先日中学校の同窓会があり、当時の俺のクラスではタブー化された話が話題になった。
47 本当にあった怖い名無し sage 2007/07/13(金) 00:20:37 ID:03rSqLFyO
中学校で同じクラスだった加奈と言う子が居た。
活発で勉強も良く出来る可愛い系の子だった。まあ俺の初恋の人だった。
三年の夏休みに学校の図書室に行った時、偶然にも調べ物をしていた加奈が居た。
図書室には俺と加奈しか居なかった為、進路について話したり雑談したりしながらお互い自分の作業をした。
俺はクラスの友達には言ってなかったが親の仕事の関係で東京の高校に行く事になっていたので加奈にそう打ち明けた。
「そうなんだ、寂しくなるね」
加奈は少し悲しそうな顔をして俺を見た。
好きな子にそんな顔されて多分舞い上がると言うか逆上せてしまったんだと思う。
その場で告白してしまった……
結果ははぐらかされてしまったが、東京に行っても手紙しようね的な仲までは進展した。
夕方になり、途中まで一緒に帰宅。
とその帰り道、加奈が忘れ物をしてしまったと言い一人で学校へ戻る事に。
別れ際、加奈が言う。
「弘ちゃんの事、私も好きだよ」
本当に嬉しかった。今にも踊りだしそうなくらい浮かれて俺は帰宅した。
これが加奈と交わした最後の言葉になるとは思いもしなかった。
昨日の話からして今日も図書室に行けば会えそうだったので朝から学校へ向かう。
途中で駐在と県警のパトカーが停まっていたが特に気にもとめず学校に向かう。
図書室に加奈の姿は無く、俺は一日図書室で加奈を待っていたがやはり来なかった。
それからほぼ毎日学校へ行くも加奈には会えなかった。
夏休みが終わり、新学期が始まったが加奈は居ない。
担任が帰りにクラスの皆に話があると全員残された。
話の内容は要約するとこんな感じ。
加奈は病気になり、県外の病院に入院した。ご両親はクラスの皆には見舞いに来て欲しくないので病院名とかは言わないで欲しい、との事らしい。
クラス全員が動揺し担任に見舞いに行かせて欲しいと言ったが担任はダメと一点張り。
そんなこんなで数日たった日の放課後、こんな噂が出た。
加奈は夏休み、不良数人に拉致され犯されたという噂。精神的に非常にヤバく学校に来られないらしい。
そんな話、信じられなかった。目の前が真っ暗になった。
しかし噂の立った元が別のクラスの女子、駐在の娘である事がわかり話は真実味が増す。
俺は何度も加奈の自宅に行き、話を聞かせて欲しいと懇願するも父親に門前で追い返された。
そして加奈は学校に来ないまま卒業式を迎え、俺は東京の高校に通う事になった。
高校に通い新しい生活がはじまると加奈の事は次第に薄らいで行った。
れでも加奈と最後に話した内容は時々夢に出た。
高校三年の時に中学時代の友人から加奈の訃報を聞いた。
自殺だったそうだ。自宅で首を吊ったらしい。
俺はその日の内に飛行機に乗り加奈の通夜に出た。
地元でも名家だった加奈の家だが、参列者は少なかった。
受け付けで名簿に名前を書くと係の人に焼香が終わったら親族の部屋に行くように言われた。
涙が溢れたが、なんとか焼香を終え、親族の部屋へ。
部屋には加奈の親父さんと年の離れた姉さんが居た。
そこで俺に語られた事は耳を疑うような悲しく恐ろしい話だった。
憔悴した親父さんの話。
加奈は俺と図書室で会った日の帰りに偶然車で来ていた不良四人に絡まれ車に乗せられ朝方まで犯されたらしい。
家に戻ってきた時は全裸で身も心もボロボロの状態だった。
言動もおかしくケタケタと笑っていた。
噂が立つといけないので県外の病院にて治療を受けた。
精神的なストレスにより痴呆のようになってしまい、さらに検査の結果妊娠も判明。
堕ろそうとしても「これは弘ちゃんの子!」と泣き叫び手に負えず結局堕胎出来ない時期まで来てしまった。
結局男の子を出産し、名前は「弘」になった。加奈がそう呼び続けていたので……
加奈は出産後、自宅に戻し奥座敷で療養していた。
この頃はすでに母親も気がふれてしまい入院してしまった。
加奈の面倒は親父さんが見ていたが加奈は子供返りしており、まともな会話は出来なかった。
時々、我に帰ったような素振りを見せたがその都度自殺未遂を繰り返し、施設に入院させようとした矢先、とうとう首を吊ってしまった。
赤ちゃんはお姉さん夫妻が引き取ったがダウン症らしい……
親父さんも話が終わると泣き崩れてしまい、お姉さんは俺にこんな話をしてしまい申し訳無かったと言い俺を返した。
俺はあの日一緒に学校まで引き返さなかった自分を呪う気持ちと涙しか出なかった。
だが、話はこれで終わらない。
これより数年に渡り俺の身の周りに不可思議な事が起こるようになったんだ。
その後、大学へ進む為に勉強に励む俺。
深夜ラジオをつけると不意に聞こえてくる女の声。
ラジオのDJの声に混じり「弘ちゃん、苦しいよ」と声が聞こえる。
ベッドで寝てると金縛りとともに聞こえる赤ちゃんの泣き声。
