もう何十年も昔の体験なので、記憶違いや思い違いもあるんだろうけど、子供のときに幽霊を見たかもしれない。
母親の実家は、某県の山間の村。
なんか村全体が顔見知り、親戚って感じの小さい村。
夏休みになると、父親が運転する車で祖父の家に泊まりに行くのが恒例だった。
内気な性格だったから、村で友達を探すようなことはせず、ひとりで遊んでいた。
イワナみたいな魚も釣れる小川もあったし、田んぼもめずらしかったし、山も虫とかいっぱいいて、ひとりでも十分楽しめたんだよ。
もちろん、遊ぶときは行っちゃいけない場所とかきつく言われた。
あっちは崖があって危ないとか、あそこは沼があるから気をつけろとかね。
そのうちのひとつに、特に絶対に行っちゃ駄目だってところがあった。
その理由が、お化けが出るからだった。
当然のごとく、行くなと言われれば気になるもので、見に行ってしまった。
そこがどこで、どうやって行ったかは、もう記憶にない。
子供の足だから村はずれぐらいだとは思う。周りに人家はなかったはず。
でも、草ぼうぼうの原っぱみたいな場所の真ん中に石碑があって、その隣に立つ赤い着物の女性がいたのだけは覚えている。
それを見た俺は祖父の家に「怖いっ」て泣いて帰ったらしい。
俺が言いつけを破ったのを知った祖父が激怒。鬼のような形相で叱りつけたらしい。
それを見た父親は最初とりなしていたんだけど、ついに父親もブチ切れ。
その日のうちに帰ったらしい。
それ以来、祖父とは疎遠になってしまったらしく、それを聞くたびに申し訳なくなる。
今年、その祖父も亡くなり、葬儀のために二十数年ぶりに村に行ったとき思い出したので何となく書いてみた。
母いわく「おらんさん」を祀っているらしい。
子供の頃、夜更かししたり悪いことすると母親に
「おらんさんが来るよ」
「おらんさんに連れて行かれるよ」
ってよく言われた。
子供だから何かはわからないけど、とにかく「おらんさん」ってのが怖かったのを覚えている。
母親も、祖父から似たようなことを言われて育ったんだってさ。
昔、村のひとりものの男がいた。
そこにある日、怪我した女が転がり込んだ。
それが、おらんさん。
本当の名前は違うらしいけど、おらんさんって呼ばれている。
男とおらんさんは良い仲になって夫婦みたいだったそうだ。
だけど、おらんさんは隠し金山の場所を知っていた。
村人たちは、おらんさんがいると村に悪いことが起きるからと、おらんさんと男を村から追い出した。
それから、村に立て続けに不幸が起きた。
これは追い出したおらんさんの祟りじゃないかと、男の家があったところに碑を作って供養した。
ちょっと支離滅裂だけど、母親が言うのをそのまままとめると、こんな話だった。
967 :本当にあった怖い名無し:2014/12/14(日) 22:46:53.49 ID:2kIRyod30.net
(了)
[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1390609820/]