タクシーの運転手から聞いた話。
大阪の千日前付近で客を待っていたら、前に同僚のタクシーが止まっていた。
同僚は、誰も乗り降りしていないのにタクシーのドアを開け閉めしていて、そのまま走り去っていった。
場所柄、もしかしてという気持ちがあったが、きっと、間違ってドアの操作をしてしまったんだろうと思い、会社に帰った。
そしたら会社で社員達が騒いでいて、「何事か?」と皆に問うと、さっきの同僚が青い顔をして座っている。
「どうした?何か事故でも起こしたんか?」
と声を掛けると、同僚は
「ワシ、乗せてもた」
「何をや?」
「女の幽霊や」
「もしかして、千日前でか?」
「何や、見てたんか」
「そうや。お前がドアを開け閉めするの見てたがな」
「あ~。もう、こりごりや。あそこでは商売できへん」
別にシ-トが濡れてたとかは無いらしく、乗せてしばらくしてから姿が見えない事に気づいて、急いで社に戻ったらしい。
それから、自分も同僚も千日前では客を拾わなくなったそうだ。
「わしは気持ち悪いんですわ。皆、待っとりますけどなぁ」
よくある話なんだけど、その時は怖かった。
何年か前に夜遊びをしていて、午前三時過ぎくらいになんばのそのプランタン近くでタクシーを拾おうとしたんですが、全部素通り。
絶対に私の方を見ているのに乗車拒否するんですよ。
「タクシー乗り場じゃないからかなぁ」と思って、諦めてロイヤルを呼んだら、その運転手に、
「あの場所で夜中に若い女の人を見かけても誰も絶対乗せんよ。そういうのがよく出るもんでなー」
って言われたことがあります。
そう言えば、タクシーに手を振ってる間、建物の傍にだんだん人が増えてきたなぁってっていうか、こんな時間にもいい大人がウロウロしてるんだなぁと思ってたんですが……
千日デパート火災とは
千日デパート火災(せんにちデパートかさい)は、1972年(昭和47年)5月13日、大阪市南区(現在の中央区)千日前の千日デパートで起きた火災である。
死者118名・負傷者81名の日本のビル火災史上最悪の大惨事となった。
実際には百貨店ではないことから、「千日デパートビル火災」という呼称も多く使われる。また、地名から「千日前デパート火災」とも。
[出典:Wikipedia]
(了)