短編 ほんとにあった怖い話

夜勤者が体験した恐怖の実話~厳選3話【ゆっくり朗読】2000

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夜勤で体験した怖い話三題

112 :本当にあった怖い名無し:2015/08/22(土) 21:26:28.77 ID:gsj4RgR8O.net

介護施設で働いている介護士の大矢さんの話

ある日大矢さんが施設二階の廊下を歩いていると、廊下の途中に二つ並んでいる洗面台の下に、足があった。

カーキ色の作業服の様なズボンと黒い長靴か軍靴の、左右膝から下あたりだけの存在が、洗面台の下に立っていた。

大矢さんはぎょっとなり、慌てて通り過ぎて一階へと階段を下りた。

その大矢さんを、足はしばらく追って来たという。足は兵隊の足の様にも思えた。

大矢さんは一階の職員室へと飛び込み、ピシャリと扉を閉めた。足は階下までは追ってこなかった。

蒼い顔をしている大矢さんに、部屋にいた看護師の島本さんがどうしたの、と声をかけた。

「あのね……」

変に思われるかと思いながらも、大矢さんは追って来た足の事を話した。

すると島本さんは

「ああ。あれ。大矢さんにも見えるんだ」

と眉をひそめた。

島本さんの話によれば、足だけの存在はいつも二階の洗面台の下の決まった場所に立っていて、時々後を追ってくるのだという。

が、どうやら追って来られるのは二階の廊下だけで、階下に来る事はできないらしい。

追って来られた者が階段を下りだすと、いつも二階の階段の下り口のところで止まり、しばらくじっとしているのだという。

そしてまた洗面台の下に立っているらしい。

「いつからあそこにいるのか知らないけど、他にも足を見たり変な足音を聞いた人が何人かいるみたい」

島本さんは言った。

足は今も時々、後を追って来るという……

大阪市営地下鉄の保線員をしている逸見さんの話

逸見さんは主に大阪南部の地下鉄の保線をしているが、阪神大震災のおりには神戸近辺の他の路線の応援にも駆り出され、しばらくはろくに帰宅もできなかった。

保線作業は深夜、列車が止まっている間に複数の人員で作業をする事が多いが、その作業中妙な事を言う者が何人かいた。

線路の上を、沢山の人影がぞろぞろと歩いているのだという。

暗い地下鉄のトンネルの中を。

暗くてよくはわからないのだが、部屋着姿の人、パジャマ姿の人、中には半裸の人や怪我をしている様子の人たちもいるという。

はじめは、震災で列車が動いていない区間をやむなく歩いている人たちだろうかと思ったが、危険な地下鉄の線路内に一般の人たちを入れたとは聞いていなかった。

逸見さんは見てはいないが、一緒に作業をしていた同僚の中には、ただ線路の上を人影が歩いているのではなく、トンネルの壁から壁、つまりは線路を挟んで右から左へと人影が消えていったと言う者や、作業をしているすぐそばを何人もの人が通って行った、と言う者もいた。

それに

「まさか」「いや何だろう」

と皆で言っていると、

「いいからほうっておきな」

とそれまで黙って聞いていた倉本さんという年配の同僚が言った。

「そういうのがいても様子を見に行ったりついて行ったら駄目だよ。一緒に連れてかれちまうから」

「え?……あれってやっぱり」

と影を見た者が言うと、倉本さんは頷いた。

「うん。俺にもわからないんだけどな。昔一緒に仕事してた奴に聞いたんだ。そいつは寺の次男坊でさ。なんでも、死ぬとあちらの世界まで通って行く道っていうのがあるとかでな。
でぇ、そういう道がこんなところにもあるんだろな。沢山の人が亡くなったからなぁ。だから団体になるんだろな。………見えても知らんふりしてな」

以後もトンネル内で複数の人影を見た、という者は何人かいたが、逸見さんたちは作業中に人影が見えても、懐中電灯で照らして姿が確認できない場合は放っておく様になったらしい。

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自分が以前勤めていた会社の事務所は、古い雑居ビルにありました。
そのビルでの話

「ここのビル、夜遅く階段使ってると、変な時があるよ」

と同僚の益田さんは言った。

階段室にいると、上からまたは下から、誰かがやってくる足音がするという。

こんな遅くまで、他でもまだ残ってる人がいるんだ、と思っているとその足音はどんどん近づいて来て……

足音だけが通りすぎてゆく。

姿は見えない。ただ、何かの気配がすぐそばを通りすぎ、足音が遠ざかってゆくのだという。

「こないだなんか、階段を下りてたらやっぱり足音だけが追い抜いていってさ。

気味が悪いと思いながらやっと一階に来たら……階段室と一階玄関の電灯が一度にパンッ!と消えてさぁ。もうびっくり。チビりそうになったよ」

その話に、他の同僚たちが、ヤだなやめてよ、などと言っていた。

しばらく後、夜遅くにやはり同僚の村松さんは得意先から商品交換で引き取った古いデスクトップのパソコンモニタと本体を持ち帰ってきた。

モニタと本体を営業車から下ろし、台車に積んで六階の事務所の物置に入れようと、エレベータを使おうとした。

が。ビルでひとつしかないエレベータの扉には、無情にも【故障中・使用禁止】の貼紙が貼られていた。

「うわ。ちょっとぉー」

村松さんは舌打ちした。

今のパソコンはモニタも本体もずいぶん小型軽量化されているが、少し前のパソコンはモニタもブラウン管式で、男性の手でも持ち運びは大変だった。

重くてデカいパソコンを六階まで手で運ぶなんてまっぴらだ。車に積んでおこうかな、と村松さんは思った。

しかし翌朝は一番で部長が車を使うと言っていた。部長に文句を言われるのも……

村松さんはため息をつき、まずはモニタを抱えて階段を上りだした。

しばらくすると、背後から足音が聞こえてきた。

はじめは気にもしなかったが、ゆっくり目の足音がどんどん近づいてくるにつれ、村松さんは益田さんの話を思い出し、怖くなってきた。

『まさか。他の誰かだろ』

自分にそう言い聞かせ、さっさと六階まで上ろうとした。

その間にも足音はどんどん背後に迫っていた。

カツン、カツン……

村松さんは後ろを振り返った。

誰もいなかった。

『うわぁ』

村松さんはモニタを放り出して逃げたくなった。

カツン、足音は村松さんのすぐそばで響いて

ずわぁっ

と村松さんの中を何かが通って行った。

「…………!」

村松さんは声になっていない悲鳴を上げ……モニタを落としてしまった。

自分の右足の甲の上に。

階段室に村松さんの絶叫が響いた。

「それから?もちろんちゃんと運んだよ。モニタも本体も。部長に文句言われるの嫌だもん。モニタの角は割れちまったけどさ。まぁあれはどうせ廃棄するやつなんだし」

村松さんは労災を申請し、しばらく足をひきずっていました。

(了)

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1440010353]

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