短編 怪談・実話系

社長のコップ酒【ゆっくり朗読】2600

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俺は飲食店の店長をやってる。まあ、いわゆる雇われだけど。

2012/01/24(火) 19:45:54.48 ID:e1EP900/0

勿論の事、店全部を任されている。開店から閉店まで。

休みもほとんど無いにひとしいかな?

だからこそ気が付くんだよな。店のちょっとした変化に……

去年の盆前辺りから急激に客足が減った。

勿論売り上げが良く無い。そんな時は社長が来る。

ある日、とうとう社長が来た。

俺は、文句を言いに来たんだな……と思ってた。

だけど社長は文句を言わず、

「お疲れ! 毎日大変だけど頑張ってくれ! ちょっと一服でもしてこいよ 」

とコーヒーの差し入れ。

正直、俺は気味が悪かった。

今までにこんな事が無かったからだ。

特に用事がある訳でもなさそうで、すぐに帰って行った。

だけど俺はすぐに気が付いた!

店の隅に盛り塩、上の棚の所にはお札、カウンターの端の目立たない所にコップに入った水らしき物……

俺は心霊的な物は信じて無い事も無いが、今までに見たとか感じたって事が無かったから、こんな事して売り上げが上がるならみんなやるわ!くらいで気にもしなかった……

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だけど異変はすぐ出た。

次の日店に来ると、コップの中身が明らかに減っていた。

半分以上入っていたのに、残りはコップの底からほんの少し。

蒸発したのか?程度の事しか思いつかなかった。

だけど、原因が蒸発じゃ無い事がすぐにわかった。

社長がまた来たからだ。

二日連続で店に来た事なんて絶対に無かったから、何かがあるってわかった。

けど怖くて聞けなかった。

俺は社長に怖くて何も聞けなかったけど、代わりに社長から言われた。

「田中くん、今日から毎朝店に来たらコップに酒を入れておいて。今日みたいに減ってる筈だから」

何も気にして無い感じで「わかりました」とは言ったが、内心かなり嫌だった……

と、いうか関わりたく無かった。

それから三日間、毎朝酒を入れた。

四日目、俺は休みを取ることが出来た。しかも2連休。

嬉しさの余り、コップの事を代わりに入る人に言うのを忘れてた。

休みの間、俺もコップの事を忘れていた。

休み明け、店に来て空のコップを見て思い出した。

ま~ また今日から入れればいいべ。なんて軽く思ってた。

そんな軽い考えは一時間もしないうちに変わってしまった。

まずは店の入り口。

うちは自動ドアになっている。

センサータイプでは無く、ボタンを押したら開くやつだ。

開いたら音がなる。

それが開くようになった……誰もいないのに。

誤作動だと思い電源を入れ直す。

少し経てばまた開く……

かなりビビってた。

入り口に行く用事は全部バイトに頼んだ。

だけど、俺が入り口に行かないようにしてたら、今度は厨房付近に来た。

厨房の中は壁はステンレスが全面に貼ってあり、汚れた鏡みたいな感じになってる。

そのステンレスに人影が映るようになった。

自分の真後ろに立ってたり、通り過ぎて行ったり……

その日は絶対に一人にならないようにして過ごした。

バイトにも言ったが半信半疑だった。

(了)

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