子供の頃の話だから少し曖昧な部分もあるけど、できるだけ正確に書いてみる。同じような体験をした人がいたら、ぜひ教えてほしい。
30年ほど前、私は小学生だった。当時、不登校だった上に母子家庭で、母は夜に水商売をしていた。夜中に起きていても注意されることはなく、1日中ゲームをして過ごしていた。昼夜逆転の生活が普通になり、長野県で過ごしていたあの頃、深夜には不思議な雰囲気のドラマや古い映画が放送されていたのをよく覚えている。
毎日のルーティンはこんな感じだ。ゲームをして疲れたらWOWOWでアニマックスを観て、少し寝る。起きたらまたゲームをして、深夜には奇妙なドラマや映画を観る。そんな生活を繰り返していた。
ある日のこと。深夜3時頃、いつものようにゲームに疲れてテレビをつけた。何か面白い番組はやっていないかと思いながら、リモコンでチャンネルを回していた。そのとき、全体的に紫色の画面が映し出された。荒野のような風景の中に古びた洋風の家がポツンと建っている。その映像が、何故か目に留まった。
最初は、深夜によくやっていた不思議な雰囲気のオムニバスドラマの一部かと思った。でも、その映像には動きが全くなかった。ずっと紫色の画面に家が映し出されていて、音もなく、かすかに「サー…」というノイズだけが聞こえている。不思議に思いながらも、しばらく見続けていると、家の屋根付近からバササッと大きな鳥が2羽飛び立った。その音で、これが映像であることに気付いた。
不安になりながらも気になって、手元のテレビ情報誌を取り出して確認してみた。しかし、その時間帯には「放送終了」の表記しかなく、番組名などの記載はなかった。おかしいなと思いつつ、再びテレビに目を戻すと、驚くべき光景が広がっていた。
さっきまで誰もいなかった玄関の前に、女性の姿が立っていたのだ。紫色の画面越しに映るその女性は、顔がよく見えなかったが、うつむいているようにも、項垂れているようにも見えた。その雰囲気に引き込まれ、目が離せなくなった。
突然、静かなノイズだけだったテレビから、涙声のようなか細い歌声が流れてきた。英語の歌だったが、当時小学生の私には歌詞の意味がわからなかった。ただ、悲しくもどこか懐かしいメロディーが脳裏に焼き付いた。その歌はほんの数十秒で終わったが、今でもその震えるような歌声をはっきりと覚えている。
歌が終わると画面は一瞬静止し、その後、突然何百匹ものハエが画面いっぱいに映し出された。羽音が大音量で鳴り響き、私は恐怖でパニックになった。リモコンで電源を切ろうと必死でボタンを押したが、テレビは全く反応しなかった。他のボタンも効かず、最後はリモコンを放り投げ、自室に逃げ込んだ。そして布団を頭から被り、震えていた。
最近、その出来事を思い出すきっかけがあった。同僚と飲んでいるときに怖い話になり、私はあのとき耳にした曲をハミングしてみた。すると、同僚は驚いた顔で「それ、マザーグースの『My mother has killed me』じゃない?」と言い、YouTubeでその曲を再生してくれた。それは間違いなく、あのときの曲だった。
日本語に訳すと「お母さんが私を殺した」。そんなタイトルの曲を、30年前の深夜に長野で聞いた自分が信じられない。あれは本当に放送事故だったのだろうか? それとも、私の記憶違いなのか…。同じような体験をした人がいたら、ぜひ教えてほしい。
[出典:567 :本当にあった怖い名無し:2024/02/09(金) 10:42:50.34 ID:m6D7BbYI0.net]
「My Mother Has Killed Me」は、イギリスの伝承童謡集「マザー・グース」の一篇で、以下のような内容の詩。
お母さんが私を殺した
お父さんが私を食べている
兄弟たちはテーブルの下で
私の骨を拾い集め
冷たい大理石の下に埋めた
この詩は、親の言うことを聞かない子供への戒めとして伝えられてきたとされる。しかし、その残酷な内容から、子供たちの間で怖い歌としても知られている。
また、この詩はグリム童話の「杜松の樹」(ねずのき)にも類似した要素が見られる。「杜松の樹」では、継母が子供を殺し、その肉を料理して父親に食べさせるという物語が描かれている。このように、ヨーロッパの民間伝承には、家族内の暴力やカニバリズムをテーマにした物語が存在し、子供たちへの教訓や警告として語り継がれてきた。
「My Mother Has Killed Me」は、その短い詩の中に強烈なイメージを持つ作品であり、マザー・グースの中でも特に印象的な一篇として知られている。