身バレしそうで怖いけど、いまだに不可解な体験をひとつ。
711 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 12:45:08.87 ID:EEZ2lDiO0
私が中学生の頃、友達と一緒に近所の稲荷祭りに出かけました。
小さい境内に似合わず、人もたくさんくる賑やかなお祭りで、準備はもちろん、出店もほとんど近所の人たちでやっているので、少しくらい帰りが遅くなっても大丈夫なので(最後には誰かしら一緒に帰ってくれる人がいる)、私は毎年遅くまで居座っていました。
その年も夜九時くらいにお祭りが終わり、近所に住む友だちの建太くんと一緒に後片付けを手伝っていたのですが、最後に、残った生地でお好みを焼いてもらったので、お稲荷様におすそ分けして、建太くんとお社のまえに設置された椅子に座ってわいわい食べていると、
「翔子ちゃん、建太くん、そろそろ帰るべし、いっしょにあんべ~」と呼ばれました。
「はーい」と返事したのですが、呼んでくれた近所のおいちゃんは気付かず、私たちの名前を呼び続けていました。
おかしいなと思って、立ちあがって、大きめの声で返事しながら手を振ったのですが、おいちゃんは気づきません。
それどころか、「翔子と建太、どこさいったか知らねぇか?」と、他の大人に聞いていてまわりはじめていました。
こんなに近くにいるのにと思いながら、急いでゴミを袋に入れて、おいちゃんのところへ行こうとしていたら、おばちゃんが「あれっ、二人して、そこで食べてたけど」って、私たちのほうを指さして言ってました。
えっと思いながら、おいちゃんとおばさんのところに「ここにいるよー」って大声だしながら走っていたのですが、ぜんぜん気づいてくれません。
肩とか叩いているのに、無視されているというかなんというか……
ちょっと怖くなって、一緒にお好み焼き食べてた建太くんの手をにぎったら、「なんだろう、どうしたんだろうね」と、首をひねっていました。
そのうち、私たちを探し始めて大騒動になってきました。
私は中一で、建太くんが高一だったので、
大人たちが「送って帰っていったんじゃないか」と言いはじめ、私も建太くんも頭が????のまま。
必死になるべきなのか、からかわれているのかわからないまま、冗談やめてよーみたいな感じで、大人のまわりをうろちょろしていました。
でも、境内の脇に私と建太くんの自転車が見つかって、カゴに荷物も入っていたことから、なんかおかしいということになり、あれよあれよと大騒ぎになってしまいました。
建太くんもさすがに「なんかおかしいよコレ」と言って、いっしょに境内を出て、神社隣の酒屋にあった公衆電話から建太くんの自宅に電話をかけました。
当時は携帯電話が普及しはじめたところで、田舎の高校生では携帯を持っている人は少なかったのです。
あいにく建太くんの両親は留守だったので、私の家に電話をかけました。
母親が出たのでたのですが、私が「もしもしお母さん?」と言っても、『もしもし?もしもし?』とかえってきて、こちらの声が聞こえていないようでした。
しまいにはイタズラと思われたのか、切られてしまいました。
なにがなんだかわからないままもう一回かけたのですが、やっぱり声が届いていないようで、『イタズラなら切ります』と言われてしまいました。
そのことを建太くんに話していると、お祭りにいた人達が私たちのところへ向かってきたのでほっと安心したところ、私たちを素通りして酒屋の裏手に向かい、「伊勢屋さん、電話かしてけでー」と言って入っていってしまいました。
誰に声をかけても気付かれないので、自転車に乗って帰ることにしました。
左手にずらっと田んぼがあり、右手に畑が連なっている道で、お祭り帰りの高校生もいて、声をかけたのですがやっぱり気付かれず。
なんともいえない気分で、無言のまま二人で自転車こいでいると、「ちょっとまって」と建太くんがいきなり自転車をとめて、「自転車おいて、歩いていこう」と言うので、その通りにしました。
