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短編 山にまつわる怖い話

沙流川の河原【ゆっくり朗読】1000

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北海道の沙流群に、沙流川という清流が流れてんだけど

772 :底名無し沼さん:02/05/22 20:56

何年か前、原チャリで旅行中に、国道脇の沙流川の河原で野営したのね。
人里からはかなり離れていたんだけど、
お盆休みで休止中の工事現場の近くで、カーブになった国道の橋が掛かっているところのすぐそばだった。
ガスコンロでご飯を炊いて、夕食といっしょに少々の『日本盛』をたしなんで、
多少ほろ酔い加減ではあったものの、そんなもの酒に酔った内に入るものではなかったと明言する。

暗くなってから、懐中電灯で照らしながら文庫本を読んでいると、どこかから聞こえてくる……子供の声が。
二人の幼い子供のはしゃぐ声が確かに聞こえてくる。
それはすぐに確信的な音量で聞こえるようになり、
その後、カチーン、カチーン……と、ペグを打つ音も聞こえてきた。
私は『家族でキャンプに出かけたんだけど、適当な場所が見つからずに、ここに辿り着いたんだろう』と勝手に推測し、
幸せそうな彼らの声を子守唄に、眠りに落ちた。

翌朝かなり早く、4時頃の事、
すでに明るくて、熱めに沸かしたリプトンティーをすすりながら、昨晩の家族連れのキャンプを偵察に出かけた。
……しかし、無い。テントどころか、車の轍も。
というよりも、テントを張れるような河原すら無い。
音の聞こえていた方向には、ユンボで掘られた深みがずっと続く人工の川が流れていた。
夜暗くなってからキャンプをはじめ、明るくなる前に撤収する家族連れって……?

怖くなって、早々に荷物をまとめてその場を離脱しようと走り出したら、
この話とは関係無いだろうけど、林道をまたぐように横たわっていた3メートル以上の極太の黒い蛇!
確かな感触でひき逃げしました。
あんな大蛇が日本に……それにも恐怖しました。

この家族連れの話には後日談があります……

その後日談です。

3ヶ月ほどたって、新しい仕事にも慣れてきた頃、リアルで不思議な夢を見た。
私は誰かを助手席に乗せ山中の道を走っている。
林を抜けると、カーブになった橋にさしかかった。
私は、そのカーブの始まりのガードレールが激しく破損している事に気づいた。
そして、そのカーブの出口付近に中年のおじさんが立って、私を見ながら手で合図しているのを確認した。
車を停め、おじさんに「どうかしたんですか」と尋ねると、「ちょっと事故をね……」とのこと。
そして、橋の下に妻と二人の子供が助けを待っていると言った。
私がガードレールから下を覗くと、確かに奥さんと二人の子供が上を見上げて救助を懇願していた。
私が「人里に行って救急車を呼んで来ます」と言って、車に乗り込もうとしたその時、
おじさんは私を呼びとめた。そしてこう言った。
「君と会うのは、これが初めてじゃないよね」
その瞬間、私は沙流川の出来事を思い出し、咄嗟におじさんの両肩を掴んで叫んだ。
「おじさん達!もう死んでるんだよ!死んでるんだよー!」って。
おじさんはニヤニヤしながら私から視線をそらしていた。

事実を信じたくなかったのかな……
今でも時々思い出すなぁ。

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