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短編 山にまつわる怖い話

山の女神様【ゆっくり朗読】1400

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今の年代の人に、狩りをした事のある人は少ないでしょう。

366 :山での話 :03/04/11 06:18

昔、私は祖父に連れられて、狸を捕る為に数度、山にトラバサミを仕掛けに行った事があります。
山にも色々な約束事があります。
うろ覚えですが、女山でしたので立ちションベンは、女神様に見える様に頂を向いてする事とか、
(性器を見えないように隠すと女神様が怒って、山で遭難します)
お弁当は半分食べたら残りは家まで持って帰る事とか、狸の後足は1本は女神様に御供えする事とか、
他にも細かな注意が沢山あったはずでした。

ある夏休みの日、祖父の家に遊びに来ていた私は、川に泳ぎに行こうとして、気が付くと何故か山の中に居ました。
昼御飯前に出たはずなのにあたりは真っ暗で、訳が判らず泣いてしまいました。
どのくらい泣いていたでしょう?
辺りがスゥ~っと明るくなって、顔を上げると、目の前に青い光が浮いていました。
その光は優しく、暖かくて、何故か彼女が助けてくれるのだと解りました。
そして、漂い始めた光に付いて行き、山の麓に下りました。

山の麓には幾つもの懐中電灯の光が集まっていました。
その中に祖父の姿を見つけ、「おじいちゃん」と声を掛けると、祖父は飛んで来て私を抱きしめました。
そして、すごい剣幕で怒り始めたのです。
私が帰ってきたのは、家を出た翌日の夜でした。
その時です。私は変な事に気が付きました。
私はたった今山の麓に降り立ちました。
ですが周りを見回すと、そこは山から1キロ程離れた祖父の家の前だったのです。
青い光は何時の間にか消えていました。

その事祖父に話すと、祖父は宴会をすると言って、
近所の男の人達だけでご馳走を持って、山の祠の前で宴会をしました。
僕や従兄弟達、近所の男の子達も付いていきましたが、皆お酒を飲み、歌って楽器を奏で、踊って、大騒ぎでした。
後で聞いたのですが、
「女神様が最近人が山に入らないので、寂しくなってお前を呼んだのだろう」と祖父達は言いました。
その後、他にも一晩だけ山で消えた男子が出た事から、
毎年夏祭りの後には、山の祠で宴会をする様になったそうです。

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