ふと二階自室の窓を見ると女の姿があったり、携帯アラームが誤作動したり。
こんな事が数か月続き、俺もダウン。
寺に行き坊さんに祓って貰うが、気休めにしかならないと言われる。
大学は失敗、予備校に通いはじめそこで知り合った女の子を好きになり付き合う。が、彼女にも影響が出た。寝てると女の泣き声が毎晩のように聞こえ、付き合うどころでは無くなってしまい別れる。
家は不審火が二回、霊障らしき音なんかは四六時中。
さすがに参ってしまい一度加奈の墓参りに行くことにした。
線香を供え、手を併せ加奈の冥福を祈る。
その時、住職がやって来て俺にこう言った。
「君はこのままでは連れて行かれるかも知れない。東京の○川市にある○○寺の○○さんを尋ねなさい。きっと力になってくれるから」と言ってくれた。
翌日東京に戻り紹介された寺を尋ねる。
初老の坊さんが俺を見るやいなやかなり強引に手を引いて本堂へ連れていかれた。
そこで作務衣みたいなのに着替えさせられ頭を剃られ、経を読み上げる。
いきなりの展開にビビりながらも坊さんが真剣なのでそれほど事態は深刻なのだと悟り言われるままにする。
一日目は昼から夜の九時位までずっとそこでお経をあげてもらう。
夜は簡素な食事を頂き、今夜は本堂より一歩も出るなと言われた。
夜中、二時位だと思うが本堂の戸が突如ドンドンと叩かれる。
仏像が揺れる程尋常じゃない叩き方で外から赤ん坊の泣き声まで聞こえる。
恐くてガタガタ震え布団をかぶって去るのを待った。
4時頃までそれは続き、五時に坊さんが来てくれた。
俺は夜中の事を尋ねたが、真剣な顔で何か考え込み何も教えてくれなかった。
6時頃、夏休みだからか近所の子がラジオ体操に来て坊さんと参加する。
ありえないくらい日常の空気で少しほっとした……
午前中境内の掃除を手伝い、本堂を水拭きする。
午後から読経を受け、また夜が来た。
坊さんに何があっても戸を開けてはならない。例え泣き縋られても決して開けるなと言われる。
眠りについたと同時に昨晩と同じようにドンドンと音がはじまった。
暫らくするとドサっと何か崩れるような音がして聞き覚えのある声が聞こえた。
『なんで弘ちゃん開けてくれないの?』
加奈だ……確かに加奈の声がする。
膝がガクガク震え心臓がバクバクいってるのがわかる。
『あけてよ……さむいよ……』
耳を塞ぐが聞こえる声。気がどうにかなりそうだった。
朝が近づくにつれ、声は聞こえなくなった。
昨日と同じく五時頃に坊さんが来てくれた。
緊張から解放されたが恐怖のあまり恥ずかしながら小便もらしてた……
で、一週間お寺で世話になり最後の夜はもう加奈らしきモノは来なくなった。
もう命までは取られまいと判断したのか、坊さんの許しが出て帰ることに。
坊さんの話
弘君にわかりやすく言うととても強力な怨霊に取りつかれていた。
あのまま放置していたら確実に数か月で連れて行かれた。
今後は影響は少なくなるだろうけど、成仏までは行かなかった。
お守りを肌身離さず持っている事、家と部屋の四隅に粗塩を盛り入って来れないようにする事、何かあったらすぐに来る事。
こうしてその後、約8年はほとんど霊障はあらわれなかった。
で、冒頭にあった中学の同窓会に続く。
加奈の通夜以来だった同級生と合い酒を酌み交わしたのだけど、自然と加奈の話になった。
この件を含め地元ではタブーとなっていたのだけど加奈の両親は離婚、名家だった家も売りに出され今では違う人が住んでいるとの事。
お姉さん夫妻は仕事の関係で子供を連れ東京に出てきているとの事。
凄く嫌な予感がしたんだけど、皆には俺にあった事は言わないでおいたのでへぇー、と話を合わせるくらいにしてた。
この最中、居酒屋の照明が不意に落ちた。
霊だとかの話はしていないので停電した位にしか皆は思わなかっただろうが、俺には誰の仕業かすぐにわかった。
その晩はホテルに泊り、翌朝親戚の家に挨拶に行き午後には東京へ戻ってきた。
今は家を出て一人暮らしなんだけど、駅を降りて家路に向かう途中、強烈な違和感というか立ちくらみがしてガードレールに掴まり座り込んだ……
理由はすぐにわかった。
道路の反対側に親子連れが歩いているんだ。
加奈の姉さんと旦那。その間に遠目でもダウン症とわかる子供。
その子が俺を指指してるんだ……
幸い、座り込んだおかげで姉さん夫妻には俺は見えていないと思う。
行き過ぎるのを確認すると家に向かい歩く。
かなりフラフラする。家に着くなり嘔吐。耳鳴りがする。
あー、俺もおかしくなったかなと、本気で思った。
この大都会でなんちゅう偶然なんだと。考えただけで頭が痛くなってきた。
俺何か悪い事したかな?何か恨まれる事したのかな?
それから毎日そんな事考えています。
霊障はあまり?ないけどあの子が指を俺に向かって指していたのは絶対偶然じゃない気がする。
目も確かに合ったし、ダウン症からかも知れないが笑っていた。
この連鎖を打ち切る為にも明日にでもお世話になった寺に行くつもりです。
(了)