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短編 ほんのり怖い話

右の頬に赤アザのある小さい女の子【ゆっくり朗読】

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知人から聞いた話。

投稿者「よしきり ◆4lTInXds」 2021/10/30

知人の家には子供の幽霊がいた。

右の頬に赤アザのある、小さい女の子だった。歳は小学校低学年か、もしかしたら未就学児だったかもしれないというから、幼いと言っていい。

ごく普通のシャツとスカート姿だったけれど、季節を問わず、あかね色のはんてんを着ていたという。

その子は知人が中学生の頃に現れるようになったそうだ。

最初に見つけたのは中廊下だった。L字の廊下を曲がっていく背中を見たのだという。

驚いて追いかけたが、女の子は煙のように消えていた。廊下の先の部屋も調べたが、見つけることはできなかった。

その日以降、知人の家の中では女の子がたびたび目撃されるようになった。

最初は知人だけが見ていたが、そのうち家族も見るようになった。

女の子は、家の敷地の中ならどこにでも現れた。母親の家庭菜園を眺めていることもあれば、リビングで飼い猫にちょっかいを出していることもあった。

家族の誰かがそこへ来ると、あっという顔になって物陰へ隠れてしまう。そしてそのまま消えてしまうのだそうだ。

「視界から外れると、消えるんだよ」

ほんの一瞬、目を離せば、その隙に消えてしまう。なにかの影に隠れて視界から消えると、そのままいなくなる。

そういう存在だったそうだ。

知人は躍起になって女の子を捕まえようとしたが、一度としてそれが叶ったことはなかった。女の子は、その幼い容姿からは想像もできないほど機敏だった。

あっという顔をしてから、逃げ出すまでがとても素早いらしい。しかもずいぶん身軽で、助走もつけずにぽんと跳ねてソファーを飛び越えて消えたことがあるそうだ。

女の子は、知人が高校三年生の時まで家にいた。

進学に合わせて上京することになり、荷物を整理していた時に会ったのが最後だという。

トイレに行って帰ってくると、自室に積んだ段ボールを見上げていたそうだ。いつも通り、あっという顔で戻ってきた知人を見た。けれどいつもと違って、すぐには逃げなかったという。

「俺、もうじき出てくんだよ」
そのときは、何故だか知人も捕まえる気にはならなかったそうだ。代わりに、そんな風に話しかけた。

女の子はしゅんとした顔で、段ボールの影に隠れて、消えた。

それきり、女の子は姿を見せなかったという。

「家族も見かけなくなったって言うんだから、いなくなったんだろうな」
知人はそう言っていた。

そうかもしれないと思う一方、私は別の可能性も考えていた。

最初に女の子を見つけたのは、知人だった。家族が見えるようになったのは、その後だ。そして知人が家を去ると、家族が女の子を見ることはなくなった。

もしかしたら、知人の存在が女の子と家族を繋ぐ唯一の接点だったのではないか。私は話を聞いて、そんなことを思い付いたのだ。

女の子はいなくなったのではなく、接点を失って誰にも見えなくなったのかもしれない。そして今もその家で、誰にも見られないまま暮らしているのかもしれない。

女の子は誰にも気づかれずに、一人、家の中にいる。

もちろん、ただの空想だ。証拠も確信もない。

だから彼にその思い付きは言わなかった。

「その子、捕まえたらどうする気だったんだ?」

代わりにそう聞いてみると、知人は少し考えて、「名前を聞く……かなぁ」
と答えた。

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