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短編 洒落にならない怖い話

首狩り峠【ゆっくり朗読】

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自慢じゃないが、私は憑かれやすい。

792 :首狩り峠:2006/05/27(土) 13:11:33 ID:gjIrLZXm0
霊感なんかは殆どないので、自覚症状がなくて恐ろしい。
子供の頃はよく行方不明になって、
次の日に田んぼの真ん中でケタケタ笑ってるのを発見されたとか、しょっちゅうでした。
今でも、体調悪かったり気ぃ抜くと寄って来ます。
そんな感じの話。

鳴門の方に用事があって、遠出してた日の帰り。
道路情報聞いてたら、何でも高速の方で事故があって大渋滞との事なので、旧道を通って帰る事にした。

長い距離ながら、県道なためか対向車は殆ど無い。
頭上を仰ぐと『○○峠 ○○市まで40km』の標識。
以前立っていた標識には、『首狩り峠』と書かれていた道だ
数年前に、市長が「縁起が悪いから」と勝手に名前を変えたが、今でも『首狩り峠』の通称で呼ばれている。

なぜそんな不吉な名前かというと、
昔、戦で負けた落人の集落が、峠の頂上あたりにあったらしいが、
ある時、残党狩りがやって来て、盛大な山狩りを行い、一族郎党皆殺しにして首級を持ち帰ったのだとか、
確かそんな感じの由来だったと思う。
なんて直球ストライクなネーミング。
元来粘土質で急斜面、『ケ』も悪い土地とあって、建物は殆ど立っていない。

うどん県とみかん県の県境、峠のちょうど一番てっぺん辺り、
緩やかなカーブ道の先に、自販機とイスがあったので、車を停めて一休みする事にした。

いい加減、鬱陶しい森ばっかりの風景に辟易していた頃だ。

まだ午後4時だったが、天頂まで木に覆われだいぶ暗い。
辺りを見回しながら、「ホント木しかないなぁ」とため息ついてると、どうも背後に視線を感じる。

気のせい気のせいと思ってると、頭上でカラスが一声鳴いた。
体が「ビクッ」となった瞬間、背後に感じる視線が、刺すような痛みに変わった。
背中の毛がチリチリ焼けるような感覚だ。(背毛は生えてませんが)

こんな感覚は以前、首なし地蔵を蹴り飛ばした時以来だ。
首を90度だけ回し視線を後ろに送ると、道路の向こう側に犬が座っているのが見えた。
真っ黒い犬だ。真っ赤な目をしている。
いや、目じゃない。
「目玉がない」

真っ黒な顔面の眼窩は、ぽっかり空いていて、眼球の代わりに、赤い絵の具を浸したような赤さだ。
その眼球の無い目で、私の方をじ~っと見ている。
背中どころか、私の全身神経が警鐘を鳴らしている。
目は真っ赤なくせに、口ん中や舌まで真っ黒なのだ。
犬だけど犬じゃない。ヤバイいぞ、これは非常にヤバい。

私は見えてない、気づいてない素振りをしつつ、車の方へ戻る。
頭上では、カラスどもがギャアギャアうるさく喚いている。

エンジンをかけ一目散に逃げる。ミラーをたたんだまま3km走る。
もしサイドミラーに映ってたら、と思うと気が気でなかったからだ。

そんな体験談を、自称『視えるけど祓えない』友人に話したところ、
臆病者と子馬鹿にされるかなと思ったんですが、以外に興味津々。実に乗り気になってしまった。

私が「いや、暫くあっちの方は用事ないし」と言うと、短い沈黙の後、
「……うどん」
「は?」
「うどん食いたい」
「はぁ?」
「うどん食いてぇーー!!」
「は!?」
「うどん食いにいくぞ、ハイ。決定」
「ハァ!?」
「来週ね。車は却下。バイクで行きます」
「……はぁ」
有無を言わさぬ強引さで決定された。
まぁレポート作成の一環と諦めるしかなかった。ヤレヤレ。

生協前で集合。明るくなってから出発。フツーのツーリングである。
私の愛車はエリミネーター400。友人はRZの改造品。
排気量が多くても小回りが利かないので、どんどん離されていく。
例の場所を教えようにも、時速90kmで遠い彼方へかっ飛んでいく友人に教えるすべも無く、
行きしはフツーに素通りしていった。

しばらくして、さびれた山村に差し掛かった頃、友人がテールランプで停車を指示する。

農道のガタガタ道を抜けた先に、うどん屋があった。
こんな所にもあるもんだなぁと感心したが、友人曰く、
「街で大量生産してるようなうどんはクズ。うんこだよ。
こういう民家でやってるようなんが一番ウマいんよ。水もウマいしね」

入ると、なるほど普通の民家だ。

私「じゃあキツネうどんお願いします」
友「山菜天ぷらソバ。大盛りで」
「お前、『うどん食いてぇー』って言うてたやん。ソバて……」
「まぁウソだからね」
さいですか……

うむ、さすがうどんの国。確かにうまい
ところで、今日ずっと気になってた事があったので、うどん啜りながら友人に聞いてみた。
「何で車じゃなくてバイクで来たのか」って。
するとニッコリ笑って、
「ホラ、お前がもし取り憑かれても、置いて逃げれるしょ」
ブッ(;゚;ж;゚)゙;`;:゙;.

