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五月荘の出来事【ゆっくり朗読】

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五月荘ってのは、僕の行ってた中学の真横にあったおんぼろアパートで、

213 :五月荘の出来事。:2005/07/03(日) 22:42:23 ID:2a63e2gw0

僕が入学した時には誰も住んでなかった。
ツタとか雑草が生えてて人の気配は全く無いくせに、二階の通路にある窓はいつも開いてて、不気味だったんだ。
でも、とうとう立て壊しが決まったらしいって噂を聞いて、
「潰れる前に、中はどんなのか見に行こうよ」と、連れとともに探検に出かけたんだ。
(山寺に行ったのとほぼ同じ面子。馬鹿ばっか)

中に入ったら、もうボロボロ。床にも穴が開いてたり歪んで、歩くと足を取られる。
俺はぜひとも二階の窓を見に行きたくて、階段を登ろうとしたんだけど、
「とりあえず一階から攻めていこうぜ」と連れたちが言うので、後回しにした。
一階は三つ部屋があって、どの部屋にも鍵はかかってなかった。
手前の部屋から入っていく俺たち。

最初の部屋は家具がほとんど残ってなくて、
部屋の真ん中に日本酒の瓶が置いてあって、その周りに小銭が散らばってた。
床は新聞紙とか雑誌とか散乱してて汚い。
「乞食が生活してたんじゃないの?」とか言いつつ次の部屋へ。

次の部屋は何にも無かった。びっくりするぐらい綺麗に何にも。
でも床の真ん中が窪んでるんだよ。
「なんだこれ」って連れの一人がその窪みに入っていったら、
ずどん!って床が抜けて、連れは落とし穴にはまったみたいに上半身だけ出して、怒ってた。

で、最後の奥の部屋。
後付なのかも知れないけど、その部屋には入るの嫌な感じがしたんだ。
連れがドアを開け放ったとき、ここに来たことをすごく後悔した。
部屋には、なんというか、今でも映像は記憶として残ってるんだけど、真実味が全く無い。
でも、ほんとに、部屋にはもう埋め尽くすぐらいマネキンが立ってたんだ。ほんと100体ぐらい。びっしり。
ドアを最初に開けた奴が「うわ!」って叫んで逃げ出した。俺も逃げた。
残った連れがしばらくして出てきて、
「あのマネキン、全部女のだった」って言ったとき、めちゃくちゃ怖かった。

それからずっとさ、気になるんだよ。教室から見える、二階の廊下の開いてる窓。暗くて何も見えないんだけど。
あそこから俺を見張ってたらどうしようとか、もうそんなことばっかりよぎるんだ。
しばらくして、ほんとに建て壊されたけど、もうほんと、二階に登ってなくてよかった。

(了)

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