東北の太平洋地域には『山背』という気候区分がある。
これは夏に、太平洋洋上の冷湿な気団が内陸地方にやってくる現象を指すんだ。
この山背が内陸にやってくると、山にあたって冷やされて、物凄い霧の塊になるんだが、
俺は「山背が来たら可能な限り山背に飲まれないように逃げろ」と教えられたよ。
山背の中に入ると、この世とあの世の境目があやふやになるから逃げろと。
うっかりこれに飲み込まれると、あの世の声を聞くというので本当に俺らの地域の人は嫌がるな。
俺は複数人から山背に飲まれた話を聞いたんだけど、
「大勢の人の声が聞こえた」とか
「泣き叫びなが人の名前を呼ぶ声を聞いた」とか、
はたまた「宴会中の、ガヤガヤという人々の話し声とか、ガチャガチャという茶碗がこすれあう音を聞いた」
という人も多くいる。
山背に飲まれるとあの世に片足突っ込んじゃうらしいよ。
山背に飲まれると、腕を伸ばしただけで自分の手のひらが見えなくなるぐらい深い霧に飲まれるらしいから、まぁそういう事が起こるのかもしれんね。
110 :名無しさん :2014/04/02(水)21:59:51 ID:vIA15mS54
最低でも三人からこの話を聞いた。
ひとりは「行方不明になった娘を発見した母親の悲鳴を聞いた」そうだ。
「あー!」っていう、母親のものと思われる物凄い悲鳴を聞いたとか。
実際にそこで、何十年とか前にあるところの娘が溺死した事件があったそうだ。
その声を聞いた地点が、丁度娘の溺死体が揚がった場所だったとかで。
それ以来、一切その場所に近づいてないと言ってた。これは怖かったわ。
あとはもう、ガヤガヤ話し声がするとか、クスクス笑い声がするとか、そういう話はよく聞くよマジで。
あの地方に釣りに行ったことがある釣り人なら、知ってる人も多いんじゃないだろうかね。
(了)
やませ(山背)とは、春から秋に、オホーツク海気団より吹く冷たく湿った北東風または東風(こち)のこと。特に梅雨明け後に吹く冷気を言うことが多い。やませは、北海道・東北地方・関東地方の太平洋側に吹き付け、海上と沿岸付近、海に面した平野に濃霧を発生させる。やませが長く吹くと冷害の原因となる。なお、オホーツク海気団と太平洋高気圧がせめぎあって発生する梅雨が遷延しても冷害となる。
[出典:Wikipedia]