短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

無愛想な誘導員【ゆっくり朗読】1100

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住職シリーズ

大学生時代みんな免許取り始めて、うきうきしてた時分の話です。

216 :本当にあった怖い名無し:2006/05/04(木) 14:30:53 ID:8r/F/JVf0

季節的には夏。夜遊びしてて、ふとある話題から怪談話に移っていった。
私自身は1ミリも信じていないんだが、女の子もいたこともあり大いに参加。
よくいう都市伝説の話とかしてました。
むろん住職(学生時代は髪があり出家はしてなかった)もがんがん話しをして、盛り上がりました。
やはり行き着くところ、ミステリーツアーということになり、5人で夜中に車で出発。
関西地方で有名な、幽霊トンネルに行くことになりました。

山中を目的地にむけて車を走らせること数十分。
街から離れ、街灯もろくになく、対向車すらなくなって、
ようやく目的地近くまできたときに、運転手Aが突然のブレーキ。
あまりの急ブレーキに頭にきたので、
「急ブレーキかけんな。このへたくそが!」
「……あれ……あれ……」
うわずった声で、前を指さしたんですよ。

前方を見ると、赤い光がゆっくり円を描くようにうごいている……
「んん……?工事かなんかちゃうん?徐行でいけ。びびりすぎ」
「ん……あ……うん」
声にならない返事。
ゆっくりと赤い光に近づいていきました。

すると後ろにすわってた住職が、「あっ……」と一言。
案の定私の予想通り、警告灯を持ったガードマンらしき人がたっていた。
運転しているAが車をゆっくりととめたので、なにげなく私は窓を開けて、
「工事ですか?道通れます?」と声をかけた。
ガードマンらしき人は何も答えず、こちらをちらりとも見ないで、
無表情のまま警告灯を道路の先に向けて”行け”と、突然壊れたおもちゃの様に、前後に激しく振りはじめた。
感じ悪いやつだぁと思ったが気にしないで、
「いこうぜ」
「……」
「?早よいかんかぁ」
「……」

無言のまま急発進。

1分もしないうちに、私と住職以外がワンワン泣き始めた。
Aにいたっては「ぃぃぃぃぃぃぃぃ……」と、半分悲鳴みたいな声でうなっている。
あまりのスピードと乱暴な運転におどろいた私は、
Aに「ちょっと。止めるかスピードを落とせ。あぶない」
「ぃぃぃぃぃいいいいいいいぃぃぃいいいぃぃ……」
「事故るだろうがっ!!!」
Aの頭を力いっぱいはたきました。

ようやく、駅前のちょっとした広場みたいな所でとまりました。
私「Aよお前、何をしとんねん?」
A「……………………」
住職「まぁまぁ、あれはしゃーないよ」
私「なにが?なにがしゃーないん?」
住職「まぁ大丈夫。ちゃんとお清めするから」
私「?なんかでたん?」
全員「…………」
私「なぁ、なんか見えたん?なぁ、なぁて……」
住職以外は、私と目もあわせようとしない……

ちょっとムッときたので、
「Aと運転を代わるから。今すぐ戻るぞ!!」といったところ、
3人に全力で泣きつかれて、「頼むから朝までここにいよう」とお願いをされた。

わけをきいてみると、こうゆう感じだった。
私が話しかけた相手というのが、手首から先が無く、下半身もなく宙に浮いていた。
私が話しかけた途端、大声でゲラゲラ笑い始めて、激しく手招きし始めた。
駅前に到着するまで、ずーと笑い声がしていたそうです。

あまりのぶっとんだ話しにあきれ返って、
私「あほくさ。朝なって確かめたらわかるやろ。帰り運転するからな」
住職「なぁなぁ。お前さ、どっち向いてた?」
私「どっちて……助手席座ってたから左や」
住職「左走ってて左に話しかけたて、どこ工事するん?」
私「どこでも工事くらいするわな」
住職「左てガケやで、お前のそういう鈍いとこすごいな」

翌朝、来た道を運転して帰りましたが、みんなにこう聞きました。
「あっれ?きのうの工事どこでやってたけ?わからんわ」
車内再度パニックでした。

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