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指切村

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『ゆびきりむら』の話。

これから書く話は、1975年(昭和50年)~1984年(昭和59年)まで放送されていたTV番組『テレビ三面記事 ウィークエンダー』にて紹介された事件です。

昭和五十年代にその事件は起こった。

場所は九州の、かつて炭鉱で栄えていたが、鉱山が閉鎖されてすっかりさびれた村。

そこで一人の男が、農作業中に誤って草刈り機で自分の足の指を切断してしまった。

これだけなら日常の範疇で、よくありがちな話なのだが、この出来事を境に、急にこの村では不思議と、村人達の手足の欠損事故が頻発するようになった。

文字通り異常としか言い様の無い頻度で、手足の指、耳、目の欠けた村人達が現れ始め、隣の町村の人達は、この村を指して「何かの祟りだ」と噂し合った。

遂には保険会社が内偵を始め、そこである事実が浮かび上がってきた。

この村は、炭鉱夫達がいた頃には、彼等が毎日落とす金で活気に満ちていたのだが、廃鉱が決まると、村の人達に対し国や公団から多額の一時金が支払われた。

その中には(自宅通勤の)村出身の炭鉱夫達もいたので、鉱夫のいる世帯は『鉱山会社からの退職金+国・公団からの一時手当』の大金が舞い込み、彼等は新たな仕事に就く事も無く家を新築する、自宅に芸者を呼ぶ、家族総出でハワイに旅行、といった調子で大金を浪費し続けた。

やがて手持ちの金も底を尽き始め、さりとて今更昔の慎ましい生活に戻れなくなった彼等が取った行動というのが……

勘の良い人ならもう判っただろう。

そう、保険金詐欺である。

金を遣い続けるために、彼等は保険をかけた自分の体を切り刻んでいたのだ。

保険会社がこの事実を突き止め、彼等を詐欺罪で告訴する準備を進めていた矢先、その相手の一人から一本の電話が。

『大変だ。農作業中に誤って、カマで自分の赤ん坊の首を……』

この件で警察も動き出し、(やはり内偵はしてたらしい)

詐欺、犯罪幇助、そして保険金目当ての嬰児殺害で、ついに皆御用となったそうだ。

以上、金の為に畜生道にまで堕ちた人たちの村、『ゆびきりむら』のお話でした。

(了)

参考資料

自分の指切り保険金搾取

町係長が700万円
福岡県田川主婦ら32人も逮捕

【田川】福岡県田川地方で、自分の指を切って傷害保険を搾取する事件が続発しているが、福岡県警捜査二課、田川、宮田両署は二十日午前十時半、この事件で田川郡大任町1586、町水道係長安武竹治(50)を詐欺容疑で逮捕、町役場を捜索した。
いずれもばくちの借金など遊興費に困っての犯行で、自分の"指を食う"おぞましい犯罪に住民もショックを受けている。
調べによると、安武はさる二月十三日午後一時半ごろ、役場の水道機材倉庫で棚を作っている最中、オノで故意に左手の人差し指を第二関節から切り落とし、地方公務員災害補償基金から障害補償一時金など計約3,015,000円と県農業共済から後遺障害共済金60万円など計200万、総額4,035,950円をだまし取った疑い。

……

同県田川地方は数年前から"指切り事故"が相次ぎ、次々に障害保険金の支払いが続いたため、県警捜査二課などが捜査に着手。
今年2月から暴力団員、金融業者、主婦など32人を詐欺容疑で逮捕している。
これまでの調べで、借金の催促・指切り勧告係、切り役など組織的に役割を分担しているクループが三つか四つあり、追求している。

[読売新聞夕刊昭和57年(1982)9月20日]

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