うどん食った後、テキトーに走って、「さぁ帰るかー」となった。
まだ秋口、4時になってもだいぶ明るい。
ただ、山ん中入ると樹木に遮られ、ずっと暗くなる。頂上付近になると、光が全然入らなくなる。

そして件の休憩所に着く。

自販機と電灯、石造りの椅子が2つだけの、寂しい場所だ。
エンジンを切った友人が辺りを見回し、「んー気合入っちょーね」と一言。
何か見えないかと聞いてみたが、「んー見えへんね」と。
「空気がエラい澱んどるから、何やかやでそうやけどねー。待つ?」

あんまりヒマだったので、二人石椅子に座って、「次のレポートの調査どこ行くか~」って話になった
「先月○浦の合戦場行ったけぇ、次○○鍾乳洞にしよう」と友人。
「えー前回の時、『次は大歩危小歩危行に行こう~』言うてたや。それに鍾乳洞も前に行ったし」と私。
「いや、今度の○○鍾乳洞がまた『出る』ちゅーて聞いたんよ。人骨見つかったらしいし」
「いや、俺ら別にオカルト調査隊じゃないからね?もっとフツーん所に……」

そんな会話をしている時、強い風が吹いた。カラスがギャアギャア喚き始めた。
同時に、またあの悪寒に見舞われた。
続いて、ヒドい頭痛が私を襲った。隣の友人も、右目を抑えてうめいている。
視界がぐわんぐわんする。友人が何か叫んでいるが、途切れ途切れにしか聞こえない。
身体は身体で氷水に浸かったような寒さが。震えが止まらない。

隣の友人がフラっと立った?と思った瞬間――右足が飛んできた。
胸部にモロに受けた私は、のけ反りもんどりうって石から転げ落ちた。
どうやら蹴り飛ばされたらしい。あの細足からは想像できない威力だ。
「何すんだ!」
「コレでいいか!?」
「は?」
いや、私に向かって言ってるのではない。
友人は何も無い空間に、もう一度「コレでいいか!?」と叫んだ。いつのまにか風も止んだようだった。
友人は大きく深呼吸をした。そして私に、「まだ頭痛い?立てる?」と聞いてきた。
さっきの胸部への蹴りでロクに声の出せない私は、首をコクコク縦に振った。
「すぐに帰るよ。エンジン」
フラフラする足取りでバイクの所まで戻ると、寄り道もせず一直線に帰った。

生協前のファミレスで一息つく。

私「あのさぁ、いっぱい聞きたい事あるんだけども」
友「あのさ」
「ん?」
「面白そうやからずっと黙っちょったけど、今朝からずーっと、お前ん肩に何か憑いてたんよ」
「え!?」
「3人くらい」
「なぬ!?」
「やけど、山で風吹いちゅー時、そいつらが全部お前から逃げて行きよったんで、ウチもビックリしてん。
で、その後すぐ頭痛くなったと思うんやけど、声が聞こえた」
「声?」
「直接脳に響くような声で、『スワルナ!』って」
「『座るな』って?あの椅子?」
「やろね。お前には聞こえんかったみたいやから、何とか退かそうと思って蹴った。ゴメンね」
「やから『コレでいいか!』って言ってたんか。……あ、犬はおった?」
「いや、何も見えんかった」
「そか、何やったんだろあの犬」
「あ。でもね、声が最後に言うたんよ。
『三度目は無い』って。
命が惜しけりゃ、もう近づかん方が良いね」
「言われなくても行かねぇよ」

後日、友人が仕入れてきた地元の老人の話によると、
何でもあの場所、数年前までヤシロが建ってたんだけど、土砂崩れで流されて、土台しか残ってないんだと。
つまり、椅子だと思って座ってたあの石は、ヤシロの土台。
まぁ尻乗っけられたら神様も怒るか。

しかし、「ただ石に座っただけで代償がコレほどとは……」。
家に帰ってから気づいたが、あの日持ってた携帯電話、MP3プレイヤー、デジタル時計。全部ブッ壊れてました。
磁気だか電磁波だか、原因は分かりませんが。
「……全く、洒落にならん」

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