短編 ほんのり怖い話

山奥で見たアリエナイファミリー【ゆっくり朗読】4000

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山歩きが趣味だから、道がない、人が入らない、どっちかって言えば山菜採りにいくような山にいくのよ。

60 :本当にあった怖い名無し:2007/07/08(日) 23:45:54 ID:oZg9bDLWO

だから不思議なものもたまにみるよ。

例えば、真っ白いカモシカとか、大人くらいの大きさのワシとか。

でもさ、一番びっくりしたのは、あれだな、家族連れにあったこと。

……ありえない山奥で。

平日の昼過ぎだけど、その日は宮城県と山形、秋田三県の県境を歩いてた。

でっかいブナが沢山はえてる森だから、暗いわりには歩きやすい森。

にしたって、道があるわけじゃないから、山菜採りの地元の人か、俺みたいなGPSもったよそ者しかいるはずのない場所。

で、小さな尾根を歩いてたら、尾根の下を流れてる小さな沢の縁に人が立ってるのが見えた。

「あ、渓流釣りか」って最初は思ったよ。

でも、すぐに「ん?」ってなった。

一人じゃなくて四人で川っぷちに立ってたのね。

距離にして100メートル以上あったから、ハッキリとはわからなかったけど、それでも人が四人なのはわかった。

しかも二人はこどもみたいだった。

最初に思いついたのは『自殺』。

一家心中かと思ったよ。

にしても、こんなとこ来る意味がない。というか子供の足じゃ無理。

少し気は引けたけど、手持ちの双眼鏡でのぞいてみた。

四人は俺に背を向けて立っている。

二人はやっぱり子供だ。残りの二人は大人の男と女。

顔が見たくてしばらくのぞいていたけど、全然動かない。

誰かの悪戯でマネキンが立ってるんじゃって思うくらいだったよ。OH!マイキーみたいに。

で、俺は、そこに行ってみることにしたのよ。

だって、最初に書いたけど、一家心中の可能性だってあるし、そんなんなら止めなきゃって思ったのよ。

で、そっと近付いた。気付かれて、逃げられたり、最悪川に飛び込まれても、たまんないし。

で、気付かれずにすぐ近くまでいったら、わかったんだ。

ほんとにマネキンだった。

大人のマネキン二体と子供のマネキン二体に服を着せて、そこに立たせてあったんだ。

もう、呆れるのと同時な寒くなった。

これやったやつがいるわけで、そいつは絶対まともじゃないでしょ?

人形の正面に回り込むと、それぞれのマネキンにはペンキで名前が書かれてた。

で小さな穴がたくさん開いてた。散弾銃で撃った跡みたいに。

極め付けは、子供のマネキンのひたいには、カッターの刃が刺さってたんだ。

俺ほんとおっかなくてさ、すぐに下山したよ。

ほんと、今思い出しても、おっかないです。

あの異常なマネキンを見たこともだけど、あそこまで、どーやって運んだんだと。

一体々はさほど重くなくても、かさ張るし、一人で運んだなら、絶対に二、三往復しなきゃ無理だと思うんです。

一昨年のことだから、まだあそこにあるんだろうな……

(了)

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