小学生の時、兄と私と友人数人で地域で有名な公園によく遊びに行ってました。
489 本当にあった怖い名無し 2009/09/02(水) 18:34:06 ID:BZiX2XvS0
そこは他校と私たちの小学校の双方の真ん中にあるので、他校であろうと仲良く一緒に遊んでいました。
ある夏休みの日。
近くにある市民プールに行った帰り道に、その公園でそれぞれ親に作ってもらったお昼を食べて、他校の学生も数人あつまり始めてきたところで、彼らとともに探検ごっこをすることになりました。
その公園の真ん中には川が通っており、その奥は鬱蒼とした森となっています。
川と言っても、横幅はあるのですが、水はあまり流れておらず、足元がぬれても構わないなら渡れるぐらいの深さです。
その森を真っ直ぐ上って行くと山に入るのですが、山の少し前に高速道路が通っている為、山と公園をつなぐ森の中にトンネルのような空間が出来ているのです。
つまり上に高速道路が通っている為、そこだけ空が見えず真っ暗になっているのです。
そこを私達は『山の穴』と呼んでいました。
とりあえずはそこまで川を挟んで二手に別れ、上っていこうということになりました。
私は兄と友人(女の子)と他校の小松くん、小笠原くんと一緒に、他の友人達は他校の人たちとそこへ向かいます。
そこから私達は森を突っ切り、山の穴を目指して、歩き出します。
少し歩くと川の幅が大きくなりだし、さらに進むと向こう側の友人達は小さくしか見えなくなります。
そこからケモノ道に入り出し、木々も増え始めます。
彼らも同じように森に入る為、互いの姿は確認出来なくなりあとは山の穴を目指すのみ。
小松くんや小笠原くんとも仲良く話しながら、私達は山の穴に到着することができました。
少し遅れて反対側から声が聞こえます。
「お~い、着いたかぁ?」と山の穴に響いてきます。
「こっちはだいぶ前からいるぞぉ~!」と返します。
「お~い、一人そっちに行くからな~」と誰かが伝えてきます。
少し待っても誰も来る気配はありません。
「だれもこないぞー」と更に返します。
相手からはうんともすんとも返事がありません。
「お~い、誰もこないぞー!!」と更に大きな声で言います。
返事はありません。
上からはゴォー、ガタン、ゴォーと車が通る音が聞こえてきます。
「お~い、なんか言えよー、聞こえないぞー」と兄が叫びます。
その瞬間にゴトン。ドオオオンと音がします。
山の穴にその音が反響されて更に大きくガーーーン。ボーンと音がします。
私達は無言になり、不安でいっぱいになってきました。
「どうする、もどろうか?」
と小松くんが言い、兄も友人もそうしようと言うので私と小笠原くんはそれに従い今来た道を戻り始めました。
山の穴の上から煙が出ています。上で何があったのか……
私達は特に気にせず、戻ります。
ケモノ道を再度戻っている最中に後ろから
「お~い、こっちにいかないのかー?」
と声が聞こえたので、あれ?友人達は川を渡ってこっち側に着ていたのか……と振り返り、山の穴に向かい声を掛けたのです。
「さっきから誰も返事せんから戻ってたぁ」と。
「お~い、遅いぞぉー」
と、早く山の穴に戻って来いと、急かす様に何度も大声で言ってくるので、私たちは走りながら戻りました。
山の穴の上、高速道路の側面の壁から糸が垂れてます。
大きさ的にはロープと思って頂いていいぐらいの大きさですが何故か糸としか思えないのです。
四本の糸が垂れており、その下の端に白い旗の様な物がヒラヒラと揺れていました。
道路の壁の向こう側からはヒューヒューと風の音が聞こえ、同時に
「お~い、さっきも二人そっちにいったぞー」
と山の穴の奥から声が聞こえてきました。
見ると、小笠原くんは震えています。
私は兄のシャツをギュっと掴んでました。
糸がスーっと垂れて下にゆっくり落ちてくるように見えるのです。
その糸の端で白い旗がユラユラゆれてます。
