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まわりを回るもの|大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談25

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第25話:まわりを回るもの

昔一人の男の子がいました。

彼はバイクで走ることを趣味にしていたんですよ。

ある日同じバイク仲間と共に、アパートの一室に集まっていた彼は、バイク仲間たちのあいだで幽霊が見れると話題になっている峠について話していました。

そこで幽霊を見てみたい彼は、その峠に行くと言いだしたのです。

問題の峠まではバイクを飛ばせば一時間程の距離です。

仲間は「やめとけよ、そんなこと」と止めたのですが、彼は言うこと聞かずにアパートをバイクで飛び出したのです。

けれど、あとに残った仲間達はさほど心配もせずに「あいつも物好きな奴やなー」と話しながら酒を飲んでいたそうです。

一時間も経たないうちにアパートに電話がかかってきました。

あの幽霊を見に行った男からです。

「今峠の前の電話ボックスからかけてんねんけどな、まぁ、もう2、3回往復してみるわ」

これだけ言うと電話は切れました。

アパートの仲間たちは

「なぁ?幽霊出ると思うか?」

「出るわけないやろ」

「あいつな、僕らをビビらそうと思て『でたーー!でたーー!』そんなん言うの違うやろか?」

などと、心配するよりも逆に笑いで盛り上がっておりました。

そのうちに、二度目の電話がかかってきました。

「幽霊ー出ぇへんかったで!!」と彼は言います。

峠を何度も往復し、それでも出なかったのでバイクを止めて、タバコを吸いながらしばらく待ったと言います。

「そこまでしてやってんのに出ぇへんのや」

「もうええから帰って来いよ」

電話を取った仲間がそう言った瞬間です。

受話器から

ドンッ

という音が聞こえてきました。

「おい、いっ今の何の音や!?」

仲間がそう聞いたんですが、峠にいる男は答えません。

そしてただ、ハッハッハハッハッッハァッハァハァハァッハァハァッハァ!!

という荒い息だけが聞こえます。

「おいっもしもし?もしもしっ!?」

それでも答えはありません……

やがて通話時間が切れたのか、ツーーーーーーという音に切り替わりました。

「ん……?何や?出たって言うとったか??」

「いやそんなワケないよー。出た出た言うて芝居しとんにゃで」

仲間達はそう言い合ったのですが、一時間、二時間経っても峠に行ったあの男は帰ってきません……

電話もかかってこない……

やがて夜が明ける頃になって仲間達はようやく、自体の深刻なことに気がつき始めました。

さて、バイクで出かけていったあの男は仲間達を騙そうとしたわけではなかったのです。

峠にポツンと置かれた電話ボックスから仲間に電話して、そろそろ帰ろうと思っていたのです。

「やっぱり幽霊なんてたんなる噂話なんや」と、そう思ったんです。

しかし、受話器の向こうで仲間が「もう帰って来いよ」と言うたとき

ドンッと何かが電話ボックスのガラスにぶつかってきたのです。

仲間が電話越しに聞いたのはつまりこの音だったのです。

男はハッと振り返りましたが、誰もいません……

「おかしいな」と思った時、今度は

カリッ

と何かを引っ掻くような音がしました。

下の方からです。

受話器からは仲間の声がします。

「おいっもしもし?もしもしっ!?」

しかし彼は答えることができませんでした。

あるモノを見てしもうた彼は、その時受話器を放り出してしまっていたからです……

電話ボックスのすぐ外に女がいました。若い女です……

女が地べたに這いつくばって電話ボックスのガラスを

カリカリッ カリカリッ カリカリカリカリ

と引っ掻いているのです。

それが普通の人間でないことは一目で分かりました。

下半身が無いのです……

腰の辺りで衣服ごとに切断され、そこから大量の内蔵がはみ出しているのです……

彼は背後の受話器に背中を押し付けました。

少しでもソイツから離れたかったのです。

しかし、彼が動いた瞬間、女が突然グゥーっと体を反らせました。

目が合いました。電話ボックスのガラス越しに目が合うてしもうたんです。

女がズルッと横に移動しました。

内蔵を引きずりながら手で這いずってくるのです……

電話ボックスの側面に移動してくるのです……

彼は目を逸らせないまま、それでも女と反対側へ移動していきますが、女はいつまでも止まりません。

ガラス越しに彼を見つめたまま、彼を追いかけるように電話ボックスの周りをズルッズルッと移動するのです。

彼もガラスに背中を押し付けて、横へ横へと移動します。

女も追いかけてきます。

彼が逃げた。

ズルッズルッズルッ

と女は追いかけてきます……

夜が明けて、彼の仲間達がバイクを連ねてやって来た時、彼はガラス越しに、何もない正面の地面をジッと見つめたまま、電話ボックスの中を、ガラスに背中を押し付けながらズルッ……ズルッ……と回り続けていました……

彼がその夜の体験を口にしたのは、数日経って後の事です。

よほどのショックだったのか、それまで彼は一言も口をきけなかったのです。

ちなみに後日。

その峠でバイクに乗った女性がトラックと衝突する事故があった……

そして、遺体はタイヤに轢かれて、ちぎれていたとか……

そんな噂が聞こえてきました。

さらにその女性は、山を超えたところに住んでいる恋人に会いに行く途中で、いつもはその峠の電話ボックスから

「もうすぐ着くからね」

と話をしていたのやそうです。

それ以後、彼はボックス型の公衆電話を見る度に

「こっ怖いっ、ひぃぃ……あの中に入ることができない、できないよぉぉ」

と怯えたりするのです。

[出典:大幽霊屋敷~浜村淳の実話怪談~]

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