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偽りのヒーロー:同窓会で暴かれた過去

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正月に小学校の同窓会があった。

その日は久しぶりに顔を合わせた旧友たちと共に、小学校時代の思い出話に花を咲かせていた。私も自然と自分の黒歴史を話し始めた。

「いやー懐かしいねー、小学校時代いたずらばかりしててさー(黒歴史だわーwww)」と笑いながら言ったとき、みんなの反応が予想外だった。
「A子ねー、あの子ひどかったよねー」
「え?A子がどうかした?」と尋ねると、みんな一斉に驚いた顔をして私を見つめた。
「いや、あのさ…いたずらしてたのはA子でしょ?」

どうやら小学校時代のいたずらの数々は、私ではなくA子の仕業とされていたらしい。男子の上履きに画びょうを入れたり、トイレの個室に水をかけたり、男子をガラスに突っ込ませたり、そんな悪行のすべてがA子のものとして記憶されていた。さらには、私が直接叱られたはずの担任教師の記憶すらも、A子を叱ったというものになっていた。

A子は同窓会に出席していなかった。

中学2年頃から不登校になり、引きこもり生活を送っているという。みんなの中心にいた彼女について、皆は「昔から嫌いだった」「小学校時代からぼっちだった」と口々に悪口を言う。

その光景を目の当たりにしながら、私の頭の中は混乱していた。自分の記憶が間違っているのか、それともみんなの記憶がおかしいのか、何が真実なのかわからなくなった。人の記憶は曖昧なものだが、ここまで改変されていると混乱は極まる。

実は、小学校時代の私はどこのグループにも属さないぼっちだったが、話すと意外と面白い子というポジションにいた。今思うと、それがまた問題を複雑にしていたのかもしれない。

数日後

思い出の断片が次々と浮かび上がり、奇妙な事実に気づいた。男子に足を引っ掛けてガラスに飛び込ませてしまったあの事件、その男子は腕をガラスで切って怪我をしたはずだ。担任は私を1時間以上叱り続け、「親に電話する」と宣言し、私を帰宅させた。

家に帰ると両親はいつもと変わらない態度だった。夕飯を食べ、風呂に入り、就寝したが、結局担任から連絡が来ることはなかった。次の日登校すると、担任は「おはよう」と普通に話しかけてきた。怪我をした男子も腕に包帯を巻いて登校していたが、誰も事故のことを口にしなかった。

私はその時、担任が生徒たちの気持ちを考えて黙っているのだと思ったし、自分も黙っている方が賢明だと思った。だが、両親や担任から何も言われることはなく、やがてそのことを忘れてしまった。

再び浮かび上がる過去の記憶

同窓会で話をした男子によると、どうやらA子の両親から謝罪と治療費をもらったという。男子の腕には確かに怪我の跡が残っていたが、それでも私は自分の記憶に自信が持てなくなった。

日が経つにつれて、次第に真相が明らかになった。そもそも、私はいたずらの対象にしていたのは男子だけだった。小学校高学年の頃、女子の方が体格が良い時期があり、私はクラスでも大きい方だった。男子が女子にちょっかいを出したのをかばっていたのが次第にエスカレートし、女子から避けられるようになった。

だが、女子たちは私に何かして欲しいと頼んでくることがあった。特にA子がよく頼んでくるのだが、私は頼られるのが嬉しかった。そんな私の背後にはA子がいた。彼女がクラスの中心的存在であることから、私が女子たちに避けられるように指示していたのだ。

男子がガラスで怪我をして私が叱られた後、A子は私に男子に怪我をさせるように指示したと密告された。A子の親が呼ばれ、治療費その他の話がまとまった。その後、私の両親には解決済みの旨を伝える簡単な説明があったらしい。母親が一時期、学校のことをよく聞いてきたのはそのせいだろう。

後日談

A子と同じグループにいたB子が密告の中心人物だったことがわかった。彼女たちが担任に「A子に虐められていた私が、A子に強制されて男子に喧嘩を売っていた」と伝えた結果、私は被害者として認識された。私は心底驚いたが、B子は笑顔で「A子がうざかったから」と言うだけだった。

同窓会を仕切っていたのもB子中心のメンバーだった。彼女の笑顔に潜む冷徹さを感じた私は、当時の自分の認識がいかに甘かったかを痛感した。結局、A子はグループから排除され、ぼっちになっていった。

正月の同窓会で明かされた真実は、私にとっては衝撃的なものだったが、同時に過去の出来事を冷静に振り返るきっかけとなった。記憶は曖昧なものだが、その曖昧さが時には人生の道を左右することもある。これからは、自分の記憶だけに頼らず、周囲の人々との対話を大切にしようと思う。記憶の迷宮から抜け出すためには、自分自身と向き合う勇気が必要だと感じた。

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