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中編 洒落にならない怖い話

下衆男の報い

更新日:

今から十年位前の話。当時俺は学生だった。

894 :本当にあった怖い名無し :2010/05/04(火) 10:24:53 ID:LqXpykQt0

アルバイト先の居酒屋で知り合った二つ上の女……由紀子。

今は下衆な男に成り下がったけど、当時は普通の学生だった。

由紀子とは何となく気があって付き合い始めた。

俺は地方から出てきてアパートに独り暮らしだったから、バイトが終わったら、週に一~二回くらいウチに遊びに来ていた。

ウチでは一緒に酒を飲んだりしながら、取り留めのない話をよくしていたな。

由紀子も地方から出てきて、妹と一緒に住んでいると言っていた。

当時は普通の学生と言ったが、やっぱり当時も下衆だったよ。

由紀子が妊娠した。

もちろん産めるわけないさ。二人で相談して堕ろしたよ。

それから何となくぎくしゃくしちゃって、由紀子とは別れてしまった。

結局付き合った期間は、九ヶ月くらいだったかな。

由紀子はこのバイトが生活の基盤になっていたから、辞めるわけにはいかない。

結局俺が辞めた。

下衆なりに罪悪感もあって、部屋も引っ越したし携帯も変えた。

由紀子に関するものは全て消して、やり直すことにしたわけ。

やっぱり由紀子のことは好きだったしな。

それから五~六年経ってから突然、新しいアパートに女がやってきた。

どこからどうやって調べたのか分からないが、その女は由紀子の妹と名乗った。

俺にしてみれば、これ以上気味が悪いことはない。

アルバイト先の同僚達とは完全に縁を切っていたから、俺の新しい住所が分かる筈がないんだ。

由紀子の妹と名乗る女は、由紀子が死んだと言った。

病気か事故か自殺か分からない。

俺は聞こうともしなかったし、由紀子の妹も言わなかった。

もちろん、死んだのは俺のせいなんて言わなかった。

当たり前だ。一応お互い納得して別れてるんだし、それに別れて何年経ってると言うんだ。

由紀子の妹は「お願いだから一度墓参りに行って欲しい」と言い、俺に墓園の住所のメモを渡した。

その場は分かったと言ったが、行くわけないよな。

由紀子の妹には

「墓参りには必ず行く。ただ由紀子のことは正直思い出となっていた。勘弁して欲しい」

と、暗にもう俺のところには来ないで欲しいとお願いした。

もう俺にとっては過去のことだったし、それに仕事だってある。

由紀子の妹には悪いが、正直気持ち悪かったからメモもすぐに捨てた。

確かに由紀子を好きだった時もあったが、その時はもう別の彼女もいたしな。

念のため俺はまた引っ越したよ。万が一また来られたらイヤだからな。

その時付き合っていた沙保里という彼女がいた。

沙保里は会社の同僚だった。

沙保里は事務職で俺は営業。

俺は帰りが午後十時過ぎになるのは当たり前だった。

会社が休みの前には、沙保里は時々メシを作りにウチに来て、泊まっていっていた。

由紀子の妹が現れてから一年経ったか経たないかといった辺りの夏。

フラフラになって帰ったら、沙保里がメシを用意して待っていた。

風呂から上がって、テーブルでビールを飲みながら沙保里を見たら、何か沙保里がおかしいんだ。

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沙保里がダブって見えるんだよ。

俺は近視で眼鏡を掛けており、風呂上がりで眼鏡を外していたのと、疲れ目でダブって見えたのだと思った。

でも何か違うんだ。沙保里とほとんど同じサイズの人間が、二〇~三〇㎝くらい近づいたり離れたりしてるんだ。

ピンぼけ写真を見ている感じなんだよ。

あれれ?と思って眼鏡を掛けても見えるんだ。

沙保里はその手の話がまるでダメなので、オマエに被さって女が見える、なんてとても言えない。

どうしてじっと見てるの、何か顔に付いてる?って顔をしてる。

しかも、ダブっているのは沙保里じゃない。全く知らない女の顔なんだ。

その時は電気が点いて明かりが煌々としてるから、怖くも何ともなかった。

とにかく不思議だっただけ。