自転車のライトが消えて、当然真っ暗になったのですが、建太くんが「そのキーホルダー、かごに入れて」と言うので、私のバックに付いていた光蓄するキーホルダーを取って、自転車のかごに入れました。
頭が働かなくて、言われるがまま自転車を乗り捨て、建太くんに手をひかれて、右手の畑を通ってトウモロコシ畑に入りました。
「しゃがんで、あれ見て」と建太くんが言う通り、さきほど通っていた道を見たら、点々とある街灯のあかりの下を、祭り帰りの人も通ってゆくのですが、黒い影とも、白い影とも、透明ともいえない……
表現しにくいのですが、なにか人影のようなものも通り過ぎていくのです。
「蜃気楼じゃないよね」とか言っていたのですが、「あれにライトあたったとき、顔みえた」と建太くんが言ったのを聞いてゾッとしたのを覚えています。
そのうえ、私たちの後ろをついてくる同じ影がいて、わざと普段通らない道を通ったりしてきたそうなのですが、やっぱりついてくるので、試しにライト消して隠れてみた、みたいな説明をしてくれました。
これからどうしたらいいのかわからず、しばらく畑で座ってました。
十五分くらいすると、警察のパトカーが道を通りすぎ、「もしかして私たち通報されたんじゃない」みたいな話をしていたときでした。
建太くんが私の手をにぎったので、ただ事じゃないと思って黙ったら、畑の向こうから影みたいなのが数体、こちらの畑に入ってきたんです。
腰を低くして早足でトウモロコシ畑を抜け、川の土手を這うようにして走りました。
それから、どん詰まりにある自宅には向かわず、明るくてここよりは人の多い、二十四時間やってるスーパーへ行こうということになり、後ろを振り向かないでひたすら走りました。
そして、スーパーの公衆電話からもう一度家に電話をかけたのですが、
『もしもし?翔子なの?翔子でしょ?どこにいるの?もしもし?』
と母親が出て、パニックしていました。
呼びかけても声が通じないので、こちらから電話を切りました。
それからスーパーの人に声をかけたのですが、やっぱり無視されるのです。
仕方がないので、飲み物と食べ物を少し取って、多めのお金をレジにおきました。
(でも、店員さんがそれに気づく気配はなかった)
それから三日、自宅に行ったり、警察に行ったり、神社行ったり、影みたいなのから逃げながら、ひたすら隠れて逃げてしていました。
そして建太くんと話し合って、次に影が来たら逃げずに話そうと決めました。
一睡もしてなくて、眠くて眠くて、行きがかりの橋の下で座って寝ていたら、建太くんに肩をゆすられて目が覚めました。
警官がこちらに向かってくるので、建太くんはちょっと警戒していました。
でも、警官のほうからこちらに声をかけているので、ようやく会話ができる人が現れたと思って泣いてしまいました。
そのまま保護され、家出ということで処理されました。
私たちは祭りを含めて、三日くらいしか家をあけていないのに、十四日も行方不明ということになっていました。
乗り捨てられた自転車も、私たちがスーパーで買い物した形跡も見つかり(置き去りのお金と、食べた袋)、スーパーの事務所に入って電話した記録も残っていました。
「そのとき警備員がいたはずなのに、どうやって忍び込んだ?」みたいに言われ、私たちも説明のしようがなくて、すごく納得いかない体験でした。
721 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 14:18:13.71 ID:jgL+4Lmp0
面白いけど何気すごく怖い話だ。
なんか判らないけど人が消えちまう話ってのが地味に一番怖かったり。
723 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 14:19:50.02 ID:D1dVilIn0
恐いけど建太くんが一緒でよかったよね。
724 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 14:47:47.36 ID:EEZ2lDiO0
