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短編 山にまつわる怖い話

やまわらす【ゆっくり朗読】2600

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俺の親戚の家は山の中にある。

農業で生計立ててたんだけど、乳牛も飼ってた。

ガキの頃の俺はこの牛が大好きで、よく遊びに行ってた。

車で1時間30分かけて(笑)

んで、小2の夏休み、一日だけ親戚の家に泊まれることになった。

おじさんおばさんは笑顔で迎えてくれたが、一言

「裏山には絶対近づいてはならね」

みたいなこといわれた。

そのときは、何か危ないものでもあるのかな?って感じで特に気にせず頷いた。

次の日、おばさんたちが仕事にでちゃって、特にすることもない俺は牛にエサやったりして遊んでたけど、やっぱすぐに飽きた。

ふと裏山の方を見ると、なんか飛んでる。

カブトムシだった。

当時昆虫大好き少年だった俺は、昨日のおじさんの注意など忘れて裏山に飛び込んだ。

しばらくカブトムシを探しながらハイテンションで走り回っていたが、気付くと回りは木ばかり。

昼間なのに妙に薄暗いし、怖くなって涙が溢れてきた。

「おじさーん!おばさーん!」

と泣きながら歩き回ってると、遠くから

「おーい。おーい」

と、人の声が聞こえてきた。

あぁ。おじさんが助けに来てくれた!と、思って声の方向に駆け出した。

けど、おかしい。走っても走っても、おじさんの姿は見えてこない。

そして、ふと気付いた。

全方向からおーいって声が聞こえる。

そして、声の方がだんだんと俺の方に近づいてきている。

文章力皆無だから説明しづらいけど、ガチで怖かった。

顔から血の気が引くって意味がその時よくわかった。

で、もうだめだって思ったとき、急に肩をぐっと掴れた。

俺の意識はそこで飛んだ。

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気がつくと、俺は布団に寝かされていた。

横では、おばさんが心配そうな顔をしていた。そのおばさんと目が合った。

「おお!気がついたか?お父さん!!隆が気がついたよ!」

「ホントか?!」

すぐにおじさんが帰ってきた。そして、俺の目の前に来るなり、

「裏山にはいぐなっていったろが!!」

と怒鳴った。

普段はなんでも俺の言うことを聞いてくれるやさしいおじさんに怒鳴られるとは思ってなかった。

そのおじさんの怒りっぷりが怖くて、俺はまた大泣きした。

「まぁ、無事でえがった。今からお寺さんどごさいぐから、準備すろよ」

それから寺に連れて行かれて、酒飲まされたり、ひたすらお経聞かされたりした。

どうしてこんなことするのかって聞きたかったけど、寺ではそんな雰囲気ではなかったので聞けなかった。

ただ、寺に着いたときにおじさんが坊さんにむかって

「やまわらすさ、俺の甥っ子が魅入られた!」

みたいなこと言ったのは覚えてる。

んで、寺から帰ってきたら両親が迎えに来てて、すぐ家に連れて帰られた。

それから親戚の家には一回も行っていない。

というか、連れて行ってもらえなかった。

ただ、祖父が入院した時におじさんが一回だけ見舞いに来た。

あの時肩を掴んだのはおじさんだったということを教えてもらった。

あの「おーい」って声についても聞いたけど、これについては教えてくれなかった。

知る必要はないとのこと。

「山ってのは普通じゃ考えられないことが起きる場所」

なんだそうです。

(了)

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