六本木の煌びやかなネオン街、その一角にひっそりと佇む《料亭X》。
見た目は、風情のある和風の建物で、一見したところただの高級料亭です。しかし、その内部には驚愕の裏側が隠されているとは、夢にも思わないでしょう。
まず最初に言わせてください。
このお店の料理、確かに一級品です。新鮮な食材をふんだんに使い、繊細な味付けで舌鼓を打たせる。接客も申し分なく、何も知らない観光客やビジネスマンたちはこの上ない至福のひとときを過ごしていることでしょう。
しかし、真の顔を知る者にとって、この料亭は美食の殿堂ではなく、陰謀の舞台なのです。
先日、相棒がこの店を訪れ、泣きながら帰ってきました。
「ボッたくられた!」と涙混じりに叫ぶ彼女を見て、驚き半分、怒り半分で事情を聞くと、なんとも巧妙な手口に引っかかったというのです。
今時、六本木のど真ん中でぼったくり?そんなことあるはずがないと思っていたのですが、その話を聞くうちに、これはただのぼったくりではないと悟りました。
《料亭X》のママは、表向きは優雅で物腰の柔らかい女性。しかし、その裏では、ヤミ金まがいの高利貸しを営んでいるのです。
私の相棒は、資金繰りに困り、友人に誘われ、この料亭に足を運びました。ママの口から出る甘い言葉に誘われ、藁にもすがる思いで訪れたのです。そこで月一割(年利120%!)という信じ難い条件で金を借りられるかもしれないと、希望を持っていたのです。
しかし、席に着くなり状況は一変。ママは高級ワインや料理を次々と注文し、相棒はまるで接待を受けているかのように錯覚していたのです。これが彼女の世間知らずさを如実に物語っています。
出されたものを何も疑わず口に運び、ただただ流れに身を任せるだけ。肝心の融資話は結局「お金は出せない」との一言で終わり、その上、15万円もの請求が突きつけられたのです。
同席していたママの知り合い、リサイクル屋のババアがさらに事態を悪化させました。
クレジットカードのショッピング枠を現金化するという名目で、相棒は事前にカードを持参していました。結局、その場の雰囲気に圧倒され、10万円分をカードで精算させられ、ショッピング枠の現金化の話はうやむやに。
リサイクル屋のババアは「今、現金がないから」と言い訳をして逃げ、相棒は泣き寝入りするしかなかったのです。
聞くに堪えないこの話を耳にした私は、怒りがこみ上げてきました。
まさに弱者を食い物にするこの手口、許せません。
料理の美味しさなど、もはや何の慰めにもならない。
これは人間として最低の行為であり、絶対に見過ごしてはならないものです。
心の底から悔しくて悲しくて、思わず長渕剛の『ろくなもんじゃねぇ』を口ずさんでいました。