短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

山から人が降りてくる【ゆっくり朗読】

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石じじいの話です。

549 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/08/16(火) 11:41:39.58 ID:wseWfP2X0.net

『七人ミサキ』を彷彿とさせる出来事です(もともとは土佐の言い伝えですが)。
じじいはある日、山に登りましたが、狭い山道を上から男が一人歩いて降りてきたそうです。
じじいは「こんにちは。せいがでますのぅ」と挨拶したそうですが、
その男は無言でじじいを一瞥して、通り過ぎて道を下って行きました。
「無愛想な人よのうぅ」と思って、じじいは先を急ぎましたが、今度は女性が降りてくる。
「こんにちは」応答なし。
ちょっとムッとしたじじいは登っていくと、また一人男が。
無言で行き過ぎる。
ここでじじいは思いました。
「山の上の方で入会地の作業でもしとるかのう?
こがいな山のなかで祭りはないやろうし、祠やお寺もないけんね」
そうしていると、こんどは二人づれの女性が。無言でした。
じじいは不思議の思いました。
山での作業ならば、ナタや藁ヒモを持って、それなりの格好をしているものですが、
降りてくる人たちは、みな普通の街中でのような服装でした。
するとさらに男性が一人。また一人、また一人、また一人。
きりがない。
皆無言で歩いていきます。別に奇怪な姿をしているわけでなく、普通の人間でした。
いやな気分で立ち止まると、さらに人が降りてくる。どんどん降りてくる。
さすがにじじいもちょっと怖くなって道を外れて森の中に分け入って、そこから道の方を観察しました。
すると、どんどん人が降りてきます。互いに話すこともなく。
じじいは覚悟を決めて、道に戻り降りてくる人々と行き過ぎならが、山の上を目指しました。

森の木々がとぎれて山の上を見渡せるところに出た時に、じじいのキXタマはちぢみあがりました。
山の斜面をアリの行列のようにたくさんの人が道を降りてくるのが一望できたのです。
人はどんどん上の森から出てきていました。
じじいは危険を感じて、森に逃げてうつ伏せで隠れていましたが、とても怖かったそうです。いつ肩や背中を叩かれるかと思うと。
じじは立ち上がり、山の斜面を降りて別の林道に出て里にくだりました。
山の麓に農家があり、そこでじいさんが縄をなっていたそうです。
彼に尋ねると、今日はそんな作業を山の中でしてはいない、ということでした。
じじいはことの顛末を説明すると、その老人は顔をこわばらせて言ったそうです。

「おおっ!そがいなめに会いんさったか!
それはのう、怖いもんよ。百人目に会うたら、その会うた人は死ぬんで!あぶなかったのうぅ」

老人によると、十年に一度くらい、そのような謎の行列に山中で遭遇する村人がいるとのこと。
その理由はわからない、ということでした。
その後、老人はじじい(その時はまだ年をそれほどとっていなかったのですが)を家に招き入れ、酒と食べ物をご馳走してくれたそうです。

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