中学生の頃、僕は一匹の猫、ミャーを飼っていた。
694 :本当にあった怖い名無し:2006/03/15(水) 11:46:24 ID:CMPRxcjw0
昼間は外に自由に出していて、今の基準では問題かも知れないけれど、
当時はそれが普通だった。
ある日、ミャーが帰ってきた時、首輪に何かが結びつけられていた。
開いてみると、『この猫ちゃんは毎日うちに来てくれてとても可愛いですね。
お名前は何ていうのですか?』という好意的な文面だった。
冗談半分で『名前はミャーです。ご迷惑をかけていませんか?』と返信を書き、
また外に出してみた。
すると再び返事が来た。
それが続いて、なんとなく文通のような形になった。
相手がこちらの居場所を知っていることは明らかだったが、
僕たちは一体ミャーがどこに行っているのか、全く見当もつかなかった。
僕が登校している間にミャーは出かけるので、
母親が後をつけるには無理があったのだ。
そんなやり取りが続くうち、僕たちは引越しが決まった。
引越しの1ヶ月前、最後の手紙をミャーに託した。
『今度引越します。長い間ミャーを可愛がってくれてありがとうございました』
と書いて。
しかし、その日からミャーは帰ってこなくなった。
それまで、夜遅くなっても必ず帰ってきていたのに。
引越しまでの間、必死で探した。
近所に張り紙をして、猫の行動範囲を考えて文通相手にも見てもらえるようにしたが、
何の連絡もなかった。
ミャーが事故に遭ったのか、相手に盗まれたのか、今でも分からない。
あの手紙が届いた日から、ミャーがいなくなってしまったのは偶然だったのだろうか。
引越しを知らせたことで、相手は何を思ったのか。
その後、ミャーの行方は知れないままだ。
あの文通相手の正体も、未だに分からないまま。
僕の心には未だに、不安と疑問が残っている。