短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

逆関節全身タイツ男【ゆっくり朗読】3500

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これはトラックの運転手をしている友人から聞いた話です

その時友人Aは、鳴子という場所を走ってた。

その頃の仕事はとてもハードで、

1.会社から荷物を積んで現場へ到着
→2.会社に電話
→3.そこの現場近くで違う荷物を積み、次の現場へ
→4.次の現場へ到着
→2に戻る

てな具合で一度仕事に出ると、一週間は家に帰れませんでした。(これが普通なのかな?)

時間は夜中の三時頃、右側は林、左側は落ちたらお終いの崖、すれ違う車さえありません。

すると前方に車のテールランプが見えたので、少しスピードを上げてその明かりに近付いて行く。

その明かりの正体は、自分と同じ荷物運びのトラックでした。

「こんな夜中に御苦労さんだねえ、お互いに」

等と思いつつ、そのトラックの後ろを走っていると、急にそのトラックが反対車線にはみ出して、直ぐに元の車線に戻ったので、

「なんか障害物でもあったんかな?」と少しスピードを落とし、前のトラックが何かを避けた場所に近付いて行った。

どうやら人が歩いてるらしい。しかもその車道の真ん中を。

「うわ、邪魔だなあ」

と、言っても轢いてしまったら大変なので、さらにスピードを下げてその人に近付く。

トラックのライトに照らされたその人は、「モジモジくん」のような全身タイツを着ている。

しかも

「多分、全身の関節が逆に曲がってた」

そうだ。

初めは後ろ向きに歩いていると思った程に……

それがギクシャクとこちらに向って歩いて来る。

顔を見ると何やら早口で喋っていた。

ビビったAはスピードを上げてソレを避ける。

その後サイドミラーで見てみると、ソレは相変わらずギクシャクと歩いていた。

すると少し行った場所に、先を走っていたトラックが止まっている。

興奮していたAは、その後ろにトラックを止めて下りてみると、先を走っていたトラックの運転手(B)も下りて来た。

A「さっきの人って……」

B「お前も見たのか」

A「はい……」

B「何なんだろうなアレ……、まさかお化けっちゅう事はないよなあ」

A「ちょっとシャレにならないですよね……」

しばらく興奮気味にそんな事を喋っていると、BがAの後側を見て、

「おい……戻って来たぞ……」

Aが後ろを振り返ると、さっきの人がギクシャクとこちらに向って歩いて来る。

二人ともマッハでトラックに乗り、逃げたそうです。

「もしかしたら事故にでもあったんかなあ?でも全身タイツの意味がわからん」

と友人は言っていました。

(了)

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