午後十時まで仕事なんてブラック会社に比べれば大したことないだろう、と言われりゃそれまでだが、俺にしてみたら、仕事のしすぎで幻覚が現れたと思ったよ。

多分、それが見えたのは三〇秒間くらいだったと思う。

じっと沙保里を見ていた筈なのに、そのダブった女はいつの間にか消えていた。

本格的にそれが出てきたのは、更に半年くらい経ってからだった。

泊まりに来ていた沙保里とベッドで寝ていた時、深夜二時頃だったと思うが、正確な時間は分からない。酔ってもいたしな。

沙保里が突然俺を起こした。

何だと思って沙保里を見たら、沙保里の頭が変なんだ。

右側(俺から見たら左側)が大きいんだよ。

!?と思ってよくよく見たら、ゆっくり沙保里の頭の右から又あの女が出てきたんだ。

俺の目の前三〇㎝くらいにだ。

そして、その女はにやにやしながら俺を見た後、どうしたと思う?

ゆっくり沙保里の頭を喰いだしたんだ。

いや喰ってたとしか俺には見えなかった。

もちろん実際に喰ってた訳じゃないから、沙保里の頭が食いちぎられてはいないんだけど、目だけ俺を見据えて沙保里の頭を喰いながら、沙保里の頭に重なって沈んでいくんだ。

うまく説明できないが想像してくれ。

女の頭だけ、沙保里の頭に潜ったり出たりしているんだ。

女が沙保里を喰う度に、沙保里が苦しそうに目を瞑るんだ。

「なんかすごく頭が痛い」と沙保里が言うのだが、俺は金縛り状態になっていた。

女は最後にもの凄い笑顔をして、舌を出しながら沙保里の中に入って消えた。

この時に、この女が由紀子の妹だと分かった、と言うか頭の中で理解した。

一回しか会っていないし、まともに顔を見ていないから……

と言うか、俺を訪ねてきた時には、まともには由紀子の妹の顔を正視できなかったから、初めて出てきたときには分からなかったんだ。

あれはきっと由紀子の妹の生き霊だったんだろうな。

そうとしか思えない。

それから沙保里はひどい頭痛持ちになった。

沙保里には全く関係無い話だし、正直言わせてもらえれば俺にだって関係無い。

こういうのを逆恨みと言うのだと思う。

それから沙保里に会う度、ほんとに突然由紀子の妹が出てくる。

沙保里が風呂から上がった際、トイレから出てきた際、ウチの中だけじゃなく外で会っている時もだ。

一回は接吻しようとしたら、いきなり沙保里の顔が由紀子の妹になったので、思わず「ひっ」と言ってしまった。

今までを読んでくれれば分かる通り、そんなに強いハートじゃない俺は、沙保里と別れざるを得なかった。

その後も三~四日に一回は由紀子の妹が出てきた。

毎日出てくる訳じゃないし、どのタイミングで出てくるか分からないので、逆に毎日の生活がもの凄く怖かった。

鏡を見るのも怖い、仕事が終わってアパートに帰ってカーテンを閉めるのも怖い。

時々窓に映ったこともある。

電気を消して眠ることが出来なくなった。電気代は毎月一万円近くなってしまった。

とりあえず何をしたかと言うと、由紀子の妹を捜した。

会ってどうなるものでもないかもしれないが、由紀子の妹が俺を恨んでるなら、ひたすら許しを請うつもりだった。

だけど名前も連絡先も知らないし、思い切って昔のバイト先に行ってもみたが、当時のバイト仲間は誰もおらず、社員も異動してしまい、誰も由紀子のことは分からないと言う。

履歴書関係は、本社で一括管理しているらしい。

次に頼ったのは霊能者だった。

あいつらは俺以上の下衆だな。

最初は一万円~三万円くらいで対応してくれるが、すぐに一〇万円~三〇万円くらいの本格的な除霊を勧めてくる。

しかも効果は無いに等しかった。

最後は病院。

初めからここにしておくべきだった。

薬は最初はエビリファイ(アリピプラゾール)、次にジプレキサ(オランザピン)になった。

おかげでこの頃は大分楽になってきた。

由紀子の妹も最近はほとんど見なくなった。

仕事も辞めて、親元に帰ったのも良かったと思う。

親には仕事のストレスで鬱になったと説明している。

今はコンビニでバイトをしている。

もう三十路を超えてるし病気持ちだから、多分まともな就職は無理だろうと思ってる。

オチのない話だが俺の話はここまで……

(了)

 

呪術探究(巻の1) 死の呪法 /呪術探究編集部

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