短編 怪談

死亡時期

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婚約者が決まり、それまで付き合っていた年上の女が邪魔になった男が

290 名前: kagiroi ◆KooL91/0VI [sage] 投稿日: 04/11/14 19:17:15 ID:bwA6652v

別れ話を車でしていた時に、

「私との関係を婚約者にばらす」

と言われ切羽詰って殺害を決意。

混乱する頭の中で、ともかくなだめながら

夜の高速を走り、どことも解らない場所で高速を降りて

暗い山道へ。

外の空気を吸おう、と言って車外へ女を出すと、

その辺りにあった大きな石で彼女の頭を後ろから殴打した。

計画性のあったものじゃなく、ますます混乱する男。

車道を少し入った場所で

女の死体を崖の上のような場所から投げ捨てた。

慌てて車に戻るとアクセルを目いっぱい踏み込んで、どこでもいいからと大きな道を探して走りまわった。

ようやく見つけた舗装された道。

少し落ち着いてタバコに火をつけて車を停めた。

後悔よりも安堵が包む。

それから数週間して男は

婚約者と彼女の実家へと向かっていた。

結婚式の打ち合わせを兼ねた顔合わせだった。

高速を飛ばして郊外へ。

彼女の実家付近で高速を降りて山に沿った道を走っていくと、

ん?ここは・・・

記憶にある道。

なぜ?

初めての彼女の実家のはず。

その瞬間

車の屋根にドスン!という鈍い音。

キキィー!とブレーキの甲高い音。

急停車したせいで伏せた顔を上げるとそこには、

どす黒く汚れた女の顔。

ギャ~~~~!

彼女の叫び声が上がった時、男が見たのは、

口元がニッと上がったその女の顔。

警察に電話を入れてパトカーが来て実況見分が始まった。

救急車で運ばれた女は、山の斜面から落ちてきたらしく、理由は不明だった。

病院から死亡の連絡を受けた警察の説明では、

女の死因は衰弱と餓死。

解らなかった身元もその時解った。

あの女。

邪魔になって殺したはずの女。

男は半狂乱でその場で事実を全て話した。

首をかしげる刑事。

「でもね、この女性が死んだのはさっきだよ?」

約三週間ものあいだ、女は山中で生きていた。

しかも大怪我で多量に出血しながら。

でも、どうやって男の車に落ちたのか、

また、男の車を発見できたのか。

偶然か、執念か。

二十数年前の地方紙の記事より。

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