兄が後ずさりしはじめ、小松くんは歩みを止めて旗の下のヒラヒラを睨み付けます。
「お~い、おくにいかないのかー」と山の穴から声が聞こえてビクッとなる私達。
「来ないのか」では無く、更に奥に「いかないのか」と私達を呼びます。
一緒にいた友人が叫び、
「だああれええ?みんなそっちにいるのお?」
と問いかけるものの、山の穴からは風が吹き抜けるのみ。
降りてきている糸がユラユラとぼやけて先ほどより太くみえます。
ユラユラしていた旗が膨れて丸みを帯びてるように見えます。
四本の糸の内一本が壁をシャクトリムシの様に這い上がっていきます。
他の三本はゆっくり下に落ちてきます。
クネクネ、フラフラしながら。
「おい、こっちぃこい」
と凄く近くから声が聞こえたのですが、変な事に真上から声が聞こえてくるのです。
聞いたこともない女の人の声でした。
それを聞いた小笠原くんは逃げ出しました。
私は逃げていく小笠原くんの背中を眺めたままどうすればいいか混乱して立ち尽くしてしまいました。
怖くて兄を見たとき、兄と小松くんが糸に絡まってみえました。
友人は必死に兄を何かか守るように引っ張っていました。
それをみて私は逃げだそうとしました。
だけど、兄が何かに連れて行かれる気がして、数歩走った後に振り返りました。
振り返るとそこには兄の顔が逆立ちの様に上下逆で目の前に。
聞いたことも無い様な声で、「ギャアアギャアギャアア」と叫んでいます。
私はその場で腰を落としてしまいました。
兄は吊られた状態なのか、体が逆さまだったのです。
小笠原くんは振り返らずに一目散に逃げて行きました。
友人は必死に兄の名を呼んでいます。
小松くんはいつの間にか居なくなってしまいました。
私は神様、お母さん助けてと心で祈るのみで何もできません。
少し前の方では、友人が兄の体に巻きついた糸を必死で千切ろうとして居ます。
そこで兄が二人居ることに気づきます。
「ギャアアアアギャアアアアア」と叫ぶ糸から垂れてる兄と「この離せ!!」と友人と必死で糸を引き千切ってる兄です。
目の前の兄は顔は悶絶としながら涎を垂らし髪の毛を下に逆立てて、「ギャアギャアアヒャヒャ」と叫びとも笑いともつかぬ顔で私を見ています。
私はそれを避けて、友人が必死で糸から引き剥がそうとしている兄に泣きながらしがみ付き、お兄ちゃん、お兄ちゃんと糸を必死剥がしました。
どうにか兄から糸をとって自由になると同時に「お~い、こっちー、こっちに皆いるぞー」と山の穴から小松くんの声が聞こえます。
私達は怖くて顔を見合わせて、公園に向かって逃げ出そうと振り向く。
そこには先ほどまで居た逆さづりの兄はおらず、代わりに、ユラユラと空中に浮いた虫のように白く膨張したボールを下に垂らした糸が空から垂れています。
それを恐る恐る避けて行こうとすると、ボールの様な何かが
「ウヒャヒャアアヒャアアヒャアアアヒャヤアア」
と気でも違ってる人の様な笑い声をあげてゆっくりと地面に下りてきます。
私達は急いで公園へ向かいました。
後ろから兄が「後ろ向くなよ!早苗(私)、かよ(友人)、後ろ向くな、逃げろ!」と言い、私は「お兄ちゃん、お兄ちゃんいる?」と泣きながら、それでも逃げながら兄が近くに居るのか、又捕まってはいないか、と心配になりながら兄を呼びます。
兄はすぐに「居る、居るから!いいから振り向くな、とにかく公園に逃げろ!」と後ろから声を掛けてくれます。
友人が「大丈夫、私がおにいちゃんの手をもってる。大丈夫だから公園に!」と私の手も取って、一緒に公園まで逃げます。
森を突っ切って公園に入ると小笠原くんは心配そうにこっちを見て、ウロウロしながら震えていました。
私達が走ってくるのが見えると彼は悲鳴をあげ、逃げ出し始め、それを見て私達も後ろにまだついてきてるのだと思い手を繋いだまま逃げました。
人が集まる広場まで出ると小笠原くんが大泣きしながら、他の知らない子達に「何があったの?どうしたの?」と慰められており、私達もそこまで行き三人で腰を落として泣き始めました。
