ちょっとこの前帰省したときに怖いことがあったんだ。
1 :名無しさん :2014/03/31(月)15:52:07 ID:VpAQsb0r7
作り話だと思ってくれてもいいから聞いてくれ。
俺は東京で学生やってるんだけど、昨日まで田舎の岡山に帰省してたんだ。
それで一年ぶりぐらいに両親の顔を見てきた。
実家は俺が大学に入った後に引っ越したから、俺には馴染みが薄い土地だった。
なんせ新しい実家に帰ったのはこの前で二回目だからさ。
前は倉敷にあったけど、新しい家は岡山市だった。
岡山市って言っても全然田舎だよ。
地方住みの人は分かるかもしれないけど、駅から離れたとたんに田舎化するじゃん?
岡山駅から車で四十分ぐらいの場所だから、住宅街の合間にちょいちょい田んぼや畑がある中途半端な田舎って感じ。
で、新しい実家に帰省したわけだけど、やることもないから暇してた。
それで、よく考えたら新しい実家の周りを散策したこともないな、と思ってチャリで散策することにした。
で、なんか河川敷みたいなところを走ったり、コンビニの場所をチェックしてたりしたら、なんか山と言うか丘みたいな場所の入口?登山口?みたいなのを見つけた。
そりゃ登るじゃん。
だって暇だもん。
入口にチャリを置いて登り始めたのさ。
山と呼べないぐらいの標高だからさ。
三十分ぐらいで頂上なのよ。
頂上つってもなんか小さい公園みたいな感じだったけど俺は馬鹿だったのさ。
そうだよ、もうすぐ日が暮れるんだよ?
東京じゃあ街灯だらけだから夜が来ても明るいけど、忘れてたけどここ岡山じゃん!!
しかも今は山の中じゃん!!
日がかたむきかけてたから急いで下りようと思ったのさ。
登ったのが三十分ぐらいだったから二十分ぐらいで下りれるかな、とか考えてたら急に話しかけられた。
女の人だった。
え?いたの?みたいな感じだったよ。
「どこから来たんですか?」って話しかけてきた。
なんでいきなりあいさつもなしに、そんな質問なんだよって思ったけど、その女の人はすっごいニコニコしてる。
「まぁ東京から」って俺は答えた。
嘘はついてないよね。
「そろそろ日が暮れそうだから早く下りた方がいいですよ」って俺は言ったのよ。
でも、その女の人は何も言わないでずっと俺を見つめてニコニコしてるのさ。
「なんだこの人」って感じじゃん?関わりたくないなと思い始めたのよ。
なんだかその人のニコニコ顔が不気味に見えてきてさ。
目だけが笑ってないような…全力の愛想笑いみたいな…
上手く説明できないけど違和感があった。
「俺は先に下りますんで」って言って少し早歩きで下り始めたのよ。
もしかして付いてきてるかもと思って、途中で振り返ったけど誰もいなくてホッとした。
チャリが置いてある場所までたどり着いた頃にはもう暗くなり始めていた。
あの女の人、大丈夫かなと思ったけどさっきのニコニコ顔を思い浮かべたらちょっと怖くなってきたから帰ることにした。
「名前はなんて言うんですか?」
チャリに手をかけた瞬間に後ろから声をかけられた。
急いで振り向くとあの女だった。表情は変わらずにニコニコと俺を見つめていた。
もうこの瞬間に俺はパニックよ、だっておかしいじゃん!!
途中で何度か振り返ったけどこの人いなかったし、そんなすぐに俺に追いつくか!?
ていうかなんでわざわざ俺に名前なんか聞くんだよ!?
俺が何も言えないでいると、その女の人は再度名前を聞いてきた。
おれはとっさに「さ…斎藤です…」と答えた。
もちろん偽名だよ。出発前にwikipediaで新撰組の斎藤一のページ読んでたからとっさに出てきた。
その女は何も答えずに俺をニコニコと見つめていた。
「お、俺もう帰りますんで!!」
ってチャリにまたがると全力でこぎ始めた。もう必死ですよ、振り返らずに全力疾走ね。
家路の途中にあるコンビニまで来たらすぐにコンビニに入って立ち読みして気持ちを落ち着けた。
で、その後は何事もなく家まで帰れた。
家に帰って母ちゃんに話したけど信じてもらえず
「あんた彼女いないし幻でも見たんじゃないの?www」って言われた。
「常に全力で愛想笑いする彼女など幻でもいらんわ」
とかつっ込んでたらなんだか冷静になってきてさ。
もしかしたら地元の人で、俺が知らない近道で下りてきたのかもとか考え始めたよ。
そっから一週間ぐらいは実家にいたんだけど、特に何もなく東京に帰ることになった。
これが昨日のこと。
で、新幹線で帰って来たのさ。
東京駅で電車に乗ろうと思ってホームで待ってたら死ぬほど驚いた。
反対のホームにあの女がいたんだよ。
服装から何からあの日のままだった。
ただ一つ違うのはあのニコニコ顔じゃなかったんだ。
正に無表情ってやつだった。
でも俺が驚いてその女を見てたら向こうも俺に気付いたみたいでこっちを見てきた。
目が合った瞬間に口の端が横に伸びてあのニコニコ顔になった。
もう本当に泣きそうになった。
何かを俺に向かって言ってたみたいだけど声が小さくて何言ってるかは分からなかった。
その女が急にホームの階段の方に走り出したところで電車が来た。
俺は飛び乗って早く出発してくれと心の中で叫んでた。
結局、その女がどこ行ったかは分からないまま電車は発進した。
で、自宅に帰ってきたのが昨日の深夜。
もうあの女に会うことがない様に願ってる。
オチが弱くて申し訳ないが実際にあったことだから仕方ない。
ちなみに俺は霊感とかいっさいなくて幽霊を今までに見たこともない。
(了)