話を聞いてくれてありがとうございます。
誰に話しても信じてくれないだろうし、建太くんはあの時の話しをしたがらないので……
ずっと悶々していましたが、オカルト板ならと思い、書いてみたらスッキリしました。
あのとき建太くんがいてくれて、本当によかったです。
自分一人だったら、たぶん自転車吹っ飛ばして家に戻って、布団かぶってブルブルしてただけでした。
私はあの影みたいなやつよりも、誰に声をかけても空気状態になっている自分たちが怖かったので、建太くんの存在がすごくありがたかったです。
725 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 14:55:25.04 ID:aWQqgGfFO
不思議な話ですね。
神隠しとよばれる現象って、実際こんな感じに突然消えてしまうんだろうな。
こちらは見えているのに相手は気づかない状況って……
よく映画のネタでもありますが、魂だけというか霊体になってしまったという事でしょうか。
726 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 14:57:24.76 ID:tfKm9lTg0
自分だったらどうしたかと考えてみると、
多分、人が居る目の前で紙に字を書いて筆談を試みるかな。
727 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 15:27:35.67 ID:EEZ2lDiO0
>>725
自分が幽霊になっているとか、魂だけになっているような感覚はありませんでした。
相手を触れば触った感覚もありますし、服をひっぱれば服のしわができるのです。
でも相手はぜんぜん気にしてないふうでした。
>>726
紙に字を書いて、というのも実はやったのです。
紙もペンもレジ脇にあったものを使ったのに、ぜんぜん気づいてくれません。
お金を置く時にも、店員さんが腰の後ろで手を組んでいたのでその手に置いたり、手をひろげさせて強引ににぎらせたりしたのですが、店員さんは後ろで手を組んでたときのまま暇そうにしてました。
手からお金が落ちても気付かないんです。
事務所の公衆電話を借りたときも、中に入って警備員さんに「電話借ります」って言っても、気付かれずテレビを見ていました。
そのテレビを消してみたのですが、ずっとテレビを見てにやにやしたり、お茶すすったりしてるだけなのです。
テレビは確かに消えていたのですが。
予定表がついた黒板があったので、私と建太くんの名前と日付と、これから警察所に行ってダメなら自宅に戻ることをメモして帰りました。
警察署や家でもメモしていきました。
川にいることがわかったのも、そのメモのおかげでした。
そのメモを気付いてもらえた日にちがばらっバラで、最初にスーパーに書いたはずの黒板メモが、私たちが見つかってから発見されたので、イタズラするなと怒られました。(もちろん、わざわざ行って書いたりしてません)
最後に自宅に残したはずのメモは、『追いかけられてる、川のほうへ逃げる』というものですが、私たちがいなくなって四日目に発見されました。
その時からたびたび川をパトロールしに来てくれていたみたいです。
737 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 19:29:03.01 ID:OunMTrsP0
思春期真っ盛りの男女が、一緒に不思議体験って、まるで何かの小説とか漫画のようだ。
当人達は洒落にならないくらいヤバかったんだろうけど、端から見ると何となくうらやましい。
まぁ、生還出来たから言える事だけどさ。
742 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 20:48:54.78 ID:EFP4KWhL0
お稲荷様にお供えしちゃだめなの?
