短編 人形にまつわる怖い話

守護人形【ゆっくり朗読】

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祖母が亡くなり形見分けの時、母が人形を見つけた。

29: 本当にあった怖い名無し 2013/10/02(水) 09:26:24.28 ID:pGTNhV2MO

しかし高そうな日本人形じゃなく、顔や髪も布地で出来た目の丸い女の子の人形。

かわいい、と母は私か妹にと、親族に了承をもらって私のものになった。

私は縫い子で、妹はアパレル、母親は呉服屋にいたため、人形が地味な綿の着物でちょっと変色していたため、母がちりめんや、あまり絹を調達して、妹が色を合わせ、私が人形の着物を縫った。

赤い牡丹に柿色の帯半襟は正絹薄萌木色(しょうけんうすもえぎいろ)にして、髪に薄い絹でつばきをつけた。

お人形遊びみたいだねと話しながら、人形は母の蘭のそばに飾った。

翌日妹が「人形がほんまおおきに!!って言ってる夢見たよ」と言っててみんなで笑った。

数日後、母親の知り合いの親子が遊びに来て、その女の子が人形がほしいと泣き出してしまった。

しかし、形見なのであげられないの、ごめんなさいと母があやまると、女の子は人形をつかんで床に叩きつけた(らしい)

ついでに蘭もぶちまけた……

その子の親は「子供のした事だから」と言い、帰っていった。

母親は人形にごめんね、とあやまり蘭の花を片付けた。

数日後に京都府で大きな交通事故があり、人形を叩きつけた女の子は重症を負った。

まあ偶然かもしれないと最近まで思っていた。

最近になってまたその子の母親が家に来て、ようやく娘が退院した、と話した。

そしてついては快気祝いにあの人形を譲ってほしいと言う。

母はていねいに断ったが、人形で遊ぶなら小さい子だし……私がいいなら譲る。

と言ったけど、そもそも人形を叩きつける子供には譲れないと私は断ってしまった。

しかしその母親は

「子供がほしいって言ってるのに!!」

と飾ってあった人形をまたも取り上げて床に叩きつけた。

人形は足が少し曲がってしまった。

数日後、その叩きつけた母親も交通事故にあった。

命に別状はないが下半身不随になった。ちょっと怖くなった。

書いててすごいありがちだなと思ったけど、この手の怖話は「髪の毛がリアルな日本人形」でしかありえないと思っていた。

見た目は普通の可愛いお人形だし身内には被害もなく、むしろ妹が宝くじを当てたり、私の嫌な上司がなくなったりで、良いことの方が多い。

その上司が本当に悪かった……
パワハラモラハラ当たり前で、部下の彼氏寝取って、商売道具の針やハサミを使って嫌がらせしてケガ人出したり、人様の家庭を離婚に追い込んでウツ患者と自殺者出したり色々。

妹はもう一枚人形に着物を作ろうとして、自分で紫や黒の布地を集めていたが、また夢に人形が出てきて

「そんなんいやや」

と言われたらしい。これはただの夢かもしれないけどね。

(了)

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