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フリーズした女#1101

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女学生のころ、某ファストフード店で働いていた。

671 :本当にあった怖い名無し:2012/10/05(金) 22:09:06.88 ID:sKl4/9t70

冬のある日、朝ピーク時間の前にフロアにトレーなどを下げに行ったら、窓際の席に女性のお客様がいた。

コーヒーとポテトを召し上がりながら、頬杖を着いて本を読んでいらした。

一時間くらいしてまたフロア清掃に行ったら、同じ格好でいらっしゃる。

まあ別にファストフードなので、何時間でもいらっしゃる方は居る。

一時間位してまたトレーを下げに行った時、まだその方は同じ格好でいらっしゃった。

その時手が滑ってトレーを落としてしまった。

バターンバタバタン……音が響き渡る。

フロアにいらっしゃったお客様が一斉にこっちを見る。

でも窓際の女性の方は、ぴくりとも動かない。

また三十分位してフロア清掃に行くと、まだ窓際の女性はいらっしゃった。

机を拭きながら近くに寄ってみると、その方は瞬きをしていない。

もう日差しが窓から入っていて、そこそこまぶしいのに。

えっ?と思いながらよく見ると、やはり瞬きをしていない。

頬杖をついている腕もぴくりとも動かない。

当然本のページをめくる様子も、コーヒーを飲む様子もない。

本当によく出来た置き物の様だった。

また一時間くらい後、自分が休憩に出る前、最後にフロア清掃に行った。

まだ窓際に女性がいらっしゃった。

最初に見た時と同じ姿勢は変わっていなかった。

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いい加減なんか怖くなって、その女性に声をかけた。

「お客様……?」

反応はない。

失礼になるし、CSに連絡されるの覚悟で肩を強めにたたいた。

「お客様。そろそろお席が混み合いますので……」

その途端、ビクンと肩が跳ねた。

「まだ九時前でしょ!まだいいじゃない!」

「あの……お客様……ただいま十一時でして……」

「えっ?!」

「お客様ただいま十一時でして……これからお昼で混み合いますので……」

「えっ?!」

腕時計を確認される女性。

その顔は本当に驚いているようだった。

私の顔と腕時計と窓の外を何回も見て、女性は片付けもせず走って店を出て行った。

女性の残していったトレーを片付けるため、飲み残されたコーヒーをゴミ箱に捨てに行った。

まだコーヒーのカップは熱かった。

お代わり買った?とも考えたけれど、買いなおしに来た記憶はない。

持ち込み?とも考えたけれど、女性のカバンは小さめで魔法瓶など入っていそうになかった。

よく一瞬だと思ったら、何時間も経っていたという話を聞くけれど、もしかしたらあの女性はその体験をしていた?

私は外側から彼女を見ていた?

その女性は時々その後も来ていたけれど、何時間もいらっしゃったことはなかった。

本当にあの一日だけ、彼女に何か起こっていたんだと思う……

(了)

 

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