短編 洒落にならない怖い話

ノロ人形

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最初は、ほんの冗談だった……

19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/14(火) 18:20:39.86 ID:+XKoA1rl0

うちのクラスには、一人どうしようもない馬鹿がいる。

野口と言う奴だけど、みんなはノロ、ノロと呼んでいた。

なんでも信用するので、からかって遊んでいたのだが、ノロは、なぜか俺が気に入ったらしく、よく俺の言うことを聞いていた。

ある日、「呪いってどうやってかけるか知ってる?」と、あまりにも馬鹿なことを聞いてきた。

中3にもなって、呪いなんて信用するかなぁ。って思ったけど、彼の顔を見ていたら、からかいたくなったので

「知ってるさ、ブーズー教の呪いの人形さ。まあ、みてなって、カッターだせよ」

そして、そのカッタ-で彼の指を少し切った。

彼は、真っ青になったけど、俺はそのまま進めた。

「そして、この血をな、こうやって泥と混ぜて人形をつくるんだ」

俺は、一五センチ程度の血の混ざった泥人形を作った。

「お前が、呪いたいのは……寺本だろ?」

ノロは、びっくりしてコクっと頷いた。

「本当は、彼の持ち物か、髪や爪があればいいんだけどな」

すると彼は、かばんの中からヘアーブラシを取り出した。

「お!それ、寺本のか!あいついつもお前のこといじめてるからな。しかし、よくブラシなんか、ガメてきたよな」

俺は、いつもやっているかのように手早くブラシから髪の毛を取り出し、泥人形の中にうめこみ、寺本の名前を拾った古い釘で書いた。

それから、「命をとるとあんまりだろう。足でいいんじゃないか」

釘を人形の足にねじこんだ。

「そして、これを暗くて、誰にも見つからないところに隠すんだ。すると、早くて2・三日、長くても一、二週間で効果がでるんだぞ」

「最後にこれだけはまもれよな。効果が出たらすぐに川か海に流すんだ」

彼は、信用したのか泥人形を何処かへ隠しにいった。

俺は、もう可笑しくって、可笑しくて、あんな泥人形を大事に抱えていった。

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それから、二日がたった。

ノロが俺にドモリながら聞いてきた。

「ね・ねえ。い・いつ、きくの?」

最初は、何のことかよくわからなかった。

ようやくなんのことか思い出した頃、担任が血相を変えて教室に入ってきた。

「寺本君が、昨日の夜交通事故にあいました。盗んだバイクを乗り回していて、……スピードの出しすぎで……命には支障ないにみたいですが、下半身が……」

担任の話が最後まで聞けなかった。

なんで、あんないいかげんな呪いが効くんだ。

俺が彼を……いや、偶然だ。

なんで、あんないいかげんで思いついたような呪いが……

なぜ、あんなにスラスラと出てきたんだろう?

放課後、ノロが俺に言い寄ってきた。

「すごいね。すごすぎだね。いまから、人形、川に流すから、すごいね。すごいね」

ノロは、にこにこして飛ぶように帰っていった。

なんて奴だ。

奴には、罪悪感がないのか。

クラスの仲間と寺本の見舞いにいったが、彼には会えなかった。

寺本は、右足を切断したそうだ。俺が釘を刺したほうの足だ。

暗い気持ちになって、見舞いから帰る途中、近くの神社でノロを見た。

そわそわしながら、裏手の方から闇の中へ消えていった。

なんとなく気になって、ノロのいた方へ行くと神社の裏手の羽目板がずれていた。

それを動かすと、血まみれの泥人形が出てきた。

その人形には、俺の名前が書いてあり、釘は額に刺してあった。

(了)

 

呪胎怪談 [ 吉澤有貴 ]

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