短編 怪談

死臭#927

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ちょっと書かせて。

585 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/02/05(日) 16:29:02.00 ID:Dnj5tcCM0

昨年、父が死んだ。

葬祭場で通夜を済ませた晩の出来事。

お袋と俺が泊り込んだ。

父の棺も一緒だよね。

で、風呂に入って翌日の葬儀の最終打ち合わせをしたりして。

お袋は先に寝た。

俺、挨拶原稿の最終確認をしたり、タバコ一服したりして少しぐずぐずとね。

布団に入って、あれやこれや考えたり、思い出したりしていたら二時を過ぎた。

寝るのを諦めて、寝返りをうっていたら、葬祭場の通路から色々な音が聞こえてきた。

ガシャン!とか ドスン!とか。

金属音が一番多く聞こえた。

守衛さんは零時でドアを施錠したら仮眠する、と言っていたのを思い出して「?」状態。

なんだろうね、と思っていると、なにやら臭い。

香と死臭のともに濃い奴が混じった匂いだと気づいた。

オヤジにチョッカイだしに何かが来た、と思いついた。

布団から出て、棺の横に胡坐をかいて。

怖いんだ、正直。

で、タバコをチェーンスモークしてた。

布団から棺まで八メートルくらいかな、ここは臭くない。

渦巻状の線香の香りと自分のタバコの臭いだけ。

それに気づいて布団側(お袋が寝ているほう)に行ったら、やっぱりくさい。

さっきより酷くなっている。

棺の脇に戻って、じっとしていたら通路をガシャガシャと歩く音。

よろいの音?

かなり長い事いったり来たり繰り返していた。

いつの間にか音が止んで、俺はずっと棺の横。

匂いがたまらなくいやだったから、動きたくなかったんだ。

うとうとしていたら、窓を覆っていた障子が開く音がした。

お袋があけているのが見えた。

声を掛けたけど無反応。

窓も開けようとするんだけど、なんだかぎこちない。

普通のサッシなのに。

近くに行ったら、目を瞑ってるんだ。

ギョッとした。

揺り動かしたら、眼を開けてキョトンと俺を見た。

疲れているからだよ、と当たり障りないことを言って寝かせてね。

眠気が吹っ飛んだ。

夜明けが待ち遠しかったよ。

死臭と解った理由だけど。

俺、狩猟で山に良く入る。

本当はいけないんだけれど、獲物の内臓とか捨てていくハンターもいるんだ。

部分的に(良い部分の肉ね)とって、あとはほっちゃる奴もいる。

なんで、解るわけ。

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