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霊能家系の悲哀

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私の家族や親族は、止体に遭遇する率が異様に高いのです。

そういう私も幼稚園の頃、祖父山登りをしていて、首吊り止体を見つけてからとうもの……

二十五歳になった今まで、二十回くらい事故や自察などの止体を見ました。

そういう体質的なものは、どうやら父方の家系に多いようです。

父の実家では昔から地元の神事に関わることが多く、家も鳥居の中にあって、家の裏に神社があり、そこの管理をまかせられています。

私はよく神社の掃除をしたり、祝詞の練習をさせられたのを覚えています。

それに比べて母方は霊感体質な人が多いので、私はきっと父方の家系に似ているんだと思います。

親類の中でも、私の両親と父方の祖母はその体質が強く、人の死期が漠然とわかる人なんですよね。

「あ、なんか急に○○さんが気になった」

「夢見が悪かったんだけど、○○さんが出てきてね……」

「神社でロウソクつけてたら逆さまにロウが登って変な形になったんだけど、○○さん元気にしてるのかなぁ」

いつもそんな感じで、誰かの心配をしてたら……ってことが小さいころからよくありました。

病気とかじゃないんですよね。心配する人とか気になる人はいつも元気な人。だから余計に怖いんですよ。

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前置きが長くなりました。この体験をしたのは二年くらい前だったと思います。

私の地元はかなり田舎で、実家は携帯の電波の届かないような場所にあり、コンビ二まで車で二十分ほどかかります。

その日はハトコのケイと、私の家で遊んでいました。

深夜になりKがタバコがなくなったと言い出したので、めんどくさいと文句を言いつつ買いに行くことになりました。

家から十分くらい車を走らせたところでケイが

「いまタバコ屋さんがあったよ。コンビニは遠いからそこで買おう」

といいました。

そのタバコ屋さんは夕方から朝まで開いているタバコ屋さんです。

珍しいタバコも多く見ているのは楽しいのですが、店主のおじさんの営業トークがとても長いので、私は気乗りしなかったのです。

でもケイに押し切られる形でそのお店で買うことになりました。

「このタバコ新作ですよ?」

「この煙管は管の部分が長くて……」

そんな話を十五分くらい聞いて、うんざりしはじめたころ

「あ…い…あつ…い…たすけて…たすけて……」

というおばあさんの呻き声が店の奥から聞こえ始めました。

最初は心霊現象かと思ったのですが、霊感なんて全然ないと豪語するケイにもそれは聞こえているらしく、しきりに店の奥に視線を泳がせていました。

でも店主さんは全然気にしてない様子。

その後も十五分近く色々なタバコを勧めてきて、帰るに帰れない……

営業トークにも、呻き声から悲鳴に変わった声にも我慢できなくなった頃、意を決したケイが

「おばあさんの声しませんか?大丈夫なんですか?」と聞きました。

そしらた「え、なんのことですか?」といって笑った、店主さんの顔が今でも忘れられません。

それから追い出されるように店を出てからの帰り道、虐待なのか、幽霊なのかさんざん論議したけど、怖くてまたその店に行く勇気もなく、警察に通報してもなんて説明したらいいのかも分からず、家に帰って両親にその話を相談して寝ました。

それで、そのまま次の日には忘れてたんですよ、そのこと。

その一週間後、その家が火事になって、店主さんとそのお母さんが焼止体で発見されたって聞くまでは……

どうやら自察らしいです。

痴呆症の母親の介護と貧乏に疲れての。

目撃した人の話によると店主さんは火傷を負いつつも、一度家の外に出てきたのに

「お袋がまだ中に居るんだ」っていってまた火の中に飛び込んだらしいです。

私とケイが聴いたのは、虐待中の悲鳴だったのか、それとも幻聴だったのか。

未だにそれは謎ですが、両親たちみたいに人の死期がわかる能力なんか欲しくないと思っていた私も、きっと色濃く体質を受け継いでるんだなと思った体験でした。

(了)

 

黄泉づくし [ 平谷美樹 ]

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