短編 ほんのり怖い話

出産因縁話【ゆっくり朗読】1500

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今から10年くらい前の話。

95 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 18:13:07.63 ID:mLIB82Dq0
当時私は妊娠してて、母親の友達Aの息子嫁となんと予定日が同じという偶然。

そんなんで初孫を迎える親同士で盛んに交流してたらしいのね。

私の赤は逆子が戻ったりまたひっくり返ったりを繰り返してて異様な状態だった。

医者に8ヶ月目位には心配だから帝王切開で分娩しましょうって言われて、異論はなかったの。

無事生まれてくるならお腹切って痛いのなんか我慢できるもの。

私が母親に会いに職場に行ったらAがいて、その話になった。

「うちのお嫁さんも帝王切開したほうがいいって言われてるのよねー」とA。

あとで母親が教えてくれた。

Aのお嫁さんは自然分娩で産むのにこだわってて説得に応じないんだって。

でもまあ 何かトラブルがあれば医者もいるんだし平気だろうって、当時は母親も私も軽く考えてたのね。

そんなこんなで、私は予定日より少し早く決まった手術日に赤を無事出産。

赤は臍の緒が首に2巻きになってて自力で出るに出られない状態だった。

お腹切ってもらってつくづく正解だったと思ったわ。

Aの嫁もそのあと出産。

ひどい難産で危険な状態になっても、帝王切開は嫌だって最後までごねてしまったらしい。

自然分娩はしたけれど、なんと私と同じく臍の緒が絡まってたそうだ。

赤は仮死状態でNICU(新生児特定集中治療室)にすぐ送られたけど、
呼吸も出来ず脳にダメージを負っているのが判明した。

同じ出産日で、わけあり出産で、明暗がはっきり別れてしまったのだけでも後味が悪いんだけど、
このあととんでもない展開を迎えたのよね・・・

105 :本当にあった怖い名無し:2011/07/14(木) 01:29:38.00 ID:E/xkdEqF0
Aの赤の件は、私が帰省するとたまに話題になった。

聞こえてくるのは、赤がずっと入院したままだとか、後遺症が重くてほぼ寝たきりらしいとか、気の毒な内容ばかり。

Aは初孫がそんな状態になってしまった現実を受け入れられないようで、いつも母親に愚痴っていたそうだ。

最後に私が聞いたのは、お互い子(元赤)が3歳になるかって頃。

でも動けないし話せないんで、病院にリハビリ通いながら自宅で夫婦で介護頑張ってるらしいよって。

それから私ら家族は旦那の転勤で海外に一年引っ越した。

帰国してからは子の幼稚園だ小学校だって忙しくなって、帰省も盆正月だけになって、
いつしか私はAの孫を忘れちゃっていた。

そして時はさらに過ぎ3年前だ。

次の子も無事授かって七五三どうしようって話してたてたとき、私はふとAの孫を思い出して聞いてみた。

母親の顔色がさっと変わった。

「あのね・・・あの子死んじゃって」
合併症でも起こしてしまったのかと、てっきり私は思った。

でも次の母親の言葉を聞いて愕然とした。

「殺されちゃってね・・・首締められちゃって・・・」

106 :本当にあった怖い名無し:2011/07/14(木) 01:33:17.59 ID:E/xkdEqF0
Aの孫は脳性マヒがひどくて、リハビリも進まずほとんど回復しないままだったらしい。

事件は私が海外にいる間に起きて、孫は3才で死んでいた。

犯人はAの息子だった。

周りの同じくらいの年の子供がすくすく成長していくのに比べ、自分の子供はいつまでも寝たきりで、
将来を悲観して発作的にやってしまったそうだ。

恐ろしかったのはAが、
「○美さんはお医者の言うことを聞いてちゃんと元気な子を産んだのにあんた達は!!」
って、事あるごとに私の名前を出して息子夫婦を責めていた事実だった。

友達筋にもそれ平気で話してて、ドン引きされていたらしいけどね。

事件が起きて騒ぎになって、誰かが母親に知らせてきたんだって・・・

私の名前を息子夫婦がどんな気持ちで聞いていたのかと思うと、今でもいたたまれない気持ちになる。

母親も私がショックを受けると思って話さないでいたらしい。

確かに知らないままでいたほうが良かったと思う。

私は息子夫婦も殺された子も、話に聞くだけで直接は知らない。

でも向こうにとっては私の名前は忘れられないだろう。

自分が事件の手引きをしたわけではないが、追い込むきっかけになってたらと考え出すと、なんとも後味が悪い・・・

後日談としては、
Aの息子は自供もきちんとして、彼が手を下したのは間違いないようなのだが、
「息子は嫁に罪を着せられたのよ!!冤罪よ!!」
Aはそう触れ回って、あきれた母は縁を切ったそうだ。

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