中編 ほんとにあった怖い話

怖い夢を自在に見る方法【ゆっくり朗読】1100

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十年以上昔の、進研ゼミの読者投稿欄にあった話。

2010/03/22(月) 20:52:40 ID:3MPNKjj60

『怖い夢を自在に見る方法』というタイトルが目に止まった。

その方法とは……

怖い夢を見たいと念じながら枕を踏んで寝るだけ。踏む回数によって怖い話のレベルが決まります。一、二回なら遊園地のお化け屋敷くらいですが、七回を超えたあたりから本当に怖くなります。最大レベルは一〇です。

という内容だった。

ちょうど寝る前だったし、簡単に実行できるとあって、俺は枕を踏み始めた。

いきなり最大レベルを見てしまうのもつまらないと思い、九回で止めて寝ることにした。

その夜、俺は夢を見た。

とっくの昔に亡くなったはずの親戚の爺ちゃんを、介護する夢だった。

爺ちゃんはなぜか俺の部屋のベッドに寝たきりで、鼻や腕に管がたくさん繋がれていた。

俺は爺ちゃんと二人きりになるのが嫌だった。

家族の皆が一緒にいるときはにこにこしていていたのに、俺と二人きりになると顔色が真っ青になり、俺を睨みながら低い声で何かを唸り続けるのだ。

それが怖くて怖くて、ある日介護する振りをしながら管を一本抜き取った。

とたんに容態は急変し、家族が慌てて部屋に入ってくる。

爺ちゃんの顔はあの真っ青な顔で、喉をかきむしりながら低い声で唸りだす。

大変なことをしてしまった。爺ちゃんが死んでしまう。

それに、俺がやったことがばれたらマズイ。

一体何が起こったのかわからない風を装って、爺ちゃんのそば駆け寄った。

その時、爺ちゃんが何を唸っていたのかがはっきりと聞こえた。

お前が死ね……お前が死ねえぇ……」と言っているのだ。

 

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ここで目が覚めた。

これがレベル九の夢か。

なんて夢なんだ。

そもそも、爺ちゃんは俺が生まれる直前辺りで亡くなっているし、俺の部屋で介護するという状況だっておかしい。

爺ちゃんはきっとあんな事言ったりもしない。

夢の怖さを忘れるため、内容をひとつひとつ確認した。

それにしてもあの顔……

もう忘れよう。

あれは夢で現実じゃない。

だが何か嫌な感じがする。

まだ夢が覚めていないような感じが……

ふと顔をあげると、天井に届くくらいの大きさの真っ青な顔が

お前が死ねえええ!お前が死ねえええええ!

今度は唸るなんてものじゃなかった。

叫びだ!あの顔が夢の中から追いかけてきたのだ!

あまりの恐怖に俺は気を失ってしまった。

次に目が覚めたときには顔は無かった。

一度怖い夢を見て、ああ夢かと思わせておいて本命が来る……

ということだったのだろう。

その後数日間は、枕に足が触れるのも怖かった。

レベル九であの怖さだったら、レベル一〇はどれだけ怖いんだ。

それ以来もうこの方法はしていない。

俺はもうあんな夢は見たくないからだ。

ただ、ちょっと気になることがある。

その次の月の進研ゼミの読者投稿欄を見ると、あの怖い夢をみる方法を試したという奴がいた。

先月の怖い夢をみる方法を試してみました。私は怖いのが苦手なので八回枕を踏んで寝ました。夢の内容は憶えていないのですが、目が覚めたら部屋に真っ青で大きな顔が出てきたんです

……ゾッとした。

他人同士が同じ夢をみるとはどういうことだ。

枕 踏む 怖い夢 レベル

と、キーワードになりそうな単語を検索しても、この怖い夢をみる方法が見つからない。

最大のレベル一〇がどうなるのか、誰か試してみてくれ。

(了)

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