小学校低学年の時に習っていたピアノ教室で、体罰があった。
914 :本当にあった怖い名無し:2006/01/20(金) 16:52:37 ID:/jdBD+8x0
お世辞にも才能があるとは思えない『下手な子』に、
先生が手や顔を叩いたり、しっぺをしたりといった、余り身体に跡の残らない体罰をしていた。
しかしエスカレートしたのか、共犯者にして責任を逃れようとしたのか、
私達生徒にも、その子に体罰を与えるように言い出し始めた。
今から思えば、こちらから月謝を払っている立場なのだから、
隣接していた事務所に言ったり、親に言って止めさせてもらえば良かったのに、
『先生』という言葉に縛られて、私達も泣きながらその子を叩いたりした。
その子も、学校と習い事との見分けがまだ付かない年齢だったせいか、逆らうことが出来ない感じだった。
一月ほどが経った時、その日もちょっとした弾き間違いに先生が激昂して、まず先生がその子の頭を叩いた。
そして、私達に「順番にしっぺしなさい」と言って、その子の身体を後ろから羽交い絞めにして、手首を掴んで差し出した。
仕方なく、私達も「ごめんね」と言いながらしっぺをする。
力を入れないでやると先生が怒るから、手は抜けない。
最後に、もう一度先生が頭を叩いて、終わりの筈だったのに、
先生は何を思ったのか、その子を思い切り突き飛ばした。
この後の記憶は飛んでいる。
ただ、教室に散らばった血痕と、私達の鳴き声、警察官らしい大人と、
サイレンの音、事務所の人、私達の親と、その子の親、動かないその子の白い足、
断片的に思い出せるのはそれだけだった。
暫くして、私達のクラスは先生が変わった。
過去に何人も優秀なピアニストを指導した、とてもえらい先生だったらしい。
クラスの面子も変わった。あの時教室にいた子の殆どは辞め、私ともう1人くらいしか知っている顔は無かったと思う。
あの時突き飛ばされた子はもういない。
学校も違ったので、あれからどうなったかもわからない。
名前ももう忘れてしまったその子が、正直生きているのかも分からない。
亡くなっているのなら、大きなニュースになっていた筈だから、大丈夫だと思いたい。
ただ、子供だったとはいえ、体罰を止められなかった自分をずっと責め続けている。