744 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 21:21:07.00 ID:EEZ2lDiO0
自分たちが異空間に行ったという感覚はまったくなかったので、戻ってこれた!という感じもしなくて、むしろ、みんなが普通になった!と思いました。
でも、異空間だったといわれるとそんな気もする。
この現象のおかげで、ただでさえ大騒ぎを起こして怒られたのに、店で万引きしたみたいにもなって、無駄に怒られました。
事情聴取で紙に書かされたのですけども、ほとんど警察の言うとおりに書いて、
「これこれこうして、こうなったからこうしたんでしょ?」みたいに誘導されて、はいはいってやってたら、最後には家出ってことになってました。
私こんなに文章上手くないよって笑えるほど、見事な家出少女の文でした。
時間経過は、私たちからするといたって普通でした。
いきなり時間が進んだとかはなかったです。
時計持っていなかったので確かだとはいえませんが、少なくともいきなり朝になったり夜になったりはなかった。
私たちは確かに三日、夜を過ごしました。
でも警察に発見されたときには十四日目で、学校でも大騒ぎされました。
>>737
男女でしたが、単なる近所の建太くんで、美男美女なら良かったですが、サツマイモっぽい女と、ひょろながモヤシだったので、お互いにノーサンキューという……
ロマンスはなかった。
>>742
そのお稲荷様によるかもしれませんが、こちらの神社は、神主さんのいるところ以外は、お年寄りがいつもお団子やらお菓子やらをお供えしていきますよ。
つねっても、ひねても、デコピンしても、私たちがしたことに対しては無反応なのです。
体を押したら普通、無意識にしていても、足とかに力入れて倒れないよにバランスとると思うのですが、レジの人は押したらそのまま倒れました。
何事もなかったように立ちあがりましたけど……
今思い出しても、あれは怖かった。
746 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 21:31:03.15 ID:EFP4KWhL0
お稲荷さんが起因かと思ったけど違うのか
747 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 21:59:20.77 ID:XbBtgXqfO
ただの夢では?
748 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 22:04:08.93 ID:SpFFATKPO
極端な話だと、殺人事件を起こしても完全犯罪に成るだろうね。
まぁそんな恐ろしい事まではしなくても、普段気に食わない奴を殴り倒すくらいしてみても良かったんじゃないかい。
754 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 22:40:03.82 ID:2P2S4ntt0
この話は異次元とか言うには無理がある。
物理的な干渉は可能なのだから。
可能性があるとすれば、ある種の集団催眠、もしくはそれ以上の、オカルト的に言えば魔法、呪術、結界みたいなものと考えたほうが理屈が通る。
つまり、周りの人間は二人を視覚、聴覚など五感でしっかりとらえているが、頭の中で存在しないように処理されている。
そんなとこじゃないか?
まあ、真偽のほどはおいといて、それはそれで面白い話だ。
755 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 22:49:53.00 ID:XUID7sGI0
異常に存在感のない二人とか
756 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 23:06:14.95 ID:UfizbHwzO
二人の未成年が二週間も消えていて全国ニュースにならないのはオカルト。
757 :本当にあった怖い名無し:2012/02/15(水) 23:30:35.39 ID:EEZ2lDiO0
>>746
お稲荷さんには、日ごろから祖母とお供え物もしていたし、お社の掃除もしていたし、無礼は働いていないと思うのですが。
昔から気軽にお社で遊んだり勉強したり、駄菓子をお供えしたりしていたので、積もり積もった恨みが……とかだったらどうしよう。
>>747
新聞載ったし、みんな覚えているので夢ではないです。
祭りのたびに、翔子ちゃんあのとき家出してうんたらかんたらって言われ続けて、恥ずかしいです。
>>748
メモが出てくることを考えると、相当ちゃんとやらないと指紋とかですぐバレそうな気がします。
後で何が出てくるかわからないです。
でも、あんな感じで行方不明になっている子もいるかもと思うと、ぞっとします。
>>754
人為的な呪とかだったら余計怖いです。
>>756
夏休み半ばに起きた事件だったのですが、男建太くんと一緒だったこともあって、家出みたいな感じで親も大事にしないようにしていたのですが、学校始まっても行方不明状態だったので、その頃小さくだけど地方紙に出ました。
でも基本的には、よほど小さい子や変な現場が無い限り、家出っぽいのは新聞に出ないらしいですよ。
(警察の人が言ってた)
ちょうど、キレる少年や性的暴行事件のはやっていた頃だったので、男友達の建太くんがへんな感じで誤解されて、可哀そうでした。
でも、頼れる良い人すぎるので、ステキな女性が中身で好きになってくれたらいいのにと思います。
(了)