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ディズニーランド近くの1Kマンスリーマンションr+4781

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去年の夏、地元に戻ってきたが、あの三年間の記憶は今でも背筋が冷たくなる。

東京ディズニーランド近くの1Kマンスリーマンション。華やかな観光地の影に潜む、誰も気づかない異質な空気の街。快速も止まらない駅、シャッター街、そして夜には人影が消える通り。必要な物を買うとそそくさと帰る日々の中で、その「何か」に触れたのだ。

最初に奇妙な体験をしたのは、駅前の蔦に絡まった放置自転車だった。金網に取り込まれるように錆びついたそれを初めて見た時、ただの廃品としか思わなかった。しかし、ある夜、その自転車の前を通り過ぎた瞬間に耳にした「チリリン♪」というベルの音。振り返っても誰もいない。続いて聞こえたスタンドを立てるような音。小走りで家に逃げ帰ったが、その音は何度も耳にすることになる。その度に、自転車は動いていないはずなのに。

マンションの中も妙な空気が漂っていた。隣室から聞こえる外国語の祈りの声。声の主は一度も見たことがないが、ブツブツと長い時間呟き、やがて「あ゛~~あ゛あ゛あ゛~~~」と叫びながら壁を叩く音で終わる。それを聞いてから、ロフトの寝床を床に移したのも当然だった。ロフトで目を覚ました夜、ふちを漂う黒い髪の影が何度も往復し、台所へ向かう角を曲がったからだ。

さらに不可解だったのは昼間に見つけた黄色い紙。玄関のドアに貼られたそれには赤いペンで書かれた異様な文字。触るのも怖くて放置して外出したが、帰り道に見たのは、それを剥がし隣室のドアに貼り付ける見知らぬ男の姿だった。管理会社にも言えないまま、再び隣から聞こえる祈りの声。誰が何をしているのか全く掴めない。

最後の決定打となったのは、夜中に聞いた宅配ボックスの猫の鳴き声だ。開けようとしてもダイヤルが合わず、声は徐々に弱くなり消えた。不安に駆られ非常用キーを使って開けると、そこにいたのは猫ではなく、焼け焦げた髪の毛の束だった。未だくすぶるそれを目にした瞬間、全てが終わり、そして全てが始まったのだと感じた。

次の日、管理会社の立ち合いで清掃してもらったものの、恐怖は消えない。あの髪は何だったのか、隣室の祈りの意味は?そしてあの男の目的は?全ての「影」は、すれ違うだけで本当の姿を見せなかった。地元に戻った今も、その夜の足音と焦げた臭いが夢に現れる。

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