しばらく泣き、落ち着きはじめると小笠原くんが「小松は?小松は?」と聞いてきます。兄が「山の穴で他のやつらと会ったみたい」と説明し、皆の帰りを待つことに。
更にしばらくすると反対側に行っていた友人達が広場に私達を見つけ近づいてきました。
「お前らどこに行ってた?小松は?」と兄や小笠原くんに聞いてきました。
「え?小松くんが山の穴でお前らに会ったって言ってたよ?」と兄が混乱しながら彼らに伝えます。
彼らは小松くんと会っていないとの事なので、私達は「山の穴で声をかけたでしょ?」と尋ねました。
しかし、彼らは何度も叫んで私達を呼んだが返事が無かったからお菓子を食べ、その最中に道路からゴーンと音がして怖くて逃げてきたらしく、その後、上の道路から煙や救急車の音が聞こえたので事故があったのかとこちらへ戻ってきたとの事でした。
そこで私達は今あった事を全て彼らに伝えて、小松くんは山の穴で、彼らに会ったと言っていた。
私達は怖くて逃げた、とも言いました。
私達の友人は兄が怖がるとこをあまり見たことなくて、そんな嘘もつかないだろうと信じてくれましたが、他校の友人達は
「なんだそれ?ガキじゃあるまいし」と一笑して小笠原くんに小松くん探しに行くぞと声を掛けて無理やりつれて、川に戻りました。
私たちも川までは着いて行きましたが、森に入るのはさすがに怖く、ここで待ってると言うと
「もういいよー、お前らの学校は怖がりが多すぎるガキばかりじゃねー」と笑いながら他校の彼らだけが森へ向かって小松くんを探すことになりました。
そこで急に、向こう側に行っていた私達の友人の一人が小笠原くんの背中に指をさしながら「おい、いかんほうがいいんじゃないのか」と言いだしました。
彼らは振り向きながら、何があるのかと小笠原くんの背中を覗き込みます。
言った友人は私や兄、一緒に行った友人の背中を次々と覗き込みます。
私達は何があるのかと兄や友人の背中を交互に見てみますが別に何もありません。
しかし、他校の友人達は「うわぁ、な、なんだ?」とか「ひー」と腰を下ろしだし、小笠原くんは自分の背中を見ようと首を後ろに向けたのですが、見えるはずもなくクルクルとその場で回り始めました。
彼は何?何なの?と友人達に泣きそうな顔で聞いており、私達はその場で足踏みをしている彼の背中を凝視しました。
まずは私が小さな悲鳴をあげて腰を落とし、友人もそれに続き、兄だけは声は出したもののソレを掴もうと小笠原くんに近づきました。
私と友人は兄を止めて小笠原くんに服を脱いで見るように言いました。
小笠原くんは急いで上着を脱いで地面に叩きつけるように置きました。
そして上着の背中に蠢く小さな虫。のような糸のような何かを見つけました。
それはさっき私たちが見た上から垂れてきた糸と同じような、それを縮小したような物で糸の先にヒラヒラと小さな旗がついていました。
それはクネクネ、ウネウネと蠢いてシャクトリムシの様な虫にしか見えないのです。
が、旗が膨張したり、平ぺったくなったりを繰り返しており、膨張したときに小松くんの顔に見えるのです。
一瞬旗に戻り、一瞬小松くんの顔になる。体は糸のまま、ウネウネとしたまま。
それが小笠原くんの上着にくっついていたのです。
小笠原くんはあろうことか、うわぁーとその糸を靴で踏み潰して、蹴りながら、服から除けようとしました。
何度も何度もソレを踏み潰してるうちに膨張した時の小松くんの顔が潰れて旗の状態にもどらない代わりに平ぺったくなりました。
それでもウネウネと動き続けていました。
私達は呆然とそれを見ています。
小笠原くん以外は何をどうするべきなのかわからないから。
いつの間にか小笠原くんは笑ってました。
必死な顔がニヤニヤしてるように見えただけなのでしょうが、どうにも笑って見えるのです。
その行為を永遠に続けるのでは無いか?と思えるぐらいに何度も何度も糸を、虫を、小松くんに見えてしまうソレを踏み潰しては蹴りあげてのけようとしていました。
数分後にその糸が服についてないことに気づいた小笠原くんの友人が小笠原くんを止めて服を拾い上げて確かめた後に地面を見回すのですが近場にはいくら探しても糸は落ちていませんでした。
その後、彼らは山の穴に近づくことを諦め、川で小笠原くんの服を洗っていました。
私達はどうするでもなく、ただ呆然と、傍らに座ってそれを見てました。
彼らは怖さでなのか、又は小松くんを探せないことへの心苦しさからなのか、涙を流しながら川で服を洗っていました。
小松くんは夕方四時になっても五時になっても帰ってきませんでした。
他校の生徒の一人がその間、学校から先生を一人つれてきました。
その先生に今までの事を全て話しましたが、私達の言うことをウンウンと聞いたあとに兄に私達の学校の先生を呼んでくるように言いました。
その後私達の先生に事情を説明しました。
同じようにウンウンと聞いた後、他校の先生と何事か話しあい、私達はとりあえず帰るようと指示し、一人の先生は学校に戻っていきました。
多分応援というか、他の先生を呼びに行ったのでしょう。
夜に先生から電話があり、翌日に学校に来るように言われました。
親も色々と先生から話を聞き、一緒に明日学校に行くから今日は寝なさいと私と兄に厳しい顔で言いました。
翌日、学校に私達と友人、親達が呼ばれておりこれから他校に行くとの事でみんなで他校に向かいました。
他校では小笠原くんを始め、昨日遊んだ友人とその親が集まってました。
それから他校の先生が口を開きました。
「小松くんが昨日亡くなりました。事故だと思います。詳細は親御さんに伝えますので、生徒の皆さんはこちらへ」
と職員室を指差しました。
私は涙が止まりませんでしたが、母は私と兄の頭をグッと押した後に引き寄せて
「しっかりしなさい。先生に何があったかをちゃんと言っときなさい」と送り出しました。
職員室では昨日あった事を伝えたのですが、先生達は信じているのかいないのか何度も何度も同じ事を聞いてきます。
「小松くんをいじめたんじゃないんだな?小松くんに何もしてないんだな?」と。
私達は「虐め」の言葉が出てくるとは思いませんでしたので、何度も説明を繰り返しました。
先生達は最後にわかったと言い、親が来るまで、はゆっくりと泣きじゃくる私達を宥めていました。
家に戻ってから先生に言ったことと同じことを親にも言いました。
それと何故イジメと思われたのかを聞きました。
それは知らなくて良いとの事で、母は私達に嘘をつきました。
「小松くんが死んだのが川だったから落ちたのか落とされたのかわからなかったんだって」と。
私達を心配しての事だったのでしょう。
その後親に連れられてみんなで小松くんの葬儀に行きました。
棺の中を見ることは出来ませんでしたが、小松くんの母親は私達に憎しみを持っているかのように
「よく来れたわね!顔をよく出せたわね!」
と皆の顔を憎々しげに見てそれぞれの両親にも毒を吐いてました。
小松くんの父親がそれを制して頭を下げたので、私達も頭を下げ親は謝りながら帰っていきました。
さて、何故、私達がこれほどまでに彼の母親に憎まれたのか。
何故、親が嘘を言ったとわかったのか。
何故、先生が私達に虐めじゃないのか?と言ったのか。
すぐに答えはわかりました。
それは小松くんの死因でした。
ローカルニュースで何度か取り上げられたのです。
彼の母親がマスコミにでも駆けつけたのでしょうか。
小学生死亡、イジメが原因か?というような見出しで。
小松くんの学校の生徒に「小松くんは虐められてたの?」とインタビューするシーンがTVで何度も報道されました。
もちろん誰一人虐められてたと言う人は居ませんでしたが。
ニュースでは、小松くんの死因は撲殺されていたそうです。
顔がぺしゃんこになってしまっていたそうです。
そのころにはイジメどうのこうのでは無く、不自然な死因という感じで取り上げるようになっていました。
警察は事件・事故の両面で調べているいるとの事だったので、不思議な死因を殊更に取り上げていたのかもしれません。
誰かに何度も何度も踏まれたかのように。
何度も何度も地面に擦り付けられたかのように小松くんは顔が潰れていたのだと。
これを親は一切私達に伝えていませんでした。
伝えられなかったのでしょう。
数日後の登校日に全校集会でその公園の奥には近づかないようにと何度も校長先生や担任が言いました。
犯人がいるとするならば未だつかまってないからです。
それから十数年が経ち、私達は何故かその話を頭から消していました。
まったく覚えていなかったと言う訳ではなくて、思い出したくなかったのです。
後々の警察発表では事故ということになってました。
思い出したのはなぜかというと、兄と私が小松くんを見たのです。
兄と付き合ってる彼女であるその当時に一緒にいた友人も一緒に。
三人が一緒に小松くんを見たのです。
兄と友人は中学卒業後から付き合いはじめました。
私達はそれ以降も三人でよく遊んでいました。
大学生になった私達は、ある日、三人で車で買い物に向かっていました。
高速道路で都会のある町へ向かう途中、事故があった為渋滞になってました。
私達はインターを入ったばかりで戻ることも出来ず、ただ車が流れるのを待つばかり。
少し進むと前の方に車が横転しているのが見えました。
山の穴のある位置のちょうど上にあたる場所で。
車からはウネウネと糸が出てきていました。
クネクネと横転した車の窓から出てきているのです。
旗はヒラヒラゆれてました。
私は兄と友人を見たのですが二人とも唖然としていました。
車がすこしづつ進み事故現場の横を通ります。前の車に乗っている子供がウネウネしている糸を指さしています。
私達はクネクネしている糸を見ないようにしていましたが、その子供の車の窓の横に白い糸が降りてきています。
子供は親に何か言ってるようですが、前に座ってる彼の両親は何も見えてないのか振り向きません。
旗は膨張してきだし、目を背けたかったのですが、どうしても無理でした。
金縛りのような状態なのです。
膨張した旗が小松くんの顔になってきました。
「ヒッ」と悲鳴をあげてしまい、兄を見ます。
兄も真っ青になりながら車を少し進めました。
そのとき、都合悪く、CDをかけていたのですが音が急に飛び始めたのです。
同じ音をずっと繰り返します。
「ギャーギャー、ギャーギャー。ナ、ナ、ナナナンデ、ナナナンデ」
と聞こえた気が。
前の車が流れ始めて私達も事故現場を通り過ぎようと少し車のスピードを上げました。
小松くんの顔をした糸は旗に戻ったりしながら、クネクネとゆれながら助手席の窓の横を逆立ちのよう状態でこちらを見ています。
CDは飛び飛びであまりの恐怖から「ナンデ、ボクガ」と聞こえてしまい心臓が飛び出しそうになり、兄は振るえながらも車を運転し、加速をつけてそこから逃げ出しました。
私は真横にいたクネクネしたものを視界の横に捉えつつ悲鳴が出そうな口を押さえて真っ直ぐに前を見続けます。
視界の端では、糸の下についてる小松くんの顔が、旗に戻るように平ぺったくなりだし、真っ赤になりながら、萎んでいく様を捉えていました。
通り過ぎたものの怖さから運転も儘ならずそのまま高速を降りて、近くにある魔よけで有名な神社に向かい御払いをしてもらうことになりました。
それ以降、私達は糸を見たことは無いのですが、あの糸は何だったのかと今でも不思議です。ロープぐらいの太さなのですが、糸としか思えないで糸と言ってます。
あれは死んだ人の魂なのか、それとも何か別のモノなのか。未だに理解ができません。
その高速道路を通る事はそれ以降ありません。
そこは未だに事故が多い場所で、その糸のせいなのか、もしくは山の穴が何か関係するのか。
結局結論はわからずじまいですが、私が体験した話です。
原因も山の穴に何かあるのか、その場所にあるのか等も一切わからないままですが、これ以上の体験はありません。
(了)