短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

我が家の小さなお社【ゆっくり朗読】1700

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私の家は東北の田舎町で、一家にひとつお稲荷様のお社を設置している家がたくさんあります。

47: 本当にあった怖い名無し 2014/12/25(木) 21:20:47.89

我が家にも、小さなお社があります。

私自身は今年の夏まで仙台市で一人暮らしをしていたのですが、祖父母の認知症がひどくなり、母の暮らす祖父母家(現在の住まい)に越してきました。

その時、お社がひどく汚れていたことが気になり、きれいに洗って参道をととのえました。

対になっているお供の狐さんのうち一匹が、事もあろうに首と尻尾が割れて紛失しており、素人ながら粘土で作って修復しました。

その晩か二日後の晩か忘れましたが、就寝中ふいに目が覚め、暗がりの部屋で、白いいびつな光……

といっても輝いてはいません、煙というか、湯気のようなモクモクとしたもの……が浮いていました。

思わず声を上げて起き上がり、ジッと目を凝らすと消えました。

翌日、我が家から空地を挟んで一軒となり(今は空き家になっている)親戚のおばあさんの家にもお社があることが気になり行ってみると、案の定荒れていました。

そして足元に、我が家のものとは比にならないほどバラバラになった一匹の狐さんを見つけ、涙が出ました。

「夜に出た不思議な白いものは、きっとこの狐さんが、自分のことも直してくれと言っていたのだ」

と思い込み、迷わず連れ帰って、同じように修復しました。

よその家のお稲荷様にあれこれするのもどうかと思い、親戚家のお稲荷様にはそれ以上関わっていません。

その後、自分なりに情報を集め、毎月一日と十五日に我が家のお稲荷様には米と水をお供えしています。

すると、飼い猫が見当たらないとき、必ず私のもとへ導いてくれるようになりました。

周囲は空地と空き家だらけで、どこまでが誰の土地なのか分からないような田舎です。

うちの猫は五匹いますが、昼間はわりと自由に縄張りを歩いています。

ですが、そんな田舎でもふいに見当たらなくなるとやはり不安で、探しても探しても見つからないときはお稲荷様に手を合わせます。

「お稲荷様お稲荷様、うちには五匹の猫がいます。そのうち〇〇〇な猫(その猫の特徴)が見当たりません。

どうかケガなく、迫害なく、恐怖なく、戻ってくるようお守り下さい。私のところへお導き下さい。お願いします。お願いします」

と、心からお願いします。

すると、目を開けた時にその猫がいるのです。

これは本当のことです。

家の中の狭いスキマまで散々探しても見つからなかった猫が、目の前で「何してるの?」というふうに、いるのです。

猫ですから、本当はすぐ近くで、探している私を見ていたのでしょうけれど、必ずなのです。

時にはお社にすり寄って現れます。

私はお稲荷様が、時々猫を何か良い意味で隠していらっしゃるんだと信じています。

これからも、お稲荷様に感謝して、大切にしてゆきます。

(了)

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