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不可解な現場写真 r+4123

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警察官のいとこから聞いた話だ。

彼の仕事柄、現場写真を大量に撮影する機会があるそうだが、時折、説明のつかないものが写り込むことがあるという。普段は真面目で冗談を言うようなタイプではない彼が、その話をする時だけは少し真剣な顔になるのが印象的だった。


高速道路での事故現場

雨上がりのぬめった路面に、砕け散った車両と犠牲者の痕跡が点在していた。カメラのシャッター音だけが、無機質に鳴り響いていたらしい。連続して撮影した数十枚の中に、明らかに異質な一枚があったそうだ。そこには、犠牲者の遺体に視線を向ける、同じ服装、同じ髪型の「もう一人の犠牲者」が写っていたという。そしてその周囲には、十数人の無表情な人々が立ち尽くしていたらしい。全員の顔が薄ぼんやりとぼやけていたが、目だけは鋭くカメラを見据えていたという。


放火殺人の現場

焼け落ちた建物の前には、野次馬たちが無遠慮に集まっていた。その中に、一人だけ火事現場と逆の方向をじっと見つめている男がいたそうだ。奇妙なことに、後日確認された被害者の顔写真とその男が、まるで同一人物だったというのだ。「もしあの時、男の視線の先を追っていたら何か分かったかもしれない」と彼はいったが、実際には捜査に役立つ情報は何も得られなかったという。


自裁現場

夜遅く、薄暗いマンションの一室で撮影したという。遺体はすでに搬送され、残された痕跡を記録するために撮った連続写真に、やはり異常なものが写り込んでいた。その中の一枚だけ、全く見知らぬ人物が血まみれで床に倒れていたという。その人物は靴を履いておらず、顔は異様に青白く、目が虚空を見つめていたらしい。いとこは確認のため何度も現場を見直したが、その場には何も残されていなかったという。


ある死体遺棄の現場

かつて戦時中に軍の演習場として使用されていたという荒涼とした草地だった。遠くにぼんやりと写っていたのは、銃剣を構えた日本兵の姿。その佇まいには、現代の人間にはない不自然な硬さがあったという。撮影者であるいとこは、気のせいだと思いたかったが、写真の日本兵がじっとこちらを見ているように思えてならなかったそうだ。


もっとも不可解だったのは、とある殺人事件の現場検証での写真だった。

一見、何の変哲もない連続写真の中に、一枚だけ犯人の顔が半透明になり、その奥に骸骨のようなものが映り込んでいたという。

写真を見返したいとこは、「こんな写真が証拠になるわけがない」と苦笑したそうだ。後日、その犯人が拘留中に急性肺炎で獄死したと聞き、彼はその写真を思い出して嫌な汗をかいたという。


いとこは、こういった話をするのに慣れているらしく、最初の頃は驚いて上司に報告したものの、「気にするな」と軽く笑われただけだったそうだ。「俺も今では、なかったことにしているよ」と彼は言う。「こんなの、誰かに見せたところで仕方がないしな」。

彼のその一言が、妙に胸に残った。もしかしたら、まだ誰も見たことのない「何か」が、他の写真にも潜んでいるのかもしれない。

(了)

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