十年近く前の俺が大学生だった時の冬の話。
270: 本当にあった怖い名無し 2015/06/10(水) 19:37:23.82 ID:kOmldBE+0.net
田舎だから大学には車で通ってたんだけど、その日も大学に車を走らせてたら、本当に突然、なぜだか無性に山に行きたくなった。
それで突発的に車で一時間くらいの距離にある山に行くことにしたんだ。
その山には車を置いて、徒歩で四十分くらいのところに滝があるんだけど、けっこうなケモノ道とか、川を渡ったりとかしなきゃ行けないところで、俺は大学に行く格好のままその滝を目指して歩いた。
途中で何人かすれ違った登山客が、えって顔でこっち見てたな。
冬だし、山登りの恰好じゃないし、あやしいと思ったんだろうな。
まだ雪は降ってなかったから、俺は滝に着いて、適当に近くの岩に腰を下ろしてそのままぼーっとしてた。
なんかすごい楽しくて、今日は大学行かずにずっとこのままここにいようと思った。
けっこう気温は低かったはずだけど、寒いと思った記憶はない。
そのうちだんだん眠くなってきて、俺はそのまま眠っちゃったらしい。
そしたら夢の中に死んだじいちゃんが出てきた。
じいちゃんはきりっとした軍服みたいの着てて、周りが白く光ってた。
そんで、微笑みながらたった一言、「大丈夫だよ」って言った。
その瞬間目が覚めた。
もうその場にいたいという気は失せてて、俺はいそいで山を下りた。
幽霊にあったとかじゃないけど、もしあのまま眠りこけてたらと思うと、俺的には洒落にならない話。
今思えばあれ、じいちゃんの海軍だった時の制服なんだろうな。
じいちゃんはミッドウェーで沈んだ某空母に乗ってた。
それ以来、一人で山には行ってない……
(了)
[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1432129078/l50]