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短編 山にまつわる怖い話

山の奇妙なトンネル【ゆっくり朗読】2400

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知り合いのおっさんがしてくれた話。

その人を仮に桐谷さんと呼ぶ。

桐谷さんは山によく一人で入る人で、山に入るとそこで渓流釣りっていうのかな、魚を釣りに行くんだそうだ。俺は釣りの趣味がないからわからんが。

ある時桐谷さんは長野だったかかどこだっかの山に行ったそうだ。

その場所はまわりが緑でうっそうとしてて、ちょっと薄暗かったんだって。

でも「気持ちいい場所だから気に入った」んだそうで、そこで釣りを始めた、と。

ひとつだけ気になることがあって、それはその川の反対側に人の背丈くらいのトンネルがあった。

人工物?って聞いたら、人工物って言ってた。

何のために作られたか想像もつかなかったそうだ。

でも中は暗いし、周りは気持ちいいけどそれだけちょっと気持ち悪いから、そこから離れたところで遊び始めたそうです。

離れた、と言っても、遠くに見えてる感じ。

で、しばらくすると桐谷さんは朝早かったせいか眠くなったらしく、そのまま数分くらい、短い時間だけど寝てしまった。

で、何か違和感があって目をさましてトンネルの方を見たら、ちょうど何か大きなカタマリが、水から上がってトンネルの中に吸い込まれて行ったのが見えたんだそうだ。

その時はギョッとしたらしいけど、タヌキとか動物が水遊びでもしてたのかと思って、トンネルの正面まで移動した。

中を目をこらしてみたら、最初にきた時は日の角度のせいか中身がわからなかったが、今見るとわりと入り口近くで土砂で埋もれてたらしい。

それを見て改めてギョッとしたそうだ。

自分がその正面に立つまで、その穴から何かが出た動きはなかったらしいので。

で、さらにギョっとしたのが、桐谷さんがいつもかぶってた星条旗みたいな派手な帽子があるんだけど、それがいつの間にかそのトンネルの少し中に落ちてるんだって。

確かに自分の手元や釣りを垂らしてた場所にも自分の帽子はなく、目の先に落ちてるそれが間違いなく自分の物だったそうだ。

桐谷さんは不気味すぎてそのあとすぐ帰った。

帽子はそこに見捨てて行ったそうだ。

664: 本当にあった怖い名無し 2015/07/09(木) 14:27:54.39 ID:VUsW6bsv0.net

(了)

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