短編 怪談

民家の女性

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三十年以上前の話です。

65 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/18(水) 10:36:29.81 ID:NiZqercA0

場所は東京近郊。

とても怖くて悲しい思い出です。

私は小学生低学年、

近所の悪がき仲間と探検ごっこをしていました。

私と従弟、隣の悪がき、近所の悪がきの四人で

あちこち行きました。

まだ埋められていない防空壕の後や、川原の茂み、

大きな公園の奥の森の中。

子供の私たちには広大な未知の空間でした。

お約束のエロ本などが落ちていて、まさに冒険でした。

公園のそばに古い民家があり、割と大きい屋敷でした。

夏休みにそこを探検しようと言う事になりましたが、

その時隣の子は家族旅行で不在、三人でした。

門は鎖で閉じられ、立ち入り禁止と書かれており、

生垣の隙間からもぐりこみました。

生垣で囲われた庭は背丈を超える雑草で覆われ、

うっそうとした感じ。

建物は一部が崩壊していて、朽ち果てる寸前でした。

家の周囲を一回りすると雨戸が外れている場所があり、

そこから中へ入りました。

かび臭い室内、腐った畳はぶかぶかで底が抜けそう、

ゴミも散乱してました。

箪笥があったので何気なく開けて見たりしていると、奥の部屋からなにやら物音が。

ふすまを開けると中年の女性が座っていました。

女性は汚れきったグレーの浴衣姿で、

恐ろしい顔でこちらを見ていました。

敷かれた布団の上に座って青白い顔で見ています、

私はなぜか殺されると思いました。

私たちは「スイマセン!」と叫んであわてて逃走しました。

表へ出るとそとは真っ暗、私たちは一目散にうちへ帰りました。

不思議な事に、探検に出たのは昼飯のすぐ後、

探検していたのはせいぜい十分くらい。

ところが家に帰ると夜八時を回っていました。

たっぷり叱られました。

暫くすると近所の子のお母さんが来て、

子供が行方不明だと話しているのです。

私と従弟が事情を話すと、親たちは廃墟へ捜しに行きました。

その廃墟には誰もおらず、

その子も見つからないまま翌日になりました。

朝になり警官がうちへ来て、いろいろ事情を聞かれたりしました。

その日の午後、公園の池に沈んでいるのが発見されました。

夏休みが終わるころ、廃墟は取り壊されました。

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