

またかよ…と思い、俺がうんざりしながら答えると、不動産屋が変な事を言い出した。

「昼過ぎというと、何時頃からですか?」

「確か2時か2時半頃だったと思うんですが」

「それは間違いないですか?注意して欲しいと苦情の電話があったのは、6時過ぎ頃なのですが…」

今の時間は午後8時過ぎ。あれから一度も帰っていないので、どうもおかしい。
山本と安西に事情を話し、不動産屋には今から帰るので、部屋の前で待ち合わせする事になった。

アパートに着くと、不動産屋(30歳くらいの女の人)が待っていて、
苦情の電話をしてきたのがやはり下の階の住人だったので、まずそこへ行く事となった。
出てきた下の階の住人はやはりかなり不機嫌で、話によると、
あれから暫らくは静かだったが、5時過ぎ頃からまたうるさくなり、
注意しても誰も出てこないので、管理会社に電話をしたらしい。

俺があの時に出かけたまま帰っていないことを話すと、最初は疑っていたが、
買い物をしたときと、ファミレスで飯を食ったときのレシートの時刻を見せると、流石に納得した。

不動産屋「あの…もしかして空き巣では?」

住人「さっきまで、うるさかったから、まだいるかも」

山本「マジかよ…溝口、お前、鍵ちゃんとかけたか?」

俺「ちゃんと掛けたけど、お前も見てただろ。つーか、俺の部屋入って何盗むんだよw」
安西「とりあえず部屋に行ってみて、確認すればはっきりするんじゃね?」

ということで、俺と山本と安西、それと不動産屋と下の階の住人で、俺の部屋へ行ってみる事となった。

俺の部屋に着くと、予想通り鍵は掛かっていた。

空き巣が鍵をした可能性もなくはないので、俺が鍵を開けて中の様子を見たが、玄関から見た範囲におかしなところはない。
全員で俺の部屋に入り、部屋の中やユニットバスの中なども調べたが、矢張りなにもない。
出て行く前に飲んだジュースのペットボトルとかもそのままで、人が入ったような痕跡はまるで無い。
下の階の住人は何か釈然としない顔をしていたが、人がいた痕跡は全く無いのが現実で、
どこか他の部屋の音を、俺の部屋の音と勘違いしたのでは?などと話していると、
玄関横のユニットバスの部屋から、

…ズズズズズ…

…ガコッ…ガコッ…

と、変な音が微かに聞こえてきた。

俺「何?風呂場からだよな?」

安西「さっき見たときは何も無かったけど…」

不動産屋「何か臭くないですか?」

とりあえず中を確認しようと、扉を空けた瞬間、異様に生臭いというか、腐臭に近い臭いがしてきた。
鼻を押さえて中を覗き込むと、バスタブの排水溝から、黒い液体がゴポゴポと湧き上がっている。
臭いの元はそれらしく、排水溝の奥からガコッ…ガコッ…と、変な音は相変わらず聞こえてくる。
あまりの臭さに、顔をしかめながら窓を全開にして換気扇を回していると、俺はある事に気が付いた。
この臭いって、キャンプのときにグエンとチャンに塗られた、黒い液体と同じじゃないか?

俺「山本、安西ちょっと…この臭いって…」

山本「ああ、お前もそう思ったか」

安西「…偶然だよな…」

そんな話を俺達がこそこそと話ていると、ハンカチで鼻と口を押さえながら不動産屋が、
「騒音の原因はこれかもしれませんね。
明日業者に来てもらうので、溝口さんは、こちらでホテルを用意します。そちらで一泊してもらえませんか。
これではここにいるのは無理でしょうし」
本来ならこの提案は受けるべきなんだが、
俺は臭さと同時にあの時の恐怖が蘇っていたため、とてもこれから一晩一人で過ごす勇気は無い。
不動産屋には、「今日は山本か安西の部屋に泊まるのでそれは良い」と言い、そそくさと全員を部屋から出し鍵を閉めた。
とてもじゃないが、あの部屋にこのままい続けるのは、臭いもあるがそれ以上に、『やつら』がきそうで恐ろしかったから。

下の階の住人は、配水管が詰まったか何かして、変な音がしていたのだろうと納得し、
俺に「誤解をしてすまない」と軽く謝罪をすると帰って行き、
不動産屋も、明日の予定を軽く説明すると帰って行った。
残された俺達は、恐らく真っ青な顔をしていたと思う。

俺「ただの配水管の詰まりかなにかだよな?あれは関係ないよな?」

山本「俺達関係ないだろ…石持ち帰ろうとしたのはグエンとチャンだし」

安西「…偶然だろ。ありえねーよ」

とにかく3人とも「偶然だ」ということで済ませたかったが、臭いが正にそのままなうえに、変な音というのも気になる。
皆一人で夜を明かすのは恐ろしかったのか、今晩は安西の部屋に3人で泊まる事にした。
それから安西の部屋で、朝まで起きているつもりだったのだが、
何か妙に3人とも眠気があったため、1時過ぎ頃寝る事にした。

深夜3時頃、俺は安西に起された。山本も起されたらしい。
何で起したのか聞いてみると、安西が言うには、
窓の外から大勢の話し声が聞こえてきていて、それが徐々に近付いてきているらしい。
聞き耳を立ててみると、確かに何か聞こえる。

山本「神経質になりすぎじゃないか?誰か外で話してるだけだろ」

安西「いや…でも」

俺「何だよ」

安西「ここ3階だぞ。何で下じゃなくて、横から声が聞こえるんだよ」

たしかに言われて見ればそうだ。
気のせいなのかもしれないが、何か気味が悪い。
ひとまずもう寝ていられないので、
電気をつけてゲームの続きでもしようと、山本が電気をつけるため天井のほうを見た。
山本がそのまま絶句して硬直している。
何事かと俺と安西が、山本の見ているほうを見てみると…

何十人という青白い顔が、俺達のほうを無表情に凝視していた。

体は無い。顔だけが天井に何十と張り付いている。

「うああああああああああ」

俺達はもう恐怖心で恐慌状態になり、着の身着のまま安西の部屋を逃げ出した。

俺と山本、安西は、もう部屋に戻る気になれなかった。
明るくなったらすぐ、神社かお寺で御払いをしてもらう事にして、
そのまま恐怖心を紛らわすため、カラオケボックスで日が高くなるまで、無理にハイテンションになって歌い続けた。

午前10時頃

俺達は携帯で、2駅先に神社がある事を調べ、そこで御払いをしてもらうため電車に乗った。
俺は電車の中である事に気が付いた。
俺達を見ていた顔、普通の人の顔ではなかった。
青白いとか死人っぽいとか、そういうのではない。
おかしかったのは、そいつらの目。
普通の人の目は大雑把に書くと、

<◎> <◎>

だよな。

俺達が見た顔の目は、
<◎>が縦になっていた。

上手く伝わるだろうか?
目が横に水平では無く、縦に平行になっていた。

要するに人じゃない。
後から聞いてみると、山本と安西もそれに気付いていた。

神社に着き、神主の人に事情を話すと、かなり胡散臭そうな顔をしていたが、
俺達があまりにも必死な顔で話すので、一応最後まで真剣に聞いてくれて、お払いもちゃんとやってくれた。
神主の人が言うには、その祠に二度と近付かないなら、多分大丈夫だろうとのこと。
お払い後は、俺達に妙な事は起きていない。
もう一つ、キャンプのとき一斉に振り向いた顔。
それも同じ目をしていた事を、なぜかお払い中に不意に思い出した。

以上が俺達の体験。
留学生のグエンとチャンに関しては又聞きが大部分だが、色々あったようで、それは最初に書いたように後日。

書き忘れていました。

翌日不動産屋から電話があったのだが、業者に見てもらったところ、配管には何の問題もなかったらしい。
一応何かが逆流してきたのは事実なので、他の部屋や地下の配管も調べたが結局何もなく、
暫らく様子を見るという事になったとか。
その後、配水菅の逆流とかは起きていない。
お払いが効果あったのだと思いたい。

ちなみに、掃除業者が入って、俺の部屋のユニットバスを綺麗に掃除してくれたのだが。
暫らく臭いが取れず、臭いが消えるまで俺は、不動産屋の用意してくれたホテルで10日ほど暮らす事になった。
何か少し得した気分だった。

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