精神科医の診察室に、娘の妄想に悩む両親が訪れた。
495 ：本当にあった怖い名無し：2005/05/12(木) 10:43:00 ID:2WGIbhWu0
娘は一見すると、亡き夫の後を受け継ぎ、二人の子供を育て、会社でも活躍する完璧な女性。しかしその裏には、心を病んだ彼女がいた。
「私はハリウッド俳優と結婚する。彼が迎えに来るの」と譲らず、外で車のクラクションが鳴ると、「またパパラッチが来たわ」と言い張る。子供たちも最初は信じたが、今では「お母さん、またそれ？」と軽く流す。対象となる俳優も次々と変わり、彼女はその映画のラブシーンに怒りをぶつける。
両親は「娘は頑張りすぎておかしくなった」と嘆き、精神科医の元へ連れてきた。精神科医の指導と家族の協力、そして彼女の真面目な性格もあり、数年で妄想は消えた。しかし、ある日彼女は自殺未遂をしてしまう。精神科医は原因に気づいていたが、両親には言えなかった。
彼女が診察中に話す現実は苛酷だった。事故死した夫、子供の親権問題、職場での人員整理、両親の介護問題、子供の学力格差問題。彼女は母親、娘、会社員として必死に生きる一方で、妄想の世界に逃げ込んでいた。
「現実から目を逸らすな」と言われても、真面目な彼女は現実を直視すると深刻に悩み抜いてしまう。だからこそ、妄想の世界でバランスを取っていた。しかし治療により妄想が消え、現実だけが彼女に押し寄せ、不安に耐えられなくなった。
精神科医は両親に「これ以上の治療は娘さんの命に関わります。多少の妄想が残った状態で治療を打ち切ったほうが良い」と伝える。人にはストレスから逃げるための趣味が必要で、彼女の場合は恋愛妄想だったのだと。だが両親は納得せず、病院を変えてしまう。
新しい医師の元で治療が続けられ、もし完全に治癒してしまったら、その時彼女は…
これはプライバシー保護のために一部変更した実話である。
501 ：本当にあった怖い名無し：2005/05/12(木) 12:50:08 ID:8lDnSDCP0
親の余裕のなさが息苦しいね。軽度ならシャレで済むのに、痛々しい。子供の方が柔軟性があってポジティブだ。素人でも、彼女の行動の意味は理解できるのに。彼女が真面目に育ったのは、両親の方針だろうけど、こんな状態は許せなかったんだろうな。
502 ：501：2005/05/12(木) 12:52:26 ID:8lDnSDCP0
治療の判断が医者によって違うのも、デリケートな分野だからだろうけど、外に向かって言うだけ実はマシだったかも。一人でひっそり思い込んでる方が危険だよね。
504 ：495：2005/05/12(木) 13:26:28 ID:2WGIbhWu0
彼女は病気だけど、他人を攻撃するわけじゃないし、社会生活も送れている。妄想や幻聴は統合失調症の症状だけど、悪化さえしなければいい。多少の妄想が残ってても普通に生活している人はたくさんいる。この人は病気と現実のダブルの不安から逃れるために、変な妄想を見て回避していたんだと思う。持病を抱えても、うまくバランスをとって生きている人はたくさんいるから、この人もそうできればよかったんだけど。
「これくらいならほっといても大丈夫。薬で散らしましょう」と医者が言い、患者も同意しているのに、家族が「手術して！」と健康な腹を開けさせるようなものだ。
