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短編 怪談

電話ボックスと女性#835

投稿日:

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投稿させてもらいます。

555 名前: ma--bu◇ 2006/08/05(土) 16:11:11 ID:jazf6rqi0

私はオカルト好きなのですが霊感などはまったくと言っていいほどなく、

今からする話まで体験したことはありませんでした。

私が大学二回生の頃、季節は十月でした。

六時ごろに大学の授業が終わり、

いつもどおり家まで一時間かけて車を運転して帰ることにしました。

そして、いつも通り帰る旨の報告と何か買い物するか聞くため、

携帯を手に取ると二年ぐらい使っていた携帯だったので、

この時間ではもう電池が切れかかっていました。

電源を入れるとすぐにバッテリー切れの表示が出てしまうので、

「しょうがない、公衆電話から掛けるか」

と思い車を走らせました。

私が住んでいる地域はなかなかの田舎で大学までの道路沿いには田んぼがあるのは当たり前という風景です。

通い慣れた道でも、いざ公衆電話を探してみるとなかなかみつからないものでした。

そして二十分程、運転しているとやっと見つかりました。

その頃には、日が早いせいか辺りはもう真っ暗でした。

見つけた公衆電話の場所というのは、片側一車線の直線道路沿いの街灯の下にありました。

近くには小さな売店がありましたが、

もう閉店したらしくシャッターが降りていました。

公衆電話が反対車線側に位置していたので寄せようと思い右ウィンカーを出し、

ゆっくりと近づいていきます。

すると、ボックスの中には長い黒髪で白シャツに黒のスカートというスタイルの女性がいました。

当初、私は小雨の電話ボックスに女性というシチュエーションに

「うわっ、これもしかして・・・貞子?・・・(笑」と思い、

引き続きゆっくりと近付き、ボックスに並ぼうとする所までじっくり見ていました。

どうやら、普通に電話を掛けている様子を見ると「なんだ、人間か」と内心ガックリ。

そして、五メートルぐらい過ぎた所のボックスとは反対側の路肩に車を止めました。

車を止め、振り返りボックスを見ると女性の顔は影になって顎のライン辺りしかみえなかった。

雨が降っているし、ボックスに並ぶのもお互い気まずいだろうから、私は車の中で音楽でも聞きながら待つことにした。

ちょいちょいオーディオを触りながら待ち、ふと振り返ると女性の姿はもうなかった。

「あぁ、迎えでも呼んで反対の方向に歩いていったんだなぁ」と思い、

私は、雨も大分小雨になっていたので歩いてボックスに向かうことにした。

ボックスに入ると中はムワッとしていて受話器も濡れていた。

「くっそー雨、嫌やなぁ」とか思いつつ、ちょうど、

ポケットティッシュを持っていたので手早く受話器を拭いてジーパンのポケットにティッシュをしまおうとした。

・・・その時、自分の腕と脇腹の間から人の足が確認できた。

一瞬、ドキッとして振り返ると先程の女性だった。

うつむき加減な顔は、相変わらず影になって見えない。

「?」と思いつつ、軽く会釈をして電話を掛けようと受話器を持ち直した時、

女性がいきなりドアの把手に手を掛けて開けようとした。

私は咄嗟に、折り畳み式仕様になっているドアを内側から太ももと左肘で押さえ付けた。

「なんやねん、コイツ」と思ったが、絶句して言葉は発せなかった。

女性は、右手で一定の強さで引っ張っている。

暫らく、そんな格闘をしていたが、ふいに女性はスッと手を離し、スッーと私の車の方に近づいていった。

その様子は、オカルト好きの私がよく耳にしていた「幽霊の移動する様」そのものでした。

もう私は、ガクブルで「ヤバい、車に・・・」と思う間もなく、女は車のむこう側の影の方へ消えていった。

どうしようか五分ほど思案していたが、いつまでもボックスに居るわけにもいかず、嫌々出ることにした。

恐る恐る車に近付き、横目で車中を見るが人の形は無かった。

運転席を開け、改めて中を確認してみても女はいなかった。

「消えてくれたのかぁ」と安心したが、車の中は電話ボックスのようなムワッとした嫌な空気だった。

電話する事はあきらめ、一刻も速く帰るため車を飛ばした。

・・・走り始めてすぐに、後ろの座席に気配を感じた。湿気混じりの生温かい気配だ。

私は「ミラーは絶対見ない、見たくない」と決め、周りを視界に入れないよう自分の前だけ見て運転し続けた。

・・・すると、今度は助手席に気配を感じた。

・・・あの女がいる、こちらを見ている。

黒い影だったけど、はっきりと目の端に映った・・・。

私は、耐えかねて素早くルームライトを付け、助手席を見た。

しかし、ライトを付けようと腕を伸ばした一瞬の間に女の影は消えていた。

その後、気配は消えたが、私はライトを付けっ放しで家路についた。

後日、この話を同じ大学に通い、同じ道を通っているであろう高校からの友人に話してみると、

その友人はサークルをやってせいで八、九時にその道を通るのはザラみたいだった。

しかし、その友人は「いつも、速く帰りたい一心だから、わからない」と言った。

そういえば、私もあの時以外にあの電話ボックスに注意して見ることはなかった事に気付いた。

そして、「何か、あそこであったんじゃないか」 と考え調べることにした。(オカルト魂だな!)

すると、ローカル新聞でそこでは放置車両が、ごく稀にあり、それと同時にその辺りに失踪者や行方不明者が発生していた。

そして大学にも、そのような貼り紙がしてあることに初めて気付くことになった。

しかし、肝心のあの女のような人はその中に見当たらなかった。

そして、この女の身元は未だわからない事から、

この女が元凶であると推測される。

・・・もしかしたら、私も失踪者になっていたかもしれないと思うと洒落にならないぐらいガクぶるだ。

今度、友人何人か連れて試してみよっなかぁー??

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