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短編 洒落にならない怖い話

いるはずのない生徒【ゆっくり朗読】3500

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このあいだ、久しぶりに会った二十年来の幼馴染から聞いた話。

76 :2012/06/15(金) 03:47:12.13 ID:J4ibncVXO

幼馴染の隆一郎は、ある女子高で英語の教師をやっていた。

隆一郎はいつも、英語を教えるクラスの生徒に配るプリントを、校内のコピー機で刷っていたのだが、担当クラスは一学年に四つあって、全員分刷るとけっこうな枚数になるそうだ。

一気に四クラス分を刷ると、時間かかるわ紙無くなるわで色々と面倒なので、隆一郎はクラス人数分ごとの数量指定で、授業前にいちいちコピーするようにしていたらしい。

しかし、なぜかあるクラスだけ、数が違って出来上がるんだそうだ。

三十二名分三十二枚刷ったのが、いつも三十三枚出来上がっているという。

最初は隆一郎も、「ただ数を間違ったんだろう」と思って気にしなかったそうだが、いつもとなるとなんだかおかしい。他のクラスではそんなことないのに。

隆一郎は、教室に並ぶ机の一番前の席1列の生徒に「うしろに廻してね」と言ってプリントを配る。

すると手元に必ず一枚あまるそうなのだ。

前に、それを見た生徒に「先生、なんでいつも一枚あまるの?」と聞かれ、

「これは先生の分だから」と答えたそうなのだが、そんなつもりで刷っているわけじゃないのは自分がよく知っている。

だいたい自分の分は既にきちんとファイルに入っているのだ。

いよいよ不思議に思った隆一郎は、自分がちょっとおかしくなっているのでは?と思い、コピー機の前で、数を数えてみることにしたんだそうだ。

プリントをセットして、枚数を「31」と入力する。(31枚+原本=32枚)

一枚…二枚…どんどん出てくる。隆一郎は目を離さずにそれを数えていたそうだ。

とうとう三十一枚出てきたところで、コピー機は止まった。

原本を足して再度数えてみたところ、やはり三十二枚で間違いない。

しかし、そのきちんと数えたプリントをそのまま例のクラスに持って行き配ったところ、やはり手元に一枚あまってしまったそうなのだ。

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隆一郎はこの時初めて、ゾオオオオっとしたらしい。

隆一郎は慌てて生徒の数を数えたが、休みの生徒もなく、ちゃんと三十二人居る。

あまるはずがないのだ。

でもあまってる。

隆一郎は呆然としてしまい、生徒たちに「このクラス三十二人だよな」と聞いてみた。

するとクスクスと笑われ、「先生寝ぼけてるよー」などと野次られた。

でもそのあと、「三十三人居ないよな?」と生徒たちに念を押した隆一郎の顔がマジだったからか、先生マジでやめてよ、とか冗談キツイよとか、教室内がもうすごい騒ぎになってしまった。

これはいけない、と隆一郎は気を取り直して。

「何でもない、やっぱり俺の気のせいだ」と言って教室内の沈静化を図ろうとした時、

「なんでわかった!?なんでわかった!? なんでわかった!?なんでわかった!?」

ってすげー声で叫びだした奴が居たんだって。

隆一郎はもう恐ろしさからか気が遠くなって、気がついたら校長室のソファーで寝てたらしい。

で、まあ隆一郎はその学校にもう居なくて、既に教師でもない。

はやいハナシ、学校やめて地元に戻ってきたんだよね。

今は実家でブラブラしてる。ちなみに俺んちの二軒隣。

隆一郎が戻ってきたとき、なんで先生やめたのか言葉を濁してたから、ずっと聞きづらかったんだけど、こないだ酒の勢いで聞いたらこの話をしてくれた。

何が一番怖いって、隆一郎が学校を去ることになったとき、やたら避けられていた問題のクラスに居た生徒を捕まえて聞いたら、「なんでわかった!?」って叫んでたのはなんと隆一郎自身だったらしい。

でも隆一郎は、「声は聞こえてたけど、俺が言った覚えなんてない」と……

やっぱ隆一郎がおかしいのかなぁ?

やだな、すごく心配。

(了)

 

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