キチガイになる瞬間の模様です
187 :本当にあった怖い名無し:2005/08/16(火) 15:05:22 ID:3ZmM4j5R0
現在地確定のためマップを拡げ、濃霧の中を目安になる地点を目を凝らして見ている私に、リーダーが近寄り、「俺のガソリンはどこだ?」と訳の分からないことを聞いてきました。
私が変な顔をしていると、大声で何度も同じ事を叫びながら、谷に向かって走り出しました。
仲間がリーダーを取り押さえると、笑いながらおしっこを漏らしていました。
長沢尾根は登山者も少なく、トレースも薄く、地図を見ながら歩かなければならないのですが、みんな疲れていて地図の確認もしなかったので、このような事態となりました。
リーダーは、肉体的な限界と、遭難という精神的なショックで、おかしくなったと思われます。
この体験から、人がキチガイになるって、ちょっとした精神的なショックでなっちゃうのかなぁ。
と思いました。
道に迷い(というか笹藪の中であるが)、濃霧のため来た方角もわからなくなった状況の中、ビバーグする準備もなく(テントも持ってこなかった)気が焦り、疲れて体力が無くなったとき。
人って悪条件が重なると冷静になれなくなるのだ。
と痛感しました。
同時に、自分は冷静にならなければ、と思いましたが……
でも、リーダーは木に向かって大声で話しかけたり、地蔵に向かって話しかけたりして、パーティーの一員として、見るのが辛かったです。
何とか下山しました。
夜7時ぐらいになったけど。
自宅までみんな帰れるけど、リーダーがおかしかったから、旅館に泊まりました。
温かい飲物とアルコールを与えたらぐっすり寝て、翌朝起きたときは普通に戻った(?)ような。
でも、遭難したときの記憶が変。
我々のパーティしか居なかったのに、「黄色いザックの4人組のパーティも居た」とか、(何でザックの色を黄色で統一した4人組がおるねん(笑))
「その人たちと合流してから楽しかった」とか……
まぁ、リーダーも疲れていたんだろうなぁ、という結論になりました。
普段は几帳面で、冷静なリーダーだったんだけど。
そうそう、ザックの色が『黄色』っていうのも見たこと無い。
リーダーに、「そんな色、市販で売っているわけない」って言ったけど、真剣な顔で、「ザックは黄色」って言い張ったので……
遭難当時は、仲間の一人のヘッドランプの電池が切れかかったので、時間との勝負だった。
そのせいもあり、リーダーとして『他のパーティに導いて欲しかった』という願望が、精神的なパニックで、映像として作り出したんでは?と我々は考えている。
リーダーは半年後、北アの冬山において不帰の人となったので、何とも言えないが。
俺の知り合いが発狂した時は、寝ぼけてるような顔してたな。
両目とも閉じて、何かず~っとブツブツ何か喋って、時折大声で叫ぶ。
けど目は閉じてるまま。
逆に気持ち悪かった。
途中から帽子かぶって、その帽子を顔の上半分くらいに自分でかぶせて、口だけを出した状態でフラフラって、家族が来るまでずっとその状態で何か呟いてた。
確か、五年くらいかかって治ったと思う。
リーダーが突然おかしくなる経緯を思い出しました。
道無き道を突き進んでいるとき、うっすらとした太陽が霧の切れ目から出てきました。
太陽の見えた方角で、自分たちの進んでいる方角が違うということが判り、リーダーが休憩を取り、私に現在地点の確定作業を命じました。
霧も出ており、目印となる地点が割り出せずに、結構時間がかかっていました。
普段温厚なリーダーが、「何している 早く割り出せ」と怒鳴り始めました。
その様子にみんなびっくりしていました。
サブリーダーが、「この霧では目印になるものが特定しにくい」と、中に入ってくれました。
その時、装備をチェックしていた仲間の一人が、「ヘッドランプの電池が切れそう」とリーダーに報告した瞬間、「早く、現在地点!」と怒鳴りました。
私は我慢できなくなり、「地図で確認しながら歩いてきたわけでないので、すぐに判らない」と怒鳴り返しました。
するとリーダーが私に近寄り、「俺のガソリンはどこだ」と2回小声でつぶやき、その後同じ事を叫びながら、谷の方へ走り出しました。
「山では走るな」と私が叫びましたが止まらずに、仲間が追いかけて